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勇者、押し付けられる

高レベルの戦士ね、この戦士さんなんかオススメよん

 少し時はさかのぼる。



 これは、勇者が戦士を一団に加えた時の話である。


 当時勇者の一団は、近接物理火力である武闘家が抜けて、戦力補充を余儀なくされていた。


 そんな時、酒場で見掛けたのが戦士であった。


 戦士は装備に金がかかる、が、その分戦力にはなるだろう。


 なんせ戦士、という職業なのだから。


 こうして勇者は戦士に声を掛けた。


「わしに声を掛けるとはお目が高い!」

 第一印象は、グイグイ来るなこの人、であった。

 よく見ると身体の節々に古傷が伺えるが、それも歴戦の戦士の証と思えた。


「少し、考えさせてくれないか」

 勇者は少し話をしたが、よく考えて決めるべきだと思った。


「うむ、良い返事を期待しておるぞ!」

 戦士は心底期待した眼差しを向けてきた。

 勇者は愛想笑いを返して、一旦酒場を後にする。




「戦士かあ、まあいいんじゃないの?お金かかりそうなら嫌だけど、現状そこそこの装備してるんでしょ?あたしそろそろ杖の代えが欲しいわ」

 魔法使いはしぶしぶ、といった感じで了承を得た。


「戦士ですか、私は大賛成ですね。結局以前の一団は柔らかすぎました、本当に、私ストレスでどうにかなってしまうかと何度思った事か。勇者さんその戦士早く誘ってください他に取られる前に」

 と、僧侶はがっついてきた。


 勇者としても、戦力的には申し分無さそうに思えた。

 ただ性格が、この二人と馴染めるか疑問であった。




 勇者はどうしても決断出来ず、他の意見も求める事にした。


「ああ、悪かったね、俺も故郷の問題が片付いたらまた復帰するつもりだけどさ、え?戦士?ああ良いんじゃないか戦士。あ?あの戦士?ん~あの人なあ、一緒の一団にちょっといた事あるけど、あの人は強いぜ、俺なんて霞むね。今は更に強いんじゃないかな、まあ、今はね」

 何か含みを持たせた回答の元一団の武闘家である。


「え?あの戦士かい?いやもう面倒だからあいつとは関わりたくないよ!まっぴらごめんって感じさ。え?仲間に誘うの?いや、うんまあ良いんじゃない?腕っぷしだけはあるし。でも俺様はごめんだわ、何故って面倒臭いんだよあいつ」

 とは、何度か痛い目に合わされていそうな盗賊の話。


「戦士さんですか?う~む、言葉は悪いですがね、有り体に言えば馬鹿ですね。それはもう清々しい程に。まあ戦士さんは戦士ですから問題無いでしょう、戦士ですからね……」

 これは賢者様の有難いお言葉だ。


「あの戦士さん?マジ俺はリスペクトしてるって言うか、マジ尊敬してるぜ?弟子入りさせてくれって言っても取り合ってくれないんだよ!え?あんたの仲間に?マジかよ!いいなあ~」

 こっちは有難くない遊び人さんのお言葉だ。


「おおかみよー このものに かみのごかごが あらんことをー」

 神父様はいつも通りだ。最近勇者達が強くなってお布施していないので冷たい作業対応である。




「と、いう訳なんだが」

 勇者は二人にこれまでの話を報告する。


「っていうかもういいわよそいつで、性格が問題だろうが言うこと聞かせりゃいいのよ、最初の契約でさ。最悪あたしの魔法で敵は倒すから壁にさえなってくれれば良いんだし。そろそろあたし寝るわ」

 魔法使いはもう短期を起こしている、何でも良いらしい。


「勇者さんまだちんたらやってたんですか早く誘って来てくださいさあさあ!今!すぐに!」

 僧侶はただただ怖かった。




 と、いう訳で勇者は戦士を誘った。


 酒場にいた戦士は暗くなっていたが、勇者を見掛けると輝いた笑顔を見せ、正式に一団に加えると言うと涙を流して喜んだという。


 周りの者たちは、厄介払いが出来て心底安心していたが、戦士はもちろん、勇者もこの時は気付けなかった。


第一話で死ぬ主人公とか……と思ったらこのサイトでは普通だった。

転生なんかしないけど。

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