私と付き合う権利は永久にありますよ!
この状況……。どうすれば……?
「おい、なんか言ってみろ!
コラァ!」
……。どうしよう。
!? ふえ!
……。けど、喧嘩しちゃったし、
今日休みだし……。
来ないよね。
バラバラバラッ!
!? こ、これは……? な、生ゴミぃ!?
その中には、鉛筆の削りカスや、
ティッシュ、昨日の給食などが
あるから、おそらくゴミ箱を
ひっくり返したのだろう。
ガチャガチャッ!
必死に私は抵抗する。
ドアを必死に開けようとするが、
女生徒たちにドアを抑えられてるか、
思い何かをドアの前に置いているのだろう。
ビクともしない。
「これは、鳴らしたほうがいいの……? 」
「はぁ? なにボソボソ言ってんの?
ボソボソ言わねぇで、普通に言えよ!」
きてくれない確率の方が高い。
そう私は思う。
でも、ダメ元で……。
ピィーッ!
「な、何よ、この音!」
しかし数秒たっても、アイツは来ない。
やっぱり、無理じゃん……。
「ふぅ、まったく、変なとこで呼ばないでくれよ、ご主人サマ」
「この声……!?
き、来てくれたの!裕ちゃん!」
来てくれた!
嬉しい!!
でも、変なところって……。
どういうこと……?
「美優、超音波ってわかる? 」
「う、うん」
超音波? なんでそんなことを聞くの?
「いまその超音波で話してるんだ」
は!? 超音波で話してる!?
なにそれ!
「はぁ!? 」
「他の女子たちにはこの声聞こえないんだけどさ」
てことは……。裕ちゃん、
いまどこにいるの?
「今? 今はトイレの前」
!?
そういうことか!
『変なとこで呼ばないでくれよ』
って!
そう。気づいた人はかなりいると思うが、美優、今トイレの中。
美優はもちろん女子。
女子トイレの中……。
裕也は男。つまり、美優の
近くには行けない!
「あ、なるほど!」
「おい、なに独り言喋ってんだよ!
気色悪りぃんだよ!」
は!そうだった。裕ちゃんは
超音波で話してるから、他の子達
から見たら、独り言喋ってる
キモい人なのか!
「ゆ、裕ちゃん!いいから来て!」
「え!だって女子トイr……」
「恥じるな!」
裕也は、驚きながら、入ることを
承知した。
トイレの個室で、とんでもない物語が繰り広げられている。
「ね、ねねねねね!君達、
何してんの? 」
キャァーーーー!
と、耳がキンキンしそうな声が、
大音量で聞こえてくる。
うるさい……。
「な、何この人……。
か、かっこいいわぁ〜!!」
ヤバい。めっちゃ裕ちゃん、
緊張してるじゃない!
(裕ちゃん!そんなに緊張
してたら変よ!)
(だよね!えっとじゃあ……)
裕也はそういうと、
ニッコリと作り笑顔をして、
「可愛い子猫ちゃんたち、
そんなくだらないことしてないで、
俺と話そうよ〜」
と言った。
「キャァーーーーー!!!」
再び女子たちの歓声が聞こえてきた。
「後でいっぱい話したいからさ、
ちょっと教室で待っててもらってもいい? 」
「はいぃ!」
おそるべし、裕也。と、
美優は思った。
「よし、ドア開いたよ、みゆ……う
!? 」
気づいただろうか。
ここはトイレの中である。
ドアを開けた先には、何があるのだろうか。
そう。美優である……。
「キャ、キャァーーーーー!!」
これは歓声などではない。
『叫び声』である。
「ド、ドア閉めてよ!!」
「いや、もうちょっとこのままで……」
「馬鹿なこと言ってねえで、
さっさと閉めろっつってんだよ」
美優は、ギラリと裕也を睨みつけ、
低めの声で言った。
「ごめんなさいぃ!」
「ね、ねぇ……。見てないでしょうね? ? 」
「は、はい」
裕也は、少し見てしまったのを
必死に隠そうとした。
「死ね!ばか裕也」
「!? 」
美優は、見られたことを気づいていたのだ。
「ねぇ、本当にごめんね」
「もう!」
美優は、半泣きの顔で怒っている。
裕也はその顔を見て、
すごくペコペコしている。
「ねぇ、なんであの時、みんなの前で大きな声でバラしたの……? 」
美優は、言わないでと言っていたのに、なぜ言ったのか、不思議でならなかった。
「え!? いやぁ……その……、
美優があまりにも可愛すぎるから、
みんなに自慢したくなっちゃって……。ゴメンね!
あんなになると思ってなくて!」
美優は、少し驚いて静止した。
そして、数秒たってから、
嫌そうな顔をしながら、こう言った。
「どうせ他の子にもそういうこと
いっぱい言ってんでしょ」
裕ちゃんに心底呆れた。
私を守ったのも、みんなに
あのこと(付き合ってるということ)
をバラしたのも、
全部私が弱いからとか、
私をいじめたくなったからとかでしょ。
それを言い訳しようとして、
結局私もみんなと同じ扱いに
なるんじゃん。
ー嫌だよもうー
「ち、違うよ!他のこと同じなんかじゃない!
確かに他の子にもこんなこと言ってるけど、美優は違うよ!
他の子は適当に言ってる。
けど、美優は心の底から本当に思って言ってる!」
裕ちゃんがあまりにも真剣に話すから驚いた。
「裕……ちゃん? 」
嬉しい。
他の人より特別に扱ってくれてる
ってことも嬉しいし、
こんなに本気で言ってくれてるのも嬉しい。
「裕ちゃん……!」
裕ちゃんは、私の目をじっと見つめながらこう言った。
「本当にごめん。
美優のことが好きで好きでたまらない。別れるって聞いて、すごく、
どうしようもなく悲しかった。
もう一回やり直すって、可能? 」
勿論!
私もそうしたかった!
「もちろん!
私と付き合う権利は永久に
あるよ!」
私がそう言うと裕ちゃんは
すごい嬉しそうな顔をして、
「ありがとう」と言った。
そのあとお父さんに聞いたんだ。
裕ちゃん、この人だよって。
そしたら、「ああ、君か」
って言ったのww
お父さん、知ってんじゃんww
でね、話変わるけど、
麻妃と克樹、付き合ったんだよ!
なんでかって?
あのね、私は知ってたんだけど、
麻妃って克樹のこと好きだったんだ。
男らしくて、正義感溢れてて……。
で、この前の事件で、
さらに惚れ直しちゃって……。
で、そのことを裕ちゃんに伝えたら、
「え!? まじ!? 天堂も!?
実はね、克樹も天堂のこと好きなんだよ? 知ってた? ww」
それ聞いて、すごい驚いたね。
目が飛び出るかと思った。
で、私と裕ちゃんで
麻妃と克樹がくっつくように仕込んだの!そんで……、この結果ってわけ!
親友、幼馴染としてすごい嬉しい!
今はお二人ラブラブデートしてるんだよ!
んで、私と裕ちゃんも
今デート中❤️
ちょうど季節がクリスマスだから、
ショッピングモールに来てるの!
Mario(ショッピングモールの名前)の中心あたりに
ツリーが飾ってあって、
そのツリーの前で、今プレゼント
交換中!
綺麗に整ったプレゼントの箱。
中身に何が入ってるのか、
早く確認したい気持ちを抑えて
ありがたくプレゼントを受け取る。
裕ちゃんは私があげた
プレゼントの箱をいきなり開けた。
「うわぁ!マフラー!
手作り? 」
も、もう!ここでいきなり開けないでよ!恥ずかしいなぁ!
「う、うん。そうだよ?
下手だけど、使ってよね!」
「うん!もちろん!
すごいうまいよ!」
はぁ。まったく、おだてが上手いのなんのって!
けど、その言葉がおだてじゃなくて、
本当に心から思っているんだといいな。
「思ってるよ? 本当に心から嬉しいって」
あ、そういえば、裕ちゃんって、
人の思ってることがわかるんだよ!
最初は驚いたけど、なんかもう慣れたよ!
次の年。
確か、去年の今頃、プレゼント交換したっけな。今日はクリスマスデート。
裕ちゃんをMarioの前で待つ。
「お、お待たせー!ごめんね、
こんな寒い中待たせちゃって」
裕ちゃんを見る。
去年私があげたマフラーをつけている。地味に嬉しい。
今年は私たちは高校2年生。
あと一年で卒業。
大学には行くよ。
ずっとデザイナーになりたいって思ってたから、大学卒業したら、
デザインの仕事をする。
今からもう仕事のことを考えるなんて早すぎるけどねw
なんか高1のあの日、
裕ちゃんが学校に入ってからは、
色々ありすぎて、薇を高速で回してるみたいに、
すごい勢いで毎日が過ぎてった。
でも毎日が楽しかった。
裕ちゃんとは結婚した。
デザインの仕事にもつけた。
私の人生に一片の悔いなし!
(いや、イジメられたのは
悲しかったけど)
私はこれからも、
いい家庭を築いていきたいな!




