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狂気の大賢者の冒険記~異世界でマイペースな大冒険~  作者: 秋星 優樹
狂気の大賢者の異世界転移
12/17

#12 テンプレパラダイス

タイトルにテンプレが付くの多いなぁ...

今回は結構長めだよ。

「…さて、長くなったがこんなところだ…もう朝だな…流石に眠いぜ…」


「俺は慣れてるから平気だな」


「何で慣れてるんだよ…いや、見た目通りじゃないのか…はぁ…」


結局朝まで説明し続けたマルクは非常に疲れたようだ、

衛兵とはいえ、貴族の一人であるが故に徹夜はほとんどしないそうだ。

対して、ゲーマーで研究者の優樹は徹夜などいつもの事である。


「さて、マルクの睡眠時間を犠牲に、俺はこの世界の常識をほとんど覚えられたな」


「全くだ…これはどうお返ししてくれるのかな?」


「フフフ…それを今から話すんじゃないかい?」


「ハッ!最初っからそのつもりってか、道理で遠慮がないわけだなぁ?」


そう言って悪い笑みを浮かべ合う優樹とマルク。

そう、最初のマルクスの時点では善意で家に招待されただけの優樹だが、

見た目通りの子供では無い事、そして根掘り葉掘りこの世界の事を聞いたのだ。

当然、情報には対価というものが必要である。

最初から対価として何かをすると決めていた優樹に複雑な感情を抱くマルク。


「さて…じゃあ俺の"お願い"を聞いてもらおうか?」


「どうぞ?と言っても大方、"領主になるための手伝いをしてくれ"とか、

"邪魔な兄共をどうにかする手伝いをしてくれ"とかそういった話だろ?」


「あぁ、そうだな、大体合ってる、最終的な目標としてはその二つを丸々合わせて、

邪魔な兄上達を排除した上で領主になるための手伝いをしてくれって話だ」


「構わないよ、俺はこの世界で暫くする事が無いからな。

時が来るまではそれなりに手伝ってやるよ」


「ははっ、そりゃありがてぇや、まずは一番最初の手伝い…というのは違うか、

手伝いをしてもらうための前準備をしてきてほしい」


そう言ってマルクは作戦の内容を話し始めるのだった…



■■■■■



「さて、ここか?」


そう言って少々小汚い…いや、はっきり言ってしまえばボロい建物にやってきた。

看板にはこの世界の文字でこう書かれている。

《ようこそ、冒険者ギルドへ》


(まさか、異世界に来て定番の冒険者になれとはなぁ…)


(よかったじゃない、最低でもテンプレの一つが消化できるってことよ?)


(いやまぁ、そうなんだけどさぁ…)


優樹とリリスは言葉には出さずに頭の中で会話している。

そう、マルクがした最初のお願いは、冒険者になれというものであった。


(しかも、最低でも上から4番目のプラチナランクになれって…

しかも3ヶ月以内にって…目立つのは嫌いなんだけどねぇ…)


(いいじゃないの、それもそれでテンプレよ、

ドラゴン倒すとかしてどんどん消化しなさいな)


(お前はさっきからテンプレテンプレうるさいぞ!?

やらなきゃいけないこっちの身にもなりやがれ!)


この世界におけるランク分けは異世界の勇者から持ち込まれている。


新人も新人、なったばかりの素人が【ウッド】

少し経験を積み、マシになってきて【アイアン】

新人は卒業して、半人前程度になって【ブロンズ】

ある程度の実績を積み、中堅になって【シルバー】

それなりの功績を得て、実力が評価される【ゴールド】

かなりの実力で、貴族などからも評価され始める【プラチナ】

多大な功績を得て、引く手数多の実力者【マスター】

ドラゴンにさえ立ち向かえる英雄級の【ミスリル】

そして、災害級の敵を倒し、国王からさえ歓迎され、

上級貴族と変わらぬ扱いをされる最上級の【オリハルコン】


当然、優樹は最下位のウッドから始めなくてはいけないのだが、

本来、ウッドからプラチナに上がろうとしたら最低でも十数年は必要である。

それをマルクは3ヶ月で上げろと来たものだ、普通なら絶対に不可能である。


しかしここにいるのは"優樹"という普通ではない人間だ。

正直、可能か不可能かでいえば可能である。

しかしそれは間違いなく目立つことになるだろう。

優樹は元々目立つのが嫌いな性格の為、あまり乗り気ではない。


「しかしまぁ…やらない訳にもいかないからねぇ…少しは楽しんでみますか」


そう言って気持ちを切り替え、冒険者ギルドの中に入っていく優樹。


———カララン


ドアには木の棒が吊るされており、それなりに大きな音で入店者に気付くようになっているようだ。

朝方だからなのか、冒険者ギルドの中にはそれなりに人がいた。

何やら紙が貼られた掲示板の様なボードをまじまじと見つめる人や、

朝っぱらから酒を飲んでいるおっさん達、お金を数えて考え事をする人、

武器の手入れをしながら談笑してる人、何やら言い争ってる様子の若者達、等々…

幸いにも忙しい時間帯なのか、周囲が騒がしくて入店音は聞こえなかったようだ。


(なんというか…The・冒険者ギルドって感じだよなぁ…

こう、酒場兼冒険者ギルドっていう雰囲気…)


(想像通りの場所で嬉しかった?)


(うるさいなぁ…)


そんな感じの会話を心の中でしながらギルドの中を進む優樹。

床は頑丈そうだが、壁などはだいぶ古い感じがする。

蜘蛛の巣などが張り、所々朽ちてる場所がある。


(あぁ、この雰囲気、Sky〇imを思い出すわぁ…)


(色々とアウトだからやめてくれない?)


そんなどうでもいいことを話しつつ、受付のカウンターらしき場所に向かう優樹。

受付の人は20歳位の青年で、何かをじっと見つめている。

カウンターのすぐ前までくると流石に受付の青年も気付くのか、優樹を視界にとらえた。

小さいからか、驚いたような表情をするが、直ぐに不機嫌な物へと変わる。


(あぁ…なんか簡単にはいかない気がする…)


「ここはお前みたいなガキが来る場所じゃねぇ、とっとと失せろ」


(ほらねぇ…)


(はい、テンプレ回収ご馳走様です♪)


(やかましいわっ!)


心の中でいつも通りの漫才をする優樹とリリス。

しかしそれらは口に出していないので他の人間に聞かれることはない。


「…ちげぇよ、ガキじゃない、立派な大人だ」


「ハッ!冗談もたいがいにしろ!こっちは忙しいんだ!」


そういう割には手元が開いていて、何もしてないように見える。

そして既に優樹に興味がなくなったのか、また何かを見つめる受付の青年

視線の先を辿ると、そこには数名の女性で構成された一団があった。

そして彼女たちは豊かな物を持っている人たちであった。


(あ~、はい理解、完全に把握したわ)


時々受付を見て身じろぎしている辺り、視線に気づいてはいるのだろう。

優樹はこの青年を屑と断定し、少々痛い目にあってもらうことにした。


「へぇ?じゃあ受付としての役割を果たす気は無いってことか?」


「うるせぇなぁ!忙しいって言ってんだろ!さぁ帰った帰った!」


優樹を見ることもなく手で追い払う青年。


「なるほど、よく理解した、では…」


スゥ…と息を吸い込んだ優樹は…


「すみませーん!ちょっと聞いてくださーい!」


それなりに声を張り上げて周囲に呼び掛ける優樹。

流石に小さな入店者に気付いたのか、次第に注目される優樹。


(うぅ…人に見られるのは嫌いなんだけどなぁ…)


そんな風に内心では思っているが、顔には出さずに頑張る。

当然、それだけ注目されれば受付の青年も無視する訳にもいかなくなり、

忌々しそうに優樹を睨み付けている。

しかしそんな青年の視線は意に介せず、声を張り上げて続ける。


「私はここに冒険者登録にきた者です!ちゃんと成人を迎えています!」


そう声を張り上げるも周囲からは笑い声が飛んでくる。

当然だ、146cmの身長では現代日本でも笑い飛ばされたであろう。

それを平均身長が高いこの世界でやれば信じられる可能性など無い。


「はぁ…お前さ、馬鹿なの?そんな見え見えの噓を信じる奴がいるとでも?

ここはお前みたいなガキが来る場所じゃねぇんだよ!とっとと帰れ!」


受付の青年がそうやって叫ぶがそれを聞くなり優樹は頬を釣り上げた。

途端、室内の温度が数度下がったような錯覚に全員が襲われる。


「へぇ…じゃあ、私が大人だった場合、あなたはどうしてくれますか?」


笑みを浮かべながら、しかし目が笑っていない優樹に怯んでしまった受付の青年。

しかし子供相手に怯んだことが許せなかったのか、顔を真っ赤にして怒鳴り始める。


「うるさい!貴様は訳の分からないことを言うな!

ここはガキの来る場所じゃないと何度言えばわかる!いい加減にしないと…」


そういってカウンターから出て来て腕を振り上げる青年。

どうやら相当に短気な模様、ただのチンピラにしか見えない。


「そうですか…では、相応の詫びをしてもらうという事で…

証拠を見せさせていただきま…」


「いい加減にしやがれぇぇぇぇぇぇ!」


そう言って話の途中で振り下ろされる拳。

そのまま優樹の頭に真っ直ぐ降ろされ…


———パンッ


…ることはなく、小さい掌に止められていた。

呆気にとられる青年と周囲の人々。

当然だ、大の大人が一見子供にしか見えない優樹を思いっ切り殴ったのだ。

吹っ飛ばされて大怪我をするかもしれないと

数名が腰を浮かせていたところだったのだ。

しかし周囲の予想を裏切り、優樹は飛ばされる事なく受け止めた。


「…はぁ、受付なんですからもう少し頭を使えないんですか?野蛮人がよぉ?」


そんな優樹の非常にムカつく言い方の罵倒も

理解出来ない程に呆けてしまっている青年。


「…まぁいいでしょう、それでは今度は私のターンですよ?」


そう言って服の内側から丸められた紙を取り出す優樹。

この世界では紙は大した貴重品というわけではない。

当然、勇者が紙の作り方を持ち込んだからである。

しかし、その中でも主に貴族などが使う上質な紙で出来ている。

明らかに"ただの子供"が持っている訳が無い代物だ。

それを認識した瞬間、周囲の顔色が一気に青くなる。


「ではそこのお姉さん、

ちょっとこの紙に書かれていることを読んでもらえますか?」


「え?わ、私ですか!?」


「えぇ、生憎と手が塞がってるものでして」


白羽の矢が立ったギルドの職員らしきお姉さん…

いや、正確には優樹は18で、職員の人は16歳ぐらいなのでお姉さんではないのだが…

そして投げ渡された紙を落とさないようにと慌てて受け取り、そっと開く。

そして書かれた内容を読み上げ始めた。


「え~っと、では読ませて頂きますね?」


————————————————————————


ギルド職員の方へ


この者は体こそ小さいが確かに成人を迎えている。

そして見た目とは違い、かなりの実力を持っている事を保証する。

故に、冒険者ギルドに私から推薦させてもらう。

決して無碍に扱うことの無いように。


ダルパルト衛士長:マルクス・ルーベルシア


————————————————————————


読み終わった頃にはその場にいた全ての人の顔が白くなっていた。

当然だ、三男とはいえこの地の領主の息子である。

更に、マルクスはこのギルドにおいて強い発言力を持っている。

本来、冒険者ギルドというのは貴族などに指示される事のない自由な組織だ。

しかし、領主によってはギルドの活動が制限される場合がある。

ここのギルドの場合、ギルド職員及び登録者が街から出ることを禁止されていた。

そうなれば当然、討伐依頼等出来るわけもなく、

ギルドが存在するだけで活動という活動はほぼ無かった。

しかし街の軍事をある程度任されているマルクスのお陰で、

その制限がほとんど無くなっているのだ。

そのお陰でこの街でも活動ができるようになり、有難く思われていた。

そしてそれ故に、ある程度はマルクスのお願いを優先するようになっているのだ。


そして今回、マルクスから"決して無碍に扱うことの無いように"と言われた少年…

いや、手紙通りならば彼は少年ではなく青年ということになるが…

ともかく、事実であればこれは恩人であるマルクスを裏切る行為ということになる。

周囲の人間から生気が失われていく中、

受付の青年は自分の非が認められずにたまらず叫んだ。


「そ、そんなわけがあるか!おい!それは本物なのか?

いや違う!偽物だろ!そうに違いない!おい!見せやがれ!」


そう言って紙を持つ職員の人に詰め寄る青年。


「い、いえ!本物です!こちらにきちんと印がされています!」


慌てて紙を見せる職員さん。

そこには確かに、領主の代理である証が押されていた。

さらにダメ押しとばかりに、筆記体の様なサインと共に。


「あ…あぁ……」


ようやく事の重大さを理解できた受付の青年は、膝から崩れ落ちた。


(フハハ!ざまぁみやがれ!一応マルクに強請っといて正解だったな…)


面倒事を読んでいた優樹は予めマルクに書状を書いてもらっていたのだ。

ギルドと関わるときはマルクスなので、マルクスの人格に変わって

喋り方の違うマルクスに少々違和感を抱きながらも。


(しかし同じ顔だから人格が変わってすっげぇ気持ち悪かったな…

さっきまであくどい顔しながら話してたのに

急に世界の汚れを知らない顔になって…)


そんな失礼な事を思いながら周囲の喧騒を眺める優樹であった。

気が乗って気づいたら5000文字書いてた、ビックリ()

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