登場人物紹介
天乃拓人
本編の主人公。19歳。男。一人称は俺。妹のことは奏音と呼ぶ。中肉中背。黒髪。容姿は至って普通。高校留年し現在2回目の3年生。年相応の心の弱い面もあるが、妹の死を間近にして少々のことでは動じなくなった(つもり)。妹が死なない為にだったら悪魔にでも魂を売る、と一時期は考えていただけに、両親と引き換えに妹が元気になってくれたのは実は不幸中の幸い、と言うより嬉しい誤算だと考えているフシがある。両親の影響で車好きだが、あくまで気の向くまま運転するのが好きなだけで、眺める趣味は無いし、両親のように自分で設計したり作る技術は持っていないし、他人と競争するような運転は苦手。両親にもう一度逢うのが夢であり、両親のように恩返しするのが目標。慎重な楽天家で、思慮深い面と浅慮な面が極端な性格。基本的には打算で動くが、自己の目先の利益より自己を含むコミュニティでの総利益を優先する価値観の持ち主。だが妹に関わることとなると、妹のことが最優先で他は知らんと言って憚らない。
天乃奏音
拓人の妹。15歳。女。一人称は私。拓人のことは兄さんと呼ぶ。ストレートの茶髪(地毛)を肩甲骨あたりまでの長さで切り揃えている。色白。童顔。天真爛漫。猫好き。胸が無いのがコンプレックスであったが、治癒魔法を使えるようになってからは、とある理由で気にしなくなった。中学を卒業はしたがほとんど通えず、入院していた。一時は筋肉が動かなくなる病気で余命宣告までされたが、魔法で元気になる。元気すぎて既に年頃の女性としては珍しいくらい筋肉が付き始めているのを拓人が気にしている。一度は死を覚悟したため、割と大胆に振る舞うことが多い。思考停止を嫌うが、考えなくて良いことは考えない性格。中学にほとんど通えなかったため、所謂5教科はそんなに得意ではないが、決して脳筋ではない。むしろ病院では主に本を読んで過ごしていて、Wikipediaを読んでいると1日が終わるタイプ。母親に似たのか情報機器の扱い及び情報処理能力に長けている。
天乃徹
拓人と奏音の父。大胆不敵。電光石火。自由奔放な人。以前は大手自動車メーカーで工員としてコンセプトカーなど最新鋭の加工で職人芸を発揮する程の実績を積んだが、灯に一目惚れし、すったもんだの後ゴールイン。拓人が産まれる頃に独立。以後、夫婦で介護や障がい者向けの車や、キャンピングカーなどの開発と製造を行なっていた。趣味でも車好き。ドライバーとしても優秀で、長距離ラリー界隈では知る人ぞ知る有名人だった。
天乃灯
拓人と奏音の母。恐妻家ではあるが、一家の大黒柱。明るい性格と腹黒を内包するマッドサイエンティスト。元々の稼ぎの面でも徹より遥かに多かった。以前は大手自動車メーカーで設計技師として活躍し、特にAI開発やセキュリティにおいては第一人者とまで言われた。社内政治を実力で捻じ伏せて来たが、社長の息子と結婚させられそうになって辞めた。熱力学や材料工学といった基礎知識についても専門職並に知識を持ち、独立してからも前職の上司から設計の監修などの依頼が絶えなかったと言う。苦手なのはデザイン(設計ではなく見た目)で、特に彼女が車のフロントノーズをデザインすると流体力学的には完璧であるが、クソダサい見た目となって全く売れなかったという。