友達なので
「カイト君の家に……ですか?」
ユナはきょとんとした顔で言った。
「うん。ユナちゃんここで一人は寂しいでしょ?」
森にユナが一人で住んでいた事を知り、だったら自分の家に来たらどうかと提案した。
「凄く魅力的なお話なんですが、辞めておきます」
ユナはぺこりと頭を下げて断った。友達になったとはいえまだ出会って数日。男の人の家に来いと言われればそれは嫌がるだろうと今更のように気付いた。
「ご、ごめん!そりゃ嫌だよね!」
「い、いえ!カイトさんが嫌って訳じゃ無くて!わたしは魔女さんからあまり人間と関わらないようにと言われています。ここで話す分はいいのですが、人が沢山いる所に行くのはあまり……」
「わ、分かった。で、でもユナちゃんに逢いに行くのはダメじゃないんだよね?」
「は、はい!カイト君とお話するのは楽しいので!カイトさんとわたしはと・も・だ・ちなので!」
ユナは友達を一番強調して言った。
「じゃ、じゃあ、いつ頃暇かな?」
「わたしはいつでも大丈夫ですよ!家にいない時は近くを散歩したり、魂さんとお話するくらいなので」
「じゃあ、また明日来るね」
「はい!お待ちしていますね!」
そう言ってユナと別れた。家に帰っている途中、遠回しに一緒に住まないかと言っているようにも捉えられる事を言っている事に気付き恥ずかしくなった。
「友達の家……。行きたかったなぁ……。でも、夢の自分の家に呼ぶって事が出来たからよかった」
ユナはベッドの上で今日の出来事を思い出して言った。
「あれ?そういえば威勢の人を自分の家に呼ぶのは好きな人と付き合っている人だけって聞いた事あるような……はわわわ!カイト君にそんな風に伝わったかな!?ど、どどどどどうしよう!まだ出会って数日なのにそんな風に思われていたら恥ずかしいよぉ!」
重大な事に気付き、ベッドから跳ね起きて机の周りをぐるぐると回った。顔が真っ赤で体温が上昇しているのが分かる。ユナはあまりの恥ずかしさに誰もいないのに机の下に隠れた。
「す、すすす好きとかじゃ無くて、友達。そう、友達だから……。初めて出来た友達に興奮しただけ……」
その後ユナは机の下出るのに1時間もかかった。
今回は2人とも恥ずかしくなるお話です。急に距離が縮まり、そんな捕らえ方をしてもおかしくは無い……。私なら「これはチャンス!いける!」と思って間違いなく告白して……無いですね。恥ずかしいですよね。まずそんな出会いすら無いですけど。
次回もよろしくお願いします