#8 話は逸れるのが常識です。
やぁ、作者です。
今回は"ちょっと"長いよ!
「…で?分かんねぇってどういうことだよ」
「そ、そう睨むなって、自分が魔族だなんてばれたら大変だからな…
調べようにも調べられねぇんだよ…」
ひょっこり出て来たマルクスを押さえつけ
マルクに戻った彼はビビりながらもそう言った。
「自分が魔族なのは間違いねぇ、
明らかに常人と違う魔力と力を持っているからな…
だが、同時に人間でもある、だからややこしいんだよ…」
「どうして半分は人間であると断言できるんだい?」
「それは親が魔族じゃないってのと、
人間の最大の特徴がきちんと残ってるからな…」
「その人間の特徴ってのは?」
優樹がそう聞くと「やっぱり知らねぇか…」と、
苦笑いしながら呟いた
「あぁ~…これでお前の正体…いや出身がわかったな…
まぁそれは後にするとして…」
「いやちょっと待て、どうして今のでわかるんだ!?」
聞き捨てならない言葉に驚愕を隠せず、叫ぶ優樹
「どうどうどう、落ち着けって、分かったところでどうもしねぇよ
というか知った所で無暗に言いふらしたりして痛い目にあいたくねぇからな…
…んでだ、何で分かったのかというとまずこれを見てくれ」
「…なんだこれ?」
マルクが腕まくりをすると、左手首に何やら模様が描かれてることが分かった
「これは『神授紋』といって、生まれた時に神から授かる紋様なんだ
これは人によってそれぞれ違うんだが…
自分の種族の固定パターンが絶対に入るんだ
例えば人間なら…この"オリーブの葉"と"天秤"の二つが種族固有の模様なんだ
…そしてこれを知らない人はこの世界にはいない…
本人である君なら、この意味が良く分かるよね?」
「………」
いたずらが成功したような悪ガキっぽい顔を浮かべるマルクに
図星であるため黙り込んでしまう優樹
そう、この世界では生まれた時点で神授紋を授かり、
生涯不変の紋様を身に刻んで生きていく。
平和の象徴であるオリーブの葉と、公平に裁くという意味での天秤
人間はこの紋様に誇りをもって生きていくのである
そして何度も言うが、この世界では生まれた時から神授紋を授かるため
自分の紋様を知らない者はいない、つまり…
「ククク、図星のようだね、そう、消去法で君は
この世界の人間ではないということになる
実際、異世界からやってくる勇者と呼ばれる輩は神授紋を知らないのさ…
さて、君が勇者かどうかは置いておいて…
異世界ウィリアスへようこそ、異界の旅人さん?」
そう言っていやらしい笑みを浮かべるマルク
そして当の本人である優樹は…
「ふ…ふふ…ふははははははは!
いやぁ…まさかこんなに早くばれるとは思わなかったねぇ…」
「ええ、そうね、早くても1ヶ月はかかると思ってたけど、
まさかこんなものでばれるとはねぇ…ほんと、何があるかわからないわね…」
魔王のごとき三段笑いをする優樹、
先程まで聞き役に徹してたリリスも肩を竦めながら内心かなりびっくりしている
「まぁお前さんたちは随分と頭も回るようだし、
演技もうまいからそれなりに自信があったかもしれんが…
流石に知識なしには天才さんも何もできまい?」
「ぐぬぬぬぬ…全くもってその通りだよ…」
リリスはドローンを使用してこの街の本などを読んだが、
言語の解析が目的だったため、その場で開かれていた本を読み取った程度なのだ。
実際、解析時に街にあった"触れることなく"読み取れる文字はすべて読み取った。
しかし、本は基本的に本棚の中にある。
わざわざドローンに本を開かせて読むのは…不可能ではないが面倒くさい。
結果的に、言語の取得は成功したが、この世界の常識は得られなかったのだ。
情報収集を怠るとこうなるのである、自業自得で何も言えない優樹であった。
ね?"ちょっと"長かったでしょ?()
趣味が多すぎる人間は一つの趣味にかけられる時間が少ないのが難点だと思います...




