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巻きぞえアリスの異世界冒険記。  作者: 冬野夏野
始まりの章
22/53

楽しい宝探しと呪われる私



「よぉし…ペンダントよ、私を導いておくれ」


気合いを入れて石に魔力を注ぎ込むために両手で包み込んで強く念じた。

ひとしきり念じて、手を開いて石を見てみる。何となく淡く光ってる気がする…これは気のせいかもしれない。

ワルツさんの言葉を思い出し、改めて私はできる子だ!ここぞと言う時にこそやれるのだと自分を鼓舞して、ペンダントの首紐を腕に絡めてぶら下げた。



「…導いて!」


ゆらゆらと揺れていたペンダントが止まったかと思えば、私の声に応えるようにゆっくりと独りでに動き出した。


「…おぉおお!!」


本当に道を示してくれたことに驚きつつ、集中力が切れて落下したことを思い出して直ぐに似顔絵を頭の中に思い浮かべる。

洞窟の奥を指し示すペンダントに従って、私は洞窟探索へと乗り出した。















ー巻きぞえアリスの異世界冒険記22ー












狭い洞窟を奥へ奥へと続く暗い道が続く。

幸いこの洞窟内にはモンスターがいないのか、今の所は問題なく先へ進める。

暗いのが雰囲気的に怖いのだけども、ペンダントの淡い光が周りを照らしてくれるのでちょっと安心する。

そうしてしばらく進むと狭い洞窟を抜けた先のドーム状に岩壁に囲まれた空間に出た。

足元には青々とした草花が茂り、オレンジ色の夕陽が差し込む天井部分だけがくり抜かれて茜色に染まった空が伺える。中々に幻想的な空間だ。

しかし茶色い岩壁が崖のように高くそびえているので、ロッククライマーでもなきゃ登れない険しさだし、ここだけ落とし穴みたいに窪んだ場所であるから抜け出すのは困難だろう。

もしかしたらさっきまでいた森のさらに下の部分にある崖の下に出てきたのかもしれないと考えながら、未だペンダントが指す方へ歩いている私の足元に見覚えのある石を見つける。

それは憎らしいほど上手に描かれたワルツさんの似顔絵石だった。




「やったぁ!マジで見つかった!!すごくない!?」


思いつきで始めたダウジング作戦があまりに調子がいいものだから思わずハイテンションになって飛び跳ねる。

誰かに褒めてもらいたい所だが、誰もいないので自分で自分を褒め讃えながら私は石を拾い上げてポケットにしまった。

3分の2は見つけたのだから私にしては本当に頑張った思う。この調子であと一つ見つけられたら最高だけど…。

陽が沈みかけて茜色に染まる空を見上げて間に合うか心配になるが、未だに独りでに動いて道を示すペンダントを見るにもう一つも見つかる予感がした。

ペンダントが示す先にはまた違う洞穴がある。

この穴が森へ出る通路になってるのかもしれない。





「よっしゃあ!!ワルツさんに吠え面かかせてやるわ!」


気合いを入れて颯爽と向かった穴の中はさっきの洞穴よりも広くはなったが、ほとんどが不安定な岩で形成されているので足場がでこぼこしていたり、高低差で歩き辛い。

さらに苔生した岩ばかりで足を滑らせそうになった。

やがて歩きにくさに四苦八苦する私の耳に遠くから水の音が聞こえてくる。

心なしかひんやりしてきた洞窟内も茶色から赤い岩肌に変わり、相変わらず歩きにくいが足元も安定してきた。

どんどん大きくなる水音とペンダントに誘われるままに私が出た先には、外から射し込む夕陽と共に洞窟へと流れ込む澄んだ青い水が洞窟の真ん中に見事な滝壺に吸い込まれていく。さらに奥へと続く洞窟内を青く照らす神秘的な地底湖がそこには広がっていた。

目的も何もかも忘れてしまうくらい心を奪われる光景にただただ見惚れてしまう。



「綺麗だ………おっ!?」


ぼんやりと美しく幻想的な景観に見惚れていると、ペンダントを絡めていた腕がグイグイと滝壺の方へと引っ張られる。

今までにない強引な誘導をするペンダントに驚きつつも、目的を思い出した私はすぐに誘われるままに足場の岩場を駆け下りて行く。

滝壺ギリギリまで近づいて気がついたが、滝の裏手には小さな洞穴があるみたいだ。

足場の岩もちゃんと繋がっているのでそのままペンダントに従って進むが、しばらくしてこんな所に石が落ちてくるのかと疑問が生じた。

先ほどの滝壺に落ちてくる可能性はあってもこんな洞穴にあるのか?と思っていたらあっと言う間に行き止まりにぶち当たった。

小さな何もない空間で石が落ちている様子もないのに、ペンダントはどんどん荒ぶって行く。

空間の真ん中で地面を指すようにひたすらぐるぐる回り続けているのだ。


「?何もない…掘れってこと?」


当然ペンダントが答え返してくれる訳もなく、依然として回り続ける。

仕方なくその場にしゃがんで両手を使って土を掘り返してみる。


「うひぃ〜…爪に土がぁー」


爪に土が詰まるし、時々ガリッと小石を引っ掻いてしまい指が痛い。スコップがあればと不快感にただただテンションが下がる私だったが、側で震えるペンダントに急かされるからひたすら掘り続けた。

似顔絵石が埋まっている可能性はゼロに等しいが、こんなにすごい震えてるのだからきっとお宝でもあるに違いない。そうでも思わないとやってられない。

大分掘っていた穴が広がり、そろそろ手が痛くなって来た頃に土とも石とも違う硬い感触に出会う。


「?何か埋まってる」


被さっている土を退けると姿を現した硬いものの正体をつまみ上げる。

金属っぽい感触がするものの、それが出てから突然ペンダントが動きを止めた上に光らなくなったので真っ暗になってよく見えない。

滝の音を頼りに洞穴を這い出て、手に持っていたそれをかざしてよく見てみる。


「ネックレス?」


土にまみれて随分汚れているが、金の首紐の先に輪っかに囲われた美しくも不気味な夜色の暗い宝石が埋め込まれて、輪っかの周りにもジャラジャラと小さな宝石が装飾された首飾りだ。

丁度目の前にある水場で土汚れを落とすついでに手も洗うことにした。

リシェットさんが作ってくれたハンカチをポケットから取り出して拭ったネックレスはさっきとは見違えるくらいに美しく輝いていた。



「おおっ!すごい!何か高そうなネックレスじゃん!」


アクセサリーを好んでつけるほど興味もお金持ちでもなかったので、どんなネックレスが高価なのか目利きできるほどではないが、このネックレスが恐らく価値のある物であることは何となく伝わって来る。

じっとネックレスを見つめていると、輪っかの中にある黒い宝石の中に点々と輝く白い光が渦巻いた気がした。












ー……と……覚め…れ…ぜ…ー





「…えっ?」



ふと誰かの掠れた声が聴こえた気がして辺りを見回すが、滝壺の水音と私が身動ぎして響く物音以外は聴こえてこない。

……気のせい?

小首を傾げたその瞬間、手に持っていたネックレスが意思を持ったかのようにフワリと浮き上がった。



「えっ!?何!??うわあっ!!」


驚いてる間にも私に向かって来たネックレスを防ぐことも出来ずに立ち尽くしていると、何と器用に私の首に巻きついたネックレスが一回り首に回った時は、首でも締められるかと思ったが、独りでに動いていたのが嘘みたいに勝手に装着された後にはぶらーんと私の首から垂れ下がるだけだ。



「え…何これ怖っ」


明らかに怪しい挙動をしたネックレスには不信感しかなく、慌てて取ろうとするけども……


「うぐぐっ…取れんぞぉっ!!」


緩くぶら下がっている部分はともかく、首にしっかりと一周して巻きついた首紐がビクともしない。

無闇に引っ張ると首が締まりそうだし、独りでに動いてたヤバいネックレスだ…私ごときの力ではどうにもできそうにない。




「……ふぅーっ…よし!石探そ」


ネックレスを剥がすのを諦めた私はこの意味のわからない現実から逃げるように当初の目的を思い起こし、とりあえずは洞窟を抜け出すことにした。













「やっと外に出れた…」


重い身体を引きずりながら洞穴から地上へと這い出た私はフラフラと立ち上がって、空を見上げた。

太陽が姿を消した空には月が顔を出して辺り一面に散らばる星々が七色の光を放っていた。


「夜だ…」


長い間洞窟内をさ迷っていたせいか、転んだり落ちたり全力疾走したせいか、はたまた謎のネックレスに生命力でも吸い取られているのか、今にも倒れそうなくらいに疲れ果てた。

ペンデュラム代わりに使っていたペンダントももう動く気配もなく、石を探す当ても気力もない。

寮で私を待っているだろうルーチェを思い浮かべては帰りたいと願うが、魔法が発動することもなく飛べそうにない。

仕方なく暗い森の中をのそのそと歩くが、今思えば飛べもしない一人きりの私がどうやってワルツさん家に行けばいいんだろう。

あまりに急な話なためにジルベルトさんがくれた魔法の鞄は持ってこれなかったし…。



「ヤバい…」


この状態で魔物に遭遇したら本格的にヤバそうだと思えば、ガサガサと草むらから何かが飛び出して来た。

もう全力疾走するほどの体力もないぞと慌てて後退り、飛び出して来た謎の生命体を睨む。

小型犬ほどの大きさのそれは紫色の丸い身体をゼリーの様にプルプルと震えさせて、ぱっちりした2つの眼で私を伺っていた。

何これ…?

その辺に転がっていた木の棒でつついてみると、ゼリーよりも強度のあるグミのような感触がするそれは一度ブルっと震えると、2、3歩離れて行く。




「…もしかしてスライム?」


目は付いているが、口のないそれが私の問いに答える事はなかったが、この不思議で貧相な見た目は多分そうだ。

前にフォルカさんが私がスライムにも劣ると言っていたのだが、遠くでプルプル震えるスライムを見て、さすがにこれには負けないだろと思っていると突然背後から柔らかい感触に襲われる。



「うわー」


どうもいつの間にか背後にいた青色のスライムが飛びかかって来たのだが、グミ並みに柔らかい感触に痛みはない。

しかしその青いスライム以外の赤・緑・黄と複数のスライムにど突かれて、私はゆっくりと地に伏した。

全く痛みはなく、優しく押された程度の力だったが今の私にはそれも効く。

攻撃してるつもりなのか私の上で跳ねるスライム達になすすべもなく、私はもぞもぞと地面をかくだけでどんどん増殖するスライムに埋め尽くされて行く。


「お…重い…」


さすがに重量が増えて苦しくなってくる。

反撃しようとちょうど手元に転がっていた石を握り込み、腕を振り上げようとしたが、すっかり覆われたおかげで身動き出来ず、私の頬を踏みつけるスライムでさえ払え退けられない。

最初に会ったワンちゃんやあの大熊よりも圧倒的に易しいスライムにも劣る自分に涙が出そうだ。

フォルカさん…あなたの言う通り、私はスライムにすら勝てなさそうだよ…むしろこのままゆっくり殺されそうな雰囲気だよ。

心の中で無表情のフォルカさんにそう話しかけて、ゆっくりと目を閉じた。


とにかく疲れたよ…。


もう意識が飛びそうだと予感したその時、身体にのしかかっていた柔らかい重みが離れて行く。

ピキキーっ!なんていう聞いたことのないおかしな悲鳴に重い目蓋を開けば、月を背にしたツノと羽の生えた黒い影が私の上に乗ったスライムをつまんでは投げ飛ばしている。


「………」


「…ノワール君?」


そう呼びかけるとピクッと反応を見せた影が最後に私の頬にに乗っていたスライムを跳ね飛ばして手を差し伸べた。

その手を掴むと力強く私を起き上がらせた影、もといノワール君が眠たげにけれども優しく微笑んでいた。


「…もしかして迎えに来てくれたの?」


「………」


私を立ち上がらせてポンポンと土埃を払うノワール君がコクリと頷くのを見て心がじんわり温まる。

1人で心細かったのもあって、ノワール君の優しさと気遣いがただただ嬉しい。


「でも石まだ一つ見つけてなくて」


「……」


ノワール君がこうして迎えに来てくれたにもかかわらず、ワルツさんの課題を達成できてないことが何か申し訳なくてシュンと落ち込んでしまう。

そんな私に不思議そうに首を傾げたノワール君が先ほどからずっと握り込んでいた手を優しく包み込んで、そっと開かせた。

何とかスライムに抵抗しようと手元の石を掴んだその手の中には、下手くそなノワール君の似顔絵の描かれた石があった。


「…マジか」


「……」


たまたま近くに転がっていた石を拾ったが、それが偶然にも探し求めていた物だとはつゆほどにも思っていなかった。

それが奇跡に近い偶然だったとしても、ワルツさんの課題をクリアしたことに疲れ切っている身体でも私は両手を振り上げて、大袈裟に喜び踊った。



「やっっったあーーっ!!」


しばし飛び跳ねたりして1人喜びまくっていた私だったが、思い出したように身体から力が抜けて背後に倒れそうになる。

それをボスッと抱き込む様に受け止めてくれたノワール君が珍しくぱっちり開いた瞳を優しく細めて笑った。






「……おつかれ」


初めて聞いたノワール君の鈴を転がすような耳に心地いい澄んだ声に私は驚くよりも先に、ノワール君がくれた安心感と疲れに身を任せて一度ふにゃりとだらしない笑顔を浮かべて、重い目蓋を閉じた。














夢を見た。


何故夢だと判断したのかと言われればどう説明すればいいか惑うけど、私が私を見ていたという何とも不可思議な状況だからだ。

しかもその『私』が鏡で見るアホ面平凡な自分とは見紛うほど凶悪な顔をしている。

顔だけでこいつやばい奴だとわかるほどの悪意に満ちた笑みを浮かべる『私』にこんな怖い顔したことないし、もはや顔芸レベルの表情ができる『私』にショックを受ける。

どこかもわからない広く殺風景な部屋の中にある台座に刺さった如何にもな剣を引き抜き、『私』は悪役にしか見えないくらい見事な高笑いを上げている。

そして背後から現れた焦ったような顔のカミルやニールを見て不敵に笑い、何か言葉を交わしていたみたいだったが、突然手に持っていた剣を高く投げ飛ばした。

そして宙で舞い踊る剣に両手をかざすと見たことのない青黒く発光する魔法陣が展開されて、魔法陣から黒紫色に光る禍々しい光が放たれた。

その凄まじい闇の閃光が剣を飲み込み、粉々に打ち砕いた瞬間、まともに立っていられないほどの地響きが起こり、皆思わず膝をついたり、地に伏してしまう。

そんな中で地震を物ともせず、笑い狂う『私』は凶悪な笑顔を浮かべながら拳を作ったと思えば親指を立てて、思いっきり下に向けた。







「あはははははははははっ!!全部奪ってやるよ!この俺様がなぁっ!!」



そう『私』が高らかに叫び上げた所で景色は暗転して、一瞬の閃光に思わず目蓋を閉じた後に少しずつ瞬きを繰り返して目を開けた。

ぼやけた視界がクリアになると心配そうに眉根を下げたヤス先輩とノワール君、無表情のワルツさんが寝ているらしい私を覗き込んでいた。


「ノドカちゃん!大丈夫すか?」


「……」


「…ちゃんと目覚めたか」


「…皆どうしたんですか…近いし、吃驚するじゃないですか」


ゆっくり身体を起こすと身体に掛かっていた毛布がズレる。どうやらソファーに寝かされていたみたいだ。

そうだ、私は石集めに疲れて倒れた所をノワール君が運んでくれたんだった。


「何か随分うなされてたみたいっすけど」


「…私、厨二病なのかも」


「何言ってるかわかんないすけど、大丈夫そうっすね!」


先ほどの光景が夢であることに安堵しつつ、あんな夢を見るほど拗らせているのかと1人頭を抱えた。

そんな私を怒るでも心配するでもない無表情でじっと見てくるワルツさんの視線を感じた。


「……まぁいい、ノドカ!制限時間オーバー、修行中に力尽きる!それからその……ノワールの手を借りた点はクソだが、ちゃんと全ての石を見つけた点はだけは褒めてやろう!貴様は虫けら以上だ!良かったな!!」


「もっと綺麗な言葉で褒めて」


「まぁ、とりあえずワルツさんの無理難題クリア出来て良かったっすよ!おめでとう!」


「ありがとう!…いやぁ、前情報もなく魔物に遭遇した時は死ぬかと思いましたよ〜」


そうジロリとワルツさんを見やると一瞬目線を逸らした後に、開き直ってドヤ顔をした。こ、こいつ…。

そんな様子を見て焦りながらも場を和ませようとするヤス先輩が思い出したように手を合わせて声を上げた。


「そうそう!今日はノドカちゃんの歓迎会も兼ねての晩餐会っすから!腕によりをかけて飯作ったんすよ!!」


「あ…確かにすごくいい匂いする…お腹空いた」


「軽く温め直して食べるっすよ!」


そう言って張り切るヤス先輩が直ぐに食堂に向かった。

その後をノワール君も追い、私も激しく主張するお腹に従ってソファーから抜け出して廊下に出ようとした。


「ノドカ…貴様のそれはどうした?」


「?これですか?」


私の前に立ったワルツさんが食い入るように謎のネックレスを見つめる。

確かにこんな派手なネックレスつけて帰って来たら気になるよね。

私は再度ネックレスを取ろうと首紐を引っ張るが、うんともすんとも言わない。うん!やっぱ取れない!


「石探してる途中の洞窟で見つけたんですけど、ふんっ!……何か勝手に装着されちゃって、ご覧の通り取れなくなっちゃったんですよ」


「ふむ…呪われたな!ノドカよ!」


「うわぁ…やっぱそういう類いですか…ワルツさん何とかしてくださいよぉ」


「残念ながらこの天才の俺様にも不得意な分野もある!」


「そんないい顔で無能発言されても…ジルベルトさんなら取れるかな…」


「俺が出来ないんだからあいつができるわけないだろ!!どうしても気になるなら教会や聖堂の神官に頼むんだな」


教会に行けば呪いのアイテムを解呪できるのか…聖職者であればヨルン神父でもいいかな?そう言えば借りていた服も返さないとだ。


「…ノドカ、そいつからは強い怨念を感じる。貴様が死ぬことはないだろうが、気をつけろよ」


「え…あ、はい」


不穏なことを言い残して部屋を後にするワルツさんを見送ってから、気遣われたことに驚きつつ改めて呪いのネックレスを見る。

不老不死効果で死ぬとまでは行かないと思うが、呪いの効果ってどんなんだろう…?

ゲームであれば身体が痺れたり、動かなくなったり、錯乱したり、味方攻撃したり…色々あるけど突然人刺すような部類だと私はまた牢獄行きになっちゃうよ。


「…明日教会行こ!」


結局悩むだけ悩み、そう心に決めた私は今日はもう何も考えずに楽しむスタンスで早々に食堂に向かった。

豪勢な夕食を前にして、私を待ってくれていた皆の姿に心温まりながら、ワルツさん宅で死にかけた以前とは打って変わってその日は楽しく幸せな夜だった。




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