#2 初手トラブルは基本でしょ？
次話を見に来た君、短いけど色々ごった煮にしたプロローグをよくぞ掻い潜った
だが安堵することなかれ、これはまだ序の口だ...具体的に言うと
ガリ〇リ君の外側のアイスキャンディーの一番上の部分を剥がしただけだ
圧倒的な意味不明に君は着いて来れるかな？
というわけで第二話、はじまるで
優樹は不思議な空間を歩いていた
空間が歪んでおりまっすぐ歩いていても迷子になりそうである。
左右どころか平衡感覚さえ失い兼ねないこの場所で
しかし優樹の歩きは堂々としており、まるで道が分かっているかのようだ。
「…しっかし長いな…いや、世界を渡ろうとしてるんだから当たり前か…」
既にドアの奥に進み4時間が経過しようとしている。
いや、この空間で正確な時間など存在しないのだが、
優樹が体感している時間として4時間である。
「まぁもうすぐみたいだし我慢しますか…」
ここに第三者がいればどうしてそれが分かるのかを
問いただそうとするであろうが、
生憎とここには優樹以外誰もいない
故に誰にも指摘されることはないのだ。
そうして歩いているうちにようやく出口の様な空間の歪みが見えた。
優樹はその歪みに躊躇い無く入ると明るさの違いに目を瞑り
暫くして目を開けた優樹は目の前の光景を見て…
一瞬でジト目になった。
「……オイ、ドウイウコトダ」
虚空に片言で話しかけジト目を向ける
そこに何もいないというのに…
「というかそろそろ見えるようになりやがれ、
この世界じゃ妖精とかそういう類の奴を引き連れてても平気なんだろ？」
「……そもそも私は妖精じゃないわよ…」
突然、優樹の視線の先に10cm程の小さな女の子が表れた
小さいが少女というには何処か大人びた様子で
背中に妖精の様な羽が4枚生えており、耳は尖っている
水色をベースに紫と紺に近い青のラインや
模様が幾つか入っている服を着ている
髪は水色で毛先が濃くなっていて、紫のメッシュが入っている
髪型は若干ぼさぼさのショートヘアといった感じ
目元は若干釣り目で淡いピンク色の瞳をしている
今はジト目が優樹に注がれているが
「ククク…そうだなぁ、確かにどっちかって言うと悪魔だもんな？"リリス"は」
「うっさい、そういう名前にしたのはあんたでしょうが…」
「悪い悪い、自分でも気に入ってる分弄りたくってしょうがないんだよ」
「はぁ…まぁいつもの事だから構わないけどねぇ…」
そう言ってリリスと呼ばれた少女？は頬を掻いた
傍から見るとイチャついてる様にしか見えない
「んで？なんでこんな場所なんだ？確かに森の中が良いとは言った、
誰もいない場所に出るのが一番いいからな、その為に態々遠回りしたんだが…」
優樹はそう言って辺りをぐるっと見回して…
ため息をついた。
「流石にゴブリンモドキの大群のど真ん中に出るっていうのはどうなんだ？」
「…知らないわよ、一番距離的に短い森の中にしたら偶々こうなっただけよ
幾ら計算したところで流石にこれは想定できるもんじゃないわよ…」
そう、現在周りをざっと200匹？体？人？
まぁどれでも構わないが最低でもそれぐらいのゴブリンの様な生物に囲まれてる
緑の肌に尖った耳、目玉は黄色の単色、黒目の様な物はない
歯は尖っていて口からは唾液が出ている、正直汚い。
幾つか粗雑な作りの建物が見えるので集落だと思われる
突然出てきた優樹にびっくりして固まっているが襲ってくるのも時間の問題だ
「…しっかりしてくれよリリス…そこら辺はお前の得意分野だろ？
俺の全技術をつぎ込んだ最高傑作なんだから頑張れよ…」
「次に近いルートだと更に5時間歩くことになるけど良かったの？」
「最短ルートの案内ありがとうございます」
頬を膨らませたリリスに遠い目をしながらお礼を言う
流石に+5時間はキツイ、正直既に疲れているのだ
それと優樹の言う通りリリスは優樹が作った
簡単に言えば超特殊な人工知能だ
正式名称は『Logical_Intelligent_Loyal_Intangible_Terrific_Heart』
直訳すると「理論的で知性的、忠実で実体のない素晴らしい心」
といった感じだ、頭文字をとって『LILITH』
先に名前を考えてそれから当てはめたので意味不明だが
要するに「超高性能なAI（精神体）」である
「しっかしどうしようかこいつら…殺しちゃっても問題ないのかね？」
「まぁ殺意を向けてきてるしいいんじゃない？」
混乱から脱したゴブリン？達が武器を構えて睨み付けてくる
まだ警戒していて襲ってくる様子はない
「俺らが勝手に縄張りに入っちまっただけかもしれんぞ？」
「じゃあどうにかする方法があるの？」
「いや、無いな」
「じゃあ襲ってきたらでいいんじゃない？」
「それもそうだな」
そう結論付け、攻撃に警戒しながら語りかけてみる
「お前ら、一応俺たちに敵意はない
偶々ここに来ちまっただけで通してくれるなら何もせずｎ」
――ヒュヒュヒュヒュン
そんな幾つかの風切り音と共に飛んできた飛翔体に優樹のセリフは中断される
少し離れた足元を見ればさっきまで無かった矢と思われる物が刺さっている
しかもご丁寧に何かの液体が塗られている、十中八九毒だろう
弓の精度が悪いのかすべて外れているが当たったらまずただでは済まないだろう
「…よろしい、ならば戦争だ」
「いや、戦争っていうか殲滅でしょ？」
ネタに突っ込まれ不貞腐れながら右手の平を上にあげた
首を傾げるゴブリンと思われる者達を余所に優樹が言い放つ
「じゃ、死のうか？」
直後、優樹の手の上に真っ赤な炎が灯った
そしてそれは数を増していき何時しかゴブリン（仮定）と同数…
200を超える火球の軍団となった
そして優樹が右手を振り下ろすとともに
『火球雨』
特に意味のない技名の宣告、同時に火球はゴブリン（仮）へと襲い掛かる
火球は的確に多分ゴブリンの心臓を射抜き、絶命させていく
結果、30秒もかからずに200を超える恐らくゴブリンの群れが壊滅した
「またつまらぬものを燃やしてしまった…」
「はいはい、五〇門ごっこは良いからこの死体をどうにかしなさい、
ていうか臭いからほかのやり方にしろ、はやくなんとかしろ」
「あ、すまん、忘れてた…嗅覚遮断すればよくない？」
「嗅覚を遮断しようが視覚を遮断しようがいい空気じゃないのは事実だから」
「全くもってその通りで…」
そんな漫才をしながら次々に死体を片付ける優樹
優樹が死体に手を向けるとそこにあったはずのほぼゴブリン（焼死体）が
次々に消えていく、恐らくというかほぼ100%空間魔法による収納だろう
というか200を超える命を奪ったにしては平然とし過ぎである
まるで慣れているような…そんな感じに見える
「うし、じゃあ全部片づけた事だし街に向かうとするか？」
「どうやらここから一番近いのは…ダルパルトと呼ばれる貿易が盛んな
街のようね、大体7km程度、そこまで遠くなかったのは運がいいわね」
「お～、流石、しかしなんで街の名前まで分かったんだい？」
「看板があったからそれでわかっただけよ、サクッと町全体にばら撒いたら
結構発展してるおかげもあって言語習得は余裕だったわ」
「言語習得まで終わらせたのか、流石だなぁ…それじゃそこに行くか」
「えぇ、それがいいわ、鬱蒼とした森の中にいても気が滅入るだけだし」
「んじゃぁレッツゴ～」
…突っ込み不在の為説明しよう
まず最初にリリスは空間魔法による収納…
この先も使うので「インベントリ」と言わせてもらうが
インベントリの中にある超小型ドローンを多数展開し上空から街を見つけ、
その街に大量に潜入させたのだ、誰にも気づかれずに
そして看板や本、人の話す声を見聞きしてそれを解析したのである
知性ある者（物）が使う文字や声などの言語はそれその物に意思が含まれる
その意思を解析する事で意味が理解できるのである
意味が理解できれば当然自分たちが使うことは容易い
（覚えることが出来ればの話）のである
言語の壁は時に戦争さえ引き起こすというのに彼は力業でそれを超えてしまった
圧倒的な力というのはいかなる意味でもズルいのである
な？主人公の異常さがドンドン出てくるやろ？
信じられるか？これ箱詰めされた蜜柑の中の解すと出て来る一粒レベルだぜ？
笑っちゃうよな？頭ショートさせたくなかったら帰ってもええんやで？（ニヤニヤ）
毎週か隔週投稿にしようと思ってるから次話もお楽しみに～
