#13 登録手続き
お久しぶりです、作者です。
スランプに入ると全然話が思いつかない...
取り敢えず遅れてすみません。
「お、お待たせしました!先ほどは受付の者が申し訳ありませんでした!」
何やら焦った様子の少し偉そうな男性がやって来た。
偉そうとはいっても態度の問題ではなく、役職や見た目の問題だが。
「全くだよ、これ、マルクスに言ったらどうなるかな?」
「ほ、本当に申し訳ありません!」
顔を真っ青にし謝る男性、顔面蒼白とは正にこの事である。
「まぁ、あの受付の奴にそれなりの対処をしてくれるなら態々報告したりはしないさ。
それより、さっさと登録してくれないか?」
「あ、ありがとうございます!ではこちらへ!」
そういって奥の扉へと案内する男性。
どうやらVIP待遇のようだ、当たり前である。
「で、ではまずこの板に触っていただけますか?」
「あぁ」
事前にこの板に関する説明は受けている。
調査盤と言って過去の犯罪歴や
スキル等の能力を調べることができる。
しかし、勝手に登録者の能力を見ることは禁止されており、
スキル等は決して口外されることはないのいである。
しかも、相手は恩人の紹介だ、そんなことが出来るはずもない。
結果、何事もなくスキャンが完了し、一部の結果が男性に伝えられる。
「…はい、確認しました、犯罪歴無し、問題ありません」
「じゃあ、登録を進めても?」
「え、えぇ、ではまずこれを」
そう言って一枚の板を渡される優樹
金属質であるその板には何も書かれていない。
「ご存じでしょうが、それはステータスプレート
あなたの身分を証明する物ですので、無くさないようにお願いします」
「了解した」
この世界では、ステータスは自分で見ることができる。
だが当然、他人に見せる場合見てほしくない物もある。
マルクはスキルによって他人に見せる量を自分でコントロールできるが、
スキルが無い人間はすべてを見せることになってしまう。
それではよろしく無いため、作られたのがこのステータスプレート。
これは自分の意志で見せる範囲を変えることが出来、
尚且つこれを持つ者はギルドで身分が証明されているという証である。
「では、次の手続きがございますのでこちらにおかけになって下さい」
そう言われ、ソファーへと案内される優樹。
そのソファーはマルクスの家や日本の物に比べると質が悪かったが、
この世界では上質な方だと伺える。
それに、この男性も段々と落ち着いてきたようだ。
「では、こちらに開示可能な情報を見せて下さい。
それと、名前や職業を偽名や噓の職業で書いても構いませんが、
それによって起こり得る一切の事柄はギルドでは責任を取れませんので悪しからず」
「わかった」
そう、このギルドでは偽名等の噓の情報を載せる事を許容している。
これは、貴族等の名前や事情を知られたくない人が一定数いるため採用されている。
しかし、意地を張って持ってない力を書いてしまい、大変な目に合う者もいる。
そういった理由もあって、ギルドでは絶対に忠告されるのだ。
そして優樹がギルドに開示した情報は…
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名前:ユウキ
年齢:18
性別:男性
職業:魔術師
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「じゅ、18歳……噓じゃないんですよね?」
「まぁ、普通はそうなるよなぁ…」
当然である、誰が146cmのちんちくりんを18歳だと思うのだろうか。
なお、苗字の方はあえて伏せておくことにしている。
この世界では例にもれず、基本的に貴族しか姓を持たないのだ。
故に、面倒ごとを回避する為に名前だけにしたのだ。
「まぁ、事実だけどその辺は話すのもめんどくさいし、
他人に見せる時は年齢は伏せるから問題ない」
「そうですか…わかりました、ではそのように登録しておきます」
そう言ってまた奥へと引っ込んだ男性。
この情報は全国各地のギルドにある共有されたデータベースに記される。
これにより、すべての地域である程度の身分の保証が出来るのである。
記されている内容は、功績や評価等の良い情報から
犯罪歴や問題行為等の良くない情報も書かれている。
故に他国に逃亡したとしても、犯罪者は逃げることが出来なかったりする。
暫くして、男性が戻ってきた。
「お待たせしました。
あ、申し遅れました、私サブギルドマスターのレインといいます」
「あれ、サブマスだったんだ、ご丁寧にどうも。
俺は秋星優樹、ややこしいことになるから純粋にユウキって名前で呼んでくれ」
「いえいえ、マルクス様のご紹介ですし気にしないで下さい、ユウキさん」
レインと名乗った男性に対して軽く応える優樹。
何気にフルネームを明かして味方に取り込もうとする優樹。
レインの返事からして了承の意で間違いないであろう。
「では、これにて冒険者登録自体は完了です」
「"自体は"って、まだ何かやる事があるのか?」
「はい、マルクス様からの手紙にはかなりの実力があると書かれていました。
ですので、可能であれば試験を受けていただき、
最初から上位のランクになっていただくのがよろしいかと」
「なるほど、所謂飛び級ってやつか?」
「そのようなものです、ここでは初期昇級といい、登録直後のみのシステムです。
大体の方々がこれを受け、アイアンまで昇級する事はそれなりにございます。
ルール上はシルバーまではこの初期昇級で上がれるのですが、
シルバーまで上がる方はほぼいませんし、精々ブロンズ止まりが基本です」
そう言って初期昇級を進めてくるレイン。
実際、シルバーまで上がれれば大分楽ではある。
3ヶ月でプラチナまで上がらなければならない優樹にとって
ウッドからブロンズの間を飛ばせれば大幅な短縮にはなる。
と、はなっからシルバーになる事を考えている優樹。
「なるほどね、まぁ俺も早めに上がれることに越したことはない。
じゃあせっかくだし、その初期昇級の試験を受けてみる」
「分かりました、では手配しますので暫くお待ちください」
そう言ってまたもや奥へと消えるレイン。
サブマスなのにこんなに往復していいのだろうか。
本来は下っ端にやらせるのだろうが、今回優樹はVIP待遇なので、
サブマス直々に手続きをしているのである。
暫くするとレインが本を持って戻って来た。
「お待たせしました、ではまずは知識や頭脳面での試験を行いたいと思います」
「座学からやるのか、どっちかというと学校の試験みたいだな?」
「上位の冒険者は頭脳面でも優れてないとやっていけませんからね…
それに、モンスターの弱点や採取の際の注意点等も知っている方がいいですから」
「確かにその通りだな、じゃあ俺は何時でもいいぞ」
「では始めたいと思います」
そう言って試験が始まった。
これからも定期的になったりすると思います。
ただ、私の場合そこまで長期的なスランプになる事は少ないので、
気長に一か月程待ってくれれば多分復活します。




