表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巻きぞえアリスの異世界冒険記。  作者: 冬野夏野
始まりの章
43/53

鏡の魔女と悪魔の誘い


「お姉さんいきなりそこの鏡から降ってきたんだよ」


起き上がるなり盛大にむせ出した私の背を優しくさすりながら、年端もゆかぬ茶髪の少年ことリスカル君が直ぐ背後にある壁を振り返る。

同じように振り返り確かめた壁の上には絵画が壁に飾られるように、ひたすら闇を映す気味の悪い楕円形の鏡が張り付いていた。


(鏡を使った転移魔法ってとこだろうよ。オメーやすやすととっ捕まって手錠されて転がされてたぜ。チョロすぎだろ)


「…アリスは意識あったのね?」


(まぁ…そもそも俺様は寝なくても平気だし、テメーが起きるまでの一部始終もしっかり見てたぜ)


「何で!?あんなに身体乗っ取りたがってたのに静観してるのおかしくない!?」


(何でって今日は機嫌がいいから何もしねーって約束しただろ?)


顔が見えなくてもどこぞの悪魔みたいに楽しそうにニヤニヤしながらそう答えているのが目に浮かぶ。

ジルベルトさんの魔道具もない丸腰で得体の知れない奴らに拐われるくらいならアリスに身体奪われた方がまだマシに思える。

調査途中でまだ黒幕が不確定な状況下でもしもソーマみたいにアリスを狙っている連中の仕業なら最悪だ。


「お姉さん…誰と喋ってるの?…大丈夫?」


一人喚きだす私に対して同じく閉じ込められていた少年少女達がドン引きして距離を取る中、リスカル君は戸惑いながらも心配そうに覗き込んでくる。

誘拐犯への不安はあれど、恐らく教会で聞いた話の被害者、誘拐された子供達を見つけられたのは成果として考えよう。

軽く錯乱していたのを誤魔化すように咳払いをしてニコッと笑って見せた。


「ごめんね!大丈夫大丈夫何でもないから…それよりこの中にナタリアちゃんって女の子はいるかな?」


「ナタリアちゃんは…」


そんな私の大きな声を聞いてドン引きしていた子ども達は一様に青ざめた顔をして黙りこくってしまった。

…反応からしてとりあえずはナタリアちゃんのことを存じてるみたいだし、やっぱり拐われた子はここに連れて来られたと見て間違いないみたいだが…些か空気が重すぎる気がする。

小首を傾げる私に顔を曇らせていたリスカル君が恐る恐ると言ったようにか細い声で喋り出した。


「ナタリアちゃんは…随分前にどこかに連れてかれちゃったんだ」


「……マジで?えっいつ頃?誰に?」


「…ま、魔女」


「魔女…魔女か…へぇー」


オッサンとか答えてくれたならヘイゲル侯爵かと思える所、まったく覚えのない魔女が出てきて反応に困る。

あれかな、侯爵夫人のことだったりするのかしら…もっと詳しく話を聞こうかとした時だった。


(…!話を聞く手間が省けたみたいだぜ)









ー巻きぞえアリスの異世界冒険記43ー









「ハァイ、こんばんは〜♪生け贄の皆〜っ!良い子にしてたかしら〜?」


ボワンと突然牢の前に発生した禍々しい煙がやがてダイナマイトボディーの長い菖蒲色の髪をゆるく纏めた三つ編みを揺らして妖しげな笑み浮かべる妖艶な美女へと変わった。

可愛らしい日傘をステッキのようにクルクル回してゴシック調の可愛らしいモノクロワンピースが似合う美女であったが、人では到底あり得ない病的な顔色の悪さからして噂の魔女であると直ぐに理解した。


「ひっ…」


「や、やだ…食べないで!」


上機嫌な魔女とは逆に周りの子ども達が酷く怯えてガタガタ震え出した。

しっかりしていたリスカル君も小さくしゃがみ込み、無意識なのか私の服の袖をギュッと掴んで震えてる。

こんなに怖がられるって、どれだけ恐ろしい存在なのか、来たばかりの私には分からないけど自然と体が強張って立ち上がれない。




「やぁね〜獣じゃあるまいし、頭からバリバリ食べたりなんかしないわよ…私が食べるのは寿命♡あなた達の若さが欲しいの」


(同じことじゃねーか)


まったくアリスに同意なんだけど、アリスも似たようなことするよね…魂回収とか。


「ウフフッ…殺したりしないわ。安心しなさい」


ヘイゲル侯爵邸やあの怪しい井戸内に魂が彷徨ってなかったのを思うとこの場所が別に隔離されているのか、彼女の言う通り本当に死者が出てないのかわからない。


(この女から香る悪臭、相当だぜ…気をつけな)


アリスの謎センサーに引っかかるほどならやっぱり危ない存在であるようだ。

丸腰な今、私だけでどうにかできる気がしないし、カミル達が来るまで息を潜めるかなんて弱腰でいると、彼女の視線がすっと私の横のリスカル君を捕らえた。

ビクッと震えるリスカル君を見つめて、より笑みを深めると彼女はゆっくりとステッキで

鉄格子の扉を叩いた。







「可愛い坊や、今日はあなたにするわ。さぁ、こちらへおいで」


自動ドアのように勝手に開いてく扉は嫌な音を立てながらゆっくりと開き、前で怯えていた他の子ども達も左右に詰めてしまい、モーゼの海割りみたいに見事な道ができてしまう。







「っ……ぼ、僕「ちょっっっと待ったぁあーーっっ!!」!!お姉さん…」


完全に萎縮して青ざめた顔をするリスカル君が唇を震わすのを見てついつい庇うように立ち上がってしまった。


「あら、あなた…」


「こ、この子じゃなくて私を連れて行きなさいよ!!ほら!こんなに生気も溢れてるし!」


周囲の視線を一心に受けてテンパった結果、リスカル君から標的を逸らすためとは言え思わず意味のわからないアピールをしてしまった。


(馬鹿なの?)


アリスに言われるまでもなく、自分でもそう思う。

そう簡単に死ぬ心配がないからとは言え、丸腰で立ち向かえる相手じゃないだろうに…。

しかしリスカル君及び他の子達に危害が及ばないようにすることと、ナタリアちゃんの安否確認のためにもどうにかまず牢屋を出たいのだ。

私が彼女に勝てる確率なんて万に一つもなくても、私の異変に気付いたカミル達が助けに来てくれると信じている。

だから大丈夫だと、重い沈黙の中でも真っ直ぐに私は魔女を見据えた。







「ふふふっ…新しい生け贄を送ってきてくれたとは思ってたけど、まさかデストラ様が捜してた宝具持ちだなんてラッキー♪」


沈黙を破る少女のように無邪気な笑い声に呆気に取られたのは一瞬で、すぐ様アリスについてご存知であることに気がついて顔が青ざめて行く。



「えっちょっあのぉああ゛ーーーっ!!!」


何かしらのアクションを起こす前にステッキの先から蜘蛛の糸のように伸びて来た青白い光に拘束され、心配そうなリスカル君他の子ども達に見守られながら情けない悲鳴を上げながら引きずられて行った。



薄い服越しに背中と砂砂利でゴツゴツした床が擦れて痛いし、謎の魔女はフワフワと浮きながら止まる気配もなく、この後何をされるのか不安だ…しかし気になる発言あったから、痛みは我慢して情報を引き出したい所存。




「あのー…もしかしてあれですか?太陽の中に目が描かれた変なシンボルマークの…」


「あら、よく知ってるのねぇ…レブルの民って聞いたことあるのかしら?」


「レブルの…民?」


何だかどこかで聞いたことある気がするけどま…組織名はともかく彼女がソーマと同じ組織であるのは間違いないようである。


「知らないようね…いいわ、教えてあげる♫私達はねぇこの不愉快な世界の破滅を望む者にして、今は雲隠れなされているサナトス様を蘇らせるべく活動してるのよ」


「あっ…邪教徒の方でしたか…」


「邪教徒だなんて酷いわぁ。私達レブルの民はねぇ、サナトス様から生まれたの。シュトラールを持ち上げるあなた達とは信仰する神が違うだけ。サナトス様だけが私達の神なのよ」


以前読んだおとぎ話を信じるなら確か創造主はリヴェロアスタって神様なのだろうけど、実際の所そんなのわからないし、そもそも無宗教の私からしたら信心深い彼女の話も狂信者の戯言にしか聞こえない。

嬉しそうに声を荒げる姿はただただ恐い。



「生まれたとか何とかちょっと色々理解できないんですけど…破壊神って、壊す以外にも作れたりするんすか」


「破壊と創造は表裏一体よ。そもそも破壊神だなんてあなた達人間が決めつけてるだけでしょう?」


「えっだって破滅を望むとか何とか…違うんすか?」


「間違ってはないわよぉ♪このフォルテシアは破壊するもの」


やっぱり破壊神じゃないか!と心の中で叫ぶと同時にすっかり謎の広い場所に連れて来られたことに気づいた。

薄暗い空間にやがて静かに灯った青い光に照らされた様々な形の鏡が壁一面に張り付く嫌な雰囲気の漂う部屋の真ん中で魔女はゆっくりとこちらを振り返る。








「いらないものを排除した後には新たにサナトス様とその民である私達だけの理想郷を築くの♫とっても素晴らしいことと思わない?そのためにもあなたの宝具は必要なの」


さらりと悪の組織の恐ろしい思想をぶっちゃけるなり、魔女は妖艶な笑みで見下しながらゆっくりとアリスへと手を伸ばした。


「心配しなくていいわ…私は無駄な殺しはしないから安心なさい」


甘く痺れるような優しい囁きに首を落とされるか、絞められるのではと思っていた不安はなくなり、とろんと気持ちのいい眠気に誘われる。

ヤバい…今寝たら絶対ヤバい……ヤバすぎる。

分かっていても甘美な眠気には抗えず、妖しい笑みを一層深める彼女を見つめながら私はゆっくりと暗闇へと落ちていった。



























「姉ちゃん全然こねぇな…また拐われてたりしてな」


侯爵の屋敷中央にある夜中の静かな噴水庭園で闇に紛れながら和を待っていると、不意にニールがそんな不穏なことを笑いながら呟いた。


「まさか…」


いくら何でも数分でしかも味方の多いこの状況で騒ぎにもならずに拐われるようなことがあるかよ。

ニールと和が連れて行かれた方角の建物を見れば、廊下を覗ける窓から見張りの騎士団員ロッシュが暇そうに欠伸を零しているほどだ。

しかしこの場所にニールと合流してから随分と時間が経過しているし、彼女は何かと巻き込まれ体質でついでに呪われている身だったと考えれば考えるほど不安になって来た。


「……」


「……」


「…ちょっと部屋見てくるべ」


「…俺も行く」


中央広場から和が割り当てられた北館の見張りが立っていた部屋へと屋敷の裏側から回って近く。

薄暗い森を背に窓もカーテンもしっかりと閉められた部屋から物音はせず、明るい光だけが隙間から漏れていた。

窓を開けようとすれば耳障りな物音を立てるだけで鍵がかかって簡単には開きそうにない。


「任せな!」


自信満々にニールが窓辺に立つとじっと目を細めて窓を観察した後に尻のポケットから鍵束のように様々な形をした針金といくつかの鉄板のついた器具を取り出し、その中から薄い鉄板を両開き窓の隙間に差し入れてゆっくりと上へと滑らせると、カチリと小気味良い音を立ててゆっくりと窓が開いた。

振り返るなり得意げに笑う友人に実に見事な手際だと感心するも、手ぐせの悪さばかり磨きがかかって少々心配にもなる。




「…和?」


カーテンを退かして部屋を覗き込んでみるが、室内に人がいる様子は全くない。

ベッドの上に和がいつも持ち歩いている鞄と様々な魔道具が散乱した他に荒れた形跡はなく襲われた様子はないように見えるが彼女の姿は見当たらない。

ニールと共に静かに部屋の中へと入り、よく室内を調べるがまったく和の形跡が掴めない。


「いねーな…姉ちゃんと入れ違いになったとか?」


「…窓は全部鍵がかかってるし、わざわざ便利な道具を置いていく理由はないだろ」


「じゃぁー…便所とか行ってんじゃねーの?」


「だったらロッシュもついてくぞ。張り付いてくる奴だからな」


以前誘拐騒ぎで軽く軟禁状態にあった俺はあいつに見張られていたからわかる…どこへ移動しようと笑顔でついてくるそんな男だ。

だからあいつが部屋の前にいるのであれば和は廊下に出てはいないだろう。


「これ何の魔道具だろうな?爆発でもすんのかな」


「そう思うなら勝手にいじるなよ」


ニールが退屈そうにベッドの上にあったボタンのような魔道具を手に取り、不穏なことを口にした瞬間押しまくっていたが……幸い爆発も何も起こる様子もなく、室内は静寂に包まれてつまらなそうなニールがそれを俺に投げ寄越して来た。自由すぎて困る。

その後も当然のようにベッドに寝転がりながら魔法の地図を眺める友人に呆れはてるが、地図を眺めていたニールが突然ベッドから跳ね起きた。一々反応が煩くて鬱陶しい。




「カミルーッ!!これっ!これ見てみろよ!」


「うるさい!ロッシュにバレるだろ!静かにしてくれっ!」


さっきから音量を抑える気のないニールの大声についに痺れを切らして口を塞ぐ俺に抵抗するかのように、顔面に地図を押し付けてくる。

仕方なく片手を放して地図を奪い、見てみると屋敷が真っ赤に染まっていた。






「………は?」


「…ぷはっ!なっなっ!ヤバくね!?ここ魔物だらけってことだろ!」


「いや、おかしいだろ…こんなに魔物がいたら今頃大騒ぎになってる」


屋敷内の住人を表す緑色の丸は魔物溢れる中を平然と動き回っているし、実際この屋敷で魔物なんて見ていない。

…前に和がリーゼンフェルトに恐ろしい魔物がいると騒いでいたことがあった。



「…魔物がいるのは地下だ。和も地下に行ったか、連れてかれたのかもしれない」


乱雑に荷物を置いて行っている様を見れば後者だろう。

ここは一見何の変化もない普通の客間だが、何処かに地下へ繋がる通路があるはずだ。

それを探そうと地図から顔を上げる前に冷たい夜風が首筋を撫でた。




「誰だ!!」


…部屋に侵入した際に窓は閉めたはずだと異変に気づき、振り返れば窓辺にツノと黒く禍々しい悪魔の翼を生やした異形の黒い影が立っていた。


悪魔だ。

一度遭遇したことがあるせいか自然なほど直ぐにそう理解した。

そうそう出会う確率のない物語上で語られる悪魔との遭遇に咄嗟に反応できずに立ち尽くしてしまう。

何かを探すように気怠げな金色の瞳を彷徨わせる人ではないそれは、いつかの誘拐事件で危ない所を圧倒的な力で救ってくれた和の知り合いの悪魔に似ている。





「………」


最初こそこの屋敷の魔物を従える悪い悪魔かと思ったが、敵意を感じられない眠たげな瞳に羊のような渦を巻いたツノとコウモリのような翼と言った容姿に聞き覚えがあった。

警戒して武器に手を添えるニールを制し、ぼんやりしているそいつに俺は恐る恐る声をかけた。




「もしかして…悪魔のノワールか?」


「………」


言葉での返事はなかったが、彼はゆっくりと俺を視認すると一度だけ小さく頷いた。

和から少しワルツと言う魔法使いやこのノワールの話を聞いていたこともあり、彼が敵でないことには一先ず安心したが、何故この場にいるのかと不審がっている俺の手からおもむろにさっきニールに投げ渡された魔道具を奪われた。


「…緊急連絡……フォルカの代理…」


ボソボソ喋られてよく聞き取れなかったが、とりあえずさっきの魔道具は助けを呼ぶボタンだったようでこうして助けに来たと言うことらしい。

さっきからやたら辺りを見回していたのは魔道具の持ち主である和を探しているからだろう。


「このボタン押したのはこいつなんだ。勘違いさせてすまない」


「……」


「でも今、和が突然いなくなって大変なんだ。良かったら一緒に捜してくれないか?」


「…わかった」


彼の独特の雰囲気には何となく気圧されてしまうが、素直に頷きベッドの上に散乱する道具を集めてせっせと鞄に詰める姿から面倒見はいい奴なのかとも感じる。




「今なー…この地図にめっちゃ魔物いてさぁ。地下室でもあるんじゃって疑ってんだよね。それで姉ちゃんもこの部屋のどっからか地下に連れてかれたんじゃねーかと思うんだけど、悪魔の兄ちゃんはどう思う?」


「………」


ニールが差し出した魔法の地図を見ていたノワールはしばらくしてからおもむろに室内に降り立つと、迷いなく部屋の隅にある鏡台へと向かって行き、鏡に手を触れた。

すると目の前に立つノワールの様子を映していた鏡の中の景色が歪み、どす黒く渦を巻きノワールの手を鏡の中へと吸い込んでいく。



「!」


「んなっ!?」


「………」


突然の出来事に驚く俺とニールを振り返るノワールは一度瞬きをすると、そのまま抵抗することなく鏡の中の暗闇へと消えて行こうする。



「ちょっと待てって!ぬわぁーっ!?」


反射的に彼の服の袖を掴んだニールも巻き添えを喰らって2人とも鏡の中へと消え去った。


「ニール!!」


慌てて鏡に近づき鏡を覗き込むと一瞬ノワールとニールが全く別の部屋へと投げ出される様子を映し、波打ち出した鏡面はやがて何事もなかったようにただ呆気に取られる俺の顔を映した。



「な…何が起きてんだよ」


あまりにも展開が急すぎて理解するまでにやや時間がかかったが、どうやらこの怪しい魔法がかかった鏡が原因で和はここにいないのだろう。

鏡の先は一瞬映った別の部屋に繋がっており、その場所が魔物の巣食う地下室へと続いている可能性が高く、こんな鏡を設置している部屋に客人を泊まらせるヘイゲルはいよいよ疑わしい。

鏡を潜る前に俺はクロード兄様に和がいなくなったことや怪しい鏡、地下に潜む魔物についての情報を伝えるために手早く宙に魔法陣を描いた。

思念を込めて生み出した光り輝く蝶が静かに窓を出て夜空を羽ばたき、兄様の元へと向かって行った。




「……」


今はまだしも結構危険な状況下にあるから親父にも連絡をした方がいいかと一瞬迷うが、俺があれこれ余計なことをするよりもクロード兄様に任せた方がいいかとすぐ様描きかけた魔法陣を掻き消した。

鏡の先に何があるかはわからないが、ニールと無口ながらも頼りになりそうな悪魔のノワールもいるんだ。

何とかなるだろ。


それに呪われてる上に厄介な連中に狙われてる和の身が心配だ。

シルフの森では大変な騒ぎがあったというのに俺は安全圏で守られるばかりで何も出来なかった。

俺はもう守られたまま何も出来ずに後悔するのは嫌だ。






「…今度は助けてやるからな」


和だけでなく、リーゼンフェルトの民である子ども達も必ず見つけ出して救ってみせる。


決意を新たに俺は迷うことなく鏡の中へと飛び込んだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ