声の正体
多分この声は、あの人だな…と思ったベアは、こう聞いた。
もちろん、相手も人ではないけど。
「どこにいるの?」
部屋の中を見渡しても、誰もいない。
『ここだチャー。』
ドアの隙間からこっちをじーっと見ている青い物体。
「やっぱり、チャッピーだ。そんな所で何してるの?」
『バレたか…。あのさ、みかんが学校に行ったから暇なんだよ。』
「ドアの隙間に青い物体がいたら、分かるでしょ。」ボソッと私は呟いた。
『ん…?何か言った?』
「ううん、何にも…。みかんちゃん、学校に行くの早いもんね。」
『そうなんだよ。』
チャッピーは、みかんちゃんの事が大好きなんだって。
みかんちゃんは高校1年生の女の子で、苺ちゃんの妹。
私にも、すごく優しいんだよ。
『俺の紹介もしてよ。』
せっかく読者の皆様に、みかんちゃんの事を紹介していたのに…と思いながら、私はチャッピーを見た。
「自分でしたらいいじゃん。」
『ベアのケチ…。』
「分かった。」
チャッピーは、青色のペンギンのぬいぐるみ。
私と同じで、話せるの。
時々、ナルシストな所があるけど…良い友達だよ。
『何か今、ナルシストって聞こえたチャー。』
「気のせいだよ。紹介もしたし、今からどうするの?」
『実は…、何にも考えてない。』
「えっ、そうなの!?俺と遊ぼうぜ…なんて
言ったから、何か考えてると思ってた。」
『ごめんチャー。』
「今日は、特にする事もないから寝ようかな…。」
『いつも、寝てるだろ…。』
「今、何か言った?」
私は、チャッピーの方をちらっと見た。
『ううん、何にも言ってないチャー。
俺も、とりあえず寝ようかな…。』と言いながら、苺ちゃんの部屋から出て行った。
さてと、チャッピーもいなくなった事だし…寝ようっと。
私は、苺ちゃんのベッドに入り寝る事にした。
「おやすみなさい。」