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暗殺紳士  作者: 銀の明星
本編
15/19

続:鬼訓練

「それじゃあ2回戦行くぞー2回戦はさっきの終わりかけの秒間6連打からはじめっっぞーこれ受けきれるようになったら攻守交代だ」


「よろしくお願いします」


「よーっしそんじゃあ行くぞー......はぁッ」


その一声から地獄の斬撃ラッシュがまた再び俺を襲う

ある程度攻撃を受けていて気付いたのだが、俺の防御した時の次の攻撃が、一番防ぎにくい場所に攻撃を飛んでくる。そして、次の攻撃場所が真反対であろうと剣速は落ちない。ロレイドはやはり武術においてかなりの才能の持ち主らしい。ここまで努力を怠らなかったのもあるだろうが、やはり天才であったからここまで至れたのだろう。


「ん、考え事する今あるんなら秒間七発に増やしちまうぜ?」


「それは勘弁」


剣をはじいて短く答える


殺気の秒間4発でコツをつかんだのか、感覚的に剣の気配を読める数を簡単に増やすことができた。

それどころか、剣の軌道が、7%くらいの確率で先読みできるようになった。

ただ途中跳んでくる蹴りまでは対処が追い付かない

「お、イイねイイねその調子!打数変えずに剣速だけばらすぞー」


そのとたん剣の軌道が一瞬で読みにくくなった

おおよそのの予想だと、剣攻撃一つ一つに緩急がつけられ、一定の速度でなくなったためこちらの防御リズムに狂いが生じたのが原因だと思われる

攻撃に緩急がつくようになってから、勢いだけの無限連打が、流れるような動作の連鎖型多段攻撃へと変化した。一撃は矢のように愚直に鋭く、また別の一撃は蛇のようにしなやかに、また一撃は鉛のように重く、また別の一撃は流水のように軽やかに。

一撃ごとに攻撃の重さや速度が違う。軌道もばらばらで、さらにはフェイントまでかけてくる

さっきのただの連打に比べて、防ぎにくいことこの上ない。

そして、その攻撃を絶え間なく無尽蔵にしてくるロレイドはまさに阿修羅のようだ

そして結果的にその攻撃を受けきれるようになるまで20分ほどかかった

受けきれるといっても5回に2回は攻撃を受けてしまうのだが、


「ほい、ちょっと休憩」


剣を止めて肩にかけ休憩を宣言するロレイド

攻撃の終了とともにその場へ座り込む


「お疲れさん!いやーおれの流派混ぜた攻撃にもついてくるんだもんなーやっぱあんた天才だよ!」


肩をバンバンとたたいて笑いかけてくれる。ぽろっと気になることを言ったので聞いてみることに


「流派?」


「ああ俺のじいちゃんが、ジパン極東天皇国の出身で、その国では剣の流派ってのがあったらしいんだわ。

で、そのジパンとこっちじゃ使ってる剣が違ったらしくて、自分の教わった流派が使えないからって自分でこっちの剣用の流派作りやがったんだよ。それも生半可なもんじゃなくて、今までジパンで蓄えてきた戦闘技術と、天才の才能で本格的な独自流派を立てちまった。だけどまあ、技術の継承法が脳筋でなぁ全部受けて覚えろって言いだすんだよ。だから弟子はできてなかったな。俺はボコボコにされながら結局覚えれたからよかったんだけど、ちなみに流派の名前は武神流。俺が今後半で使ったのは西洋剣術武神流、西洋剣術法阿修羅六連斬。一応最初の脳筋フルバーストの無限連撃は、無間地獄って名前がある。名前のインパクトの割に弱いけどなお前くらいなら違い分かるだろ?」


ジパン極東天皇国...名前からして立ち位置は日本の様なものだろう。にしてもロレイドのお爺ちゃん仏様とか好きだったのかな?


「そうなんですね。ところでさっき7発に増やすって言ってましたけど阿修羅のほうも7連撃でできるんですか?」


「まあできるがそこは感覚だな俺は6連撃で止めておいほうがやりやすい。無間地獄は8発くらいまでなら行けるな」


「へえ。そこらへんいろいろあるんですね」


「おう。そういやお前の名前まだ聞いてなかったなー、名前なんてんだ?」


確かにまだ自己紹介をしていなかった


「ライデル・オーウェンと申します」


「そか、俺はロレイド・ヒューリアスよろしくな」


「よろしくおねがいします」


「そんじゃ次はお前が攻撃する番だな」


ロレイドが立って訓練場の対人スペースに戻る。

来ないのか?と言われたので俺も立って歩いていくことに

準備をして軽く挨拶をしてから攻撃を宣言する


「では、行かせていただきます」


とは言ったものの暗殺者は正面からの攻撃力と決定打にかける

だが、暗殺者だからと言って正面対決がないとも限らない

いい機会だと思って真正面から攻撃することに。

といっても暗殺者は一回の攻撃力に頼るような職業じゃないだろう

どちらかというと攻撃を重ねて相手にダメージを与えるタイプだと思う

だとしたらロレイドの阿修羅までとはいかないが連撃を必要とするだろう

とにかく力を込めることは意識せず速度にだけ集中し攻撃にうつった

一気に間合いを詰めてから連撃に入る

ロレイドが防いだ場所から、一番防ぎにくい場所への攻撃、隙のありそうな場所への突き、高速の中に混ぜる少々遅めの斬撃、たまに剣から気配を消してみたり。とロレイドが使った阿修羅六連斬の特徴をいくつか真似てみたり色々と工夫を凝らすのだが、10分続けてやった成果はロレイドを2歩下がらせることだけ


「分かっちゃいたんだが、攻撃軽いな......」


「ですねぇ...」


「まあなんだ?阿修羅の特徴をまねして攻撃してくるのはいいんだけど、あら一応それなりに力に頼った攻撃法だから力ないとただの遅い連撃なんだよ」


「そうですか」


「とりあえずお前の武器なら阿修羅より、千手観音のほうが向いてるだろうな~千手観音は完全に速度重視の攻撃方法だ。しかしうちのじっちゃんほんとホトケとやらが好きだったんだろうなぁ...基本ホトケとかジパンの神から名前取ってるらしいからなぁ。今のジパンにはないけどよ、昔はジパンにも宗教があったらしいんだわ。30年位前にあった東洋大戦争でほとんどの経典と書とかジパンほとんど物件が木造だからないろいろ燃えたらしいんだわ。んで今復興に忙しいから宗教のほうまで手が回ってないらしいな」


大戦争て...リアルだなおいここゲームだよな?


「そんなことがあったんですね」


「そうなんだよ主にチャイニン大帝国とジパン極東天皇国の戦争だったな......おっと訓練の話からだいぶずれちまったなそれで、千手観音だけどな?ものすごーく簡単に言えば力任せなのが阿修羅、速度任せなのが千手観音。つまり阿修羅を思いっきり力抜いて、速度を意識するってことだ。するとな?まあ習得者の技量にもよるんだが最大で分間で千連撃できるって話だ。完成形にもなれば千発の連撃を40秒以内に行えるらしい」


「となると...秒間16発から17発ですか。完成形で25発と」


連撃速度えぐいなぁ。現実でやったら腕もげるだろうなぁ


「お!計算早いな!まあそうなるなぁまあ一撃必殺よりちまちま追い詰めていく暗殺者にはそっちのが向いてるだろうよ」


まあそうだなぁ......ん?


「私暗殺者である事伝えてましたっけ?」


「んなもん戦い方とか、もろもろ見りゃわかるぞ?まあ戦闘職に限るんだけど」


流石天才。こんな逸材が最初の町にいていいのだろうか


「それじゃあ今からは千手観音を、といいたいところだけどな、もう街の定期巡回の時間なんだ。これから暗くなる時間だからな結構犯罪の取り締まりに力入れなきゃいけねえ時間だ。それにこれ結構長くてな。まあ2時間ぐらいかかる。どうする?ついてくるか?」


「そうですねついていっていいですか?」


「おうそれじゃあ俺の隊で行動しよう、俺が小隊長だから融通は聞く。それにまだほかの隊のやつらとは話してないだろ?」


そこらへん気遣いをしてくれるあたり隊長を務めているだけの目の広さがある


「お願いします」


そういえば......ミーちゃんどうしてる?いきなり訓練始めてほっといたまんまだから怒ってないといいんだけど


周りをきょろきょろ見ているとロレイドが声をかけてきた


「どうした?一緒に来た嬢ちゃんならあそこでスマーニャと話してるぞ。ちなみにスマーニャは俺の小隊の構成員だ数少ない女性憲兵で、細剣の達人。細剣だけなら天才の俺でもかなわん位の技量だ。気になったらあいつともやってみるといい。話はつけておこう。武器種的に似たところがあるからなんか盗めるだろう。特にあんたとかいろいろ盗んでいきそうだ」


そう軽く笑ってロレイドは一旦憲兵の宿舎に戻っていった。準備をするそうだ

俺は憲兵の訓練場前で待つように言われた。

ミーちゃんのところに行ってミーちゃんに話しかけてみた


「この後の街のみ周りにはミーちゃんも来るのですか?」


「うん......えっと、それよりライ兄すごかったね。あんなに激しい攻撃受けれるなんてそれで、武器のほうは使いやすかった?」


「はい大丈夫でした。重心も使いやすい位置にあって、重量も取り回しやすい重量です。ロレイドの攻撃はかなり衝撃すごいですけどね...」


「武器についてはよかった......その、訓練は、お疲れ様」


「ありがとうございます...あれ受けきるのは結構きついです」


「オーウェンーいくぞー」


宿舎から出てきたロレイドに呼ばれ二人で憲兵の見回りについていくことに

訓練場から出ると外は夕日が隠れかけており、街灯に灯りがともされていく夕焼けと反対側にはもうすでに星が出ていた夜の街ではいったいどんな発見があるのだろうか。今から気になって仕方がない

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