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狂気の大賢者の冒険記~異世界でマイペースな大冒険~  作者: 秋星 優樹
狂気の大賢者の異世界転移
15/17

#15 さぁさぁ、面倒なことになってまいりましたぁ!

作者です。

どうして物語の主人公ってこうも厄介事に巻き込まれるんでしょうね?

(あー、これは魔法の一つで念話ってやつなんだが、

驚かずに心の中で返事をしてほしい、出来るか?)


(っ!?……驚かないでというのは無理がありますが、分かりました。

しかし、これって結構高位の魔術だったはずなんですがね?)


(その辺はマルクスが目にかけている時点で察してくれ。

で、こいつはどうすればいい?

正直言って、とんでもねぇ厄介事の臭いがプンプンするんだが)


(わかりません、厄介事であることは間違いないでしょうが現時点では何とも...)


(そうか、バイパスは繋いどくから強く念じれば俺に届くはずだ、

貴族相手ってのはどうも踏んだ場数が少ねぇから対処に困る。

何か嫌な感じがしたりしたらすぐに教えて欲しい)


(わかりました、ではまずは相手の出方を伺いたいと思います)


(そうだな、それがいいとは俺も思う)


そんなやり取りをわずかな時間で終わらせる優樹とレイン。

念話で高速な意思のやり取りをしてるとはいえ、それなりに固まっていた二人。

目の前にいるゲイザーが少々訝しげな目でこちらを見ている。


「すみません、少々困惑してしまいまして。

しかし、突然ここに来られるなんて何か急用でも?」


「急用という程の物ではないが、少々野暮用でな。

取り敢えず貴様に用は無い、用があるのは奥のガキだ」


そう言ってロックオンされる優樹、正直たまったものじゃないが、

同時に現状を利用して何かできないかを考えている。


「私ですか?確かに奥の方は見覚えありますが、

貴族様であるアグリガルム卿が態々ここへ来る程の事ですか?」


アグリガルム卿、先程名乗ったゲイザー・フォン・アグリガルム。

アグリガルム家の現当主で子爵である。


なお、この世界での爵位は現実とほぼ同じであり、

上から順に、公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、

准男爵、士爵(騎士爵の事)と言った順番になっている。

アグリガルム家はこのダルパルトに住む貴族の一人である。


この街には珍しく複数の貴族が同時に住んでいて、

王都では無いのにこうなっているのには複雑な事情があったりする。


ともかく、貴族家の当主というのは、非常に厄介なのである。

この世界では不敬罪を理由に庶民を殺すことは禁じられているが、

貴族に目の敵にされれば厄介な事になるのは間違いない。


因みに、ダルパルトの領主であるルーベルシア家は侯爵であり、

王家を除き上から2番目という非常に高い地位にいるのだが、

息子であり、しかも継承権が無く、序列の低いマルクスの場合でも

同じくアグリガルム家の息子であるゲイスならともかく、

現当主であるゲイザーに文句を言うことは出来ない。


「いやなに、ゲイスが何やら非常に強いガキがいたと言っていてな、

半信半疑だったが、息子の話故に切って捨てるわけにもいかずな。

それでそのガキを見に来たら何やら冒険者登録の途中らしいじゃないか?

なのでせっかくだからプラチナである私が

直々に実技試験の試験官になってあげようと思ったわけだよ」


等と、建前をつらつらと並べるゲイザー。

要するに、息子の喧嘩に親父がしゃしゃり出てきて

ボコボコにしに来たというわけだ。


「お気持ちはありがたいですが、今回は"マスター"ランクの私が

相手をしようと思っていたのです、アグリガルム卿にお願いしなくとも大丈夫です」


「遠慮するな、ギルマス不在の"サブマス"は何かと忙しいだろう?

それに、態々マスター程の者が出なくてもプラチナである私が出れば問題ないさ。」


そう言って何としてでも優樹と戦おうとするゲイザー。

因みに、実技試験は試験管と戦い、その過程で技量を図るのである。

そしてその場合、ゴールド以上の冒険者が試験管として選ばれるのだ。

そしてアグリガルム家は武勇で成り上がった貴族であり、

その逸話を引き継ぐために戦闘能力を鍛え上げている。

その中でもゲイザーはプラチナまでのし上がった猛者であり、

かなりの実力を持っているのである。


(…なぁ、こいつと戦うのはダメか?)


(向こうからああ言ってる以上、戦う事には問題ありません

勝ってもこの場でどうこうされることは無いでしょう。

ただ、間違いなく目は付けられるかと思います…)


(そうなんだけど……正直、逃げられる気もしないしなぁ…

こいつをぶっ飛ばせたらゴールドになれるとか無いですか?)


(……これだけだと難しいですが、先程の知識面の結果もありますし、

勝利することが出来ればギルマスが戻ってき次第、ゴールドにできるかもしれません。)


(…面倒臭いけど、やっといた方が楽か…)


レインと念話で何やら物騒な相談をする優樹。

因みに、どうでもいい話だがプラチナランクの人間でも、

200体以上のゴブリンの集落を無傷で殲滅することは不可能だ。

今は関係ない話だが一応しておこう、他意は無い。


「折角のお誘いですし、よろしくお願いします」


「あぁ、その実力を頑張って見せてくれたまえ。

安心しろ、これは試験だ、"死にはせん"よ」


そう言って嫌な笑みを浮かべるゲイザー。

傍から見ると142の子供を虐めようとする厳つい大人だ。

現代日本だったら即通報物の絵面なのだが、

この場には敵しかいない上、相手が警察の上司みたいなものだ。

現状、一切優樹には法的な勝ち目が存在しない。


しかし実際は目の前の兎に見えるナニカはドラゴン以上に恐ろしいのだ。

相手の力量を図れない奴は素人と言われるが、

流石にこのサイズの人間を強いと思うほどゲイザーの警戒心は強くないようだ。


「…はぁ……では只今より、ゲイザー・フォン・アグリガルムと

登録志願者ユウキの実技試験を始めたいと思います。

双方、武器が必要な場合は訓練用の武器を持ってください」


そう言うとゲイザーは布がまかれている大きな木剣の様な物を手に取った。

サイズ的に言うとバスタードソードと言われるものだろう。

大剣と片手剣の中間の様なサイズをしているこれは、

筋力量次第では片手でも両手でも使えるといったものだ。

通常はそんな重量級の武器で優樹を殴れば、

死にはしなくても大変な事になるのは間違いないだろう。


対して優樹は武器の類を何も持っていない。

武器を手にしたゲイザーはそれを見て訝しげに問う。


「貴様、武器を持たないということはどういうことだ?

まさか格闘家などと愚かな事を言うわけではあるまい?」


この世界では格闘家は一切価値が無いと思われている。

その理由は単純に、リーチの問題である。

剣を相手に拳で戦えば負けるのは当然である。

又、魔物相手でも態々怪我をするリスクを高める必要もない。

よってこの世界では格闘系の職業は基本嫌われている。


「いえいえ、私は格闘家ではありませんよ。

私は"魔法使い"でして、武器は有っても無くても然程変わらないんですよ」


「ふん、そうか、ならば遠慮なくいかせてもらおう」


優樹のその言葉に明らかに不機嫌そうに、そして馬鹿しているような口調でそう答える。

"魔法使い"と聞いて相手を完全に格下と判断したのだろう。


対してレインは何やら俯いている、その顔は赤く何かを堪えているようだ。

それを見たゲイザーは優樹の低レベルさを恥じていると思った。


しかし事実は小説より奇なりと言われるように、全く違っている。

何故ならうつむいているのは顔がにやけているのがバレない為に、

そして顔が赤いのは呼吸と表情を抑えている故に。

そう、何を隠そうレインは……笑いを堪えているだけなのである!

開始の合図をしなくてはならないレインは必死に呼吸を整えているが、少々怪しい。


「そ、それではっ、試験試合を始めたいと思いましゅ!」


呼吸が乱れて上手く発音できない上に噛んでしまい違う意味で赤面するレイン。

そんなこんなで全然締まらない空気の中優樹とゲイザーの試合が始まるのだった。

さて、次回は本作2回目の戦闘シーンです。

え?一回目はどこかって?

ほらあれですよ、ゴブリンの群れを倒したやつ。

え?あれは戦闘じゃないって?

…どうやら君の求める戦闘はこの世界には無さそうだ()

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