表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

神の庭を

物語は始まってますけど、プロローグの続きです

まず、1つ目の能力と言うか体質をゲットしました!

あと、チートって異常な強さとかって意味じゃなくて「誤魔化す」って意味なんですね

「意図的なバグ」が表現として正しいのでしょうけども


前回のプロローグで主人公が自分の手を見た行動は「手鏡」と言って死ぬ前に人間が取る行動らしいです

主人公は死んだ後なんですけどね!


あと本作品で「可愛らしい」って表現が出てきたら100%神様です

真っ暗だった視界に僅かな光が差し込む

無意識の内に閉じていた瞼を開くと眼に幻想的な景色が映り込んだ

今まで生きてきた人生では本の中でしか見る事のなかった白い花が辺り一面に咲き誇っていた

さらに花の美しさを際立てるように花畑の中を光を発する小さな人が何十人も飛んでいる

その景色の中心には不思議な輝きの水をいっぱいに湛える湖が月を映して揺蕩う


その風景にしばらく見蕩れていると頭の中に神様の声が響いてきた

「お主よ、私の声が聞こえているか?残念ながらこちらにはお主の声は届かないが、これから私が神託を行う!ゆえに心して聞くように!」

すると目の前の空間にヨーロッパ風のお城にあるような白いイスと小さなテーブルが現れた


どうやら長い話になるようで座りながら聞いて良いようだ、私はイスにしっかりと腰を据えて耳を澄ませる

「まず大雑把に世界の事情や一般常識まで伝えるから後で詳しく書かれた書面に目を通しておくように!」

そう言われるとテーブルの上に手紙が現れる。宛名には私の名前が可愛らしい文字で書かれている

しかし、私はこの文字を知らない。なのになぜ読む事ができるのだろうか?思考に耽っていると神様の声が続く


「手紙を見て気付いた事があると思う。そう、お主が転生した先は以前いた世界とは別の文字や言葉、そして文化を持っているぞ!だが、安心したまえ!賢い私はすでにお主に適応できるように魔法を施しておいた!左腕を見てみよ!」

可愛らしい神様の声に促されて私は自らの左腕を見ると服が邪魔をしていて素手を見る事はできなかった


それでも神様は説明を続けている

私は慌てて左腕の裾を捲り上げてみると、刺青のように左腕から直に文字が浮かび上がっていた

「それは私との婚やk・・・ち、違う!契約の証だ!その呪紋があればお主が言葉や文字の事で不自由する事はないはずだ!逆にその呪紋がある限りお主が私に会う事は叶わない!つまり、完全に呪紋が消えた時に私達は・・・その、けっ・・・けけけ・・・・・・っ結婚するんだ!忘れるなよ!」

私は可愛らしい顔を朱に染めた神様を想像しながら少し考える


まさか相思相愛だったとは・・・!これは嬉しい誤算だ

正直、私が一方的に好きなだけだったらと随分心配していたが、とんだ杞憂だったようだ

必死に平静を保とうとするが、にやけてしまった顔をどうする事もできずに次の言葉を待つ


「次に世界事情だが、この世界は大きい順に【アドペル】【カリック】【スクライナ】【ヌイチ】【トーレ】と呼ばれる5つの大陸に分かれている。

そして【トーレ】の近くには無数の小さな島々が有り【トーレズ諸島】と言われているが、現在は戦争によって様々な国に占領されている状態だ。

ちなみにお主が現在地は【アドペル】の最南端【ジングル】と言う小さな村だ」

なるほど、大体の国の名前を知る事はできたが肝心の位置が全く分からない

と言っても、まずは現在地が分かったのだから後は私自身が直接調べるべきだろう


「これらの国々はそれぞれ異なった神を信仰している

【アドペル】は氷神【ゼベル】を信仰している魔術師の国だ。

特に錬金術師など特殊な技術を持つ人達が多く所属していて、差別が激しい国だ

【カリック】は炎神【マァズ】を信仰している火山の多い国だ。

肉体的に恵まれた者達も多く、とても熱気盛んで喧嘩っ早い。鉱石類が良く採れる地域がある

【スクライナ】は風神【テンコウ】を信仰している草原地帯が多い国だ。

自然を愛し、自然と共に生きていた民が多かったが今は生き残るために傭兵を生業としている。

【ヌイチ】は地神【マグニ】を信仰している資源の多い国だ。

その資源の多さゆえに各国から狙われてしまっているが、戦前はもっとも技術の進んだ国だった

【トーレ】は雷神【サーキュル】を信仰している海洋資源の多い国だ。

この世界で一番の造船技術と航海術を持っていて国よりも船上で生きていく者達が多い

そして、この国々で共通するルールは『自らの国の神以外を信仰してはならない』事だ」


話を聞いていて少し疑問に思った事がある

この世界の神様は間違いなく我が神様のはずだ。なのにどの国にも信仰されていないのはなぜだ?

それに『自らの国の神以外を信仰してはならない』とは、まるで他の神様が存在しないか邪神のような扱いではないか?

私の疑問とは裏腹に神様の説明は淡々と続いていく


「戦線の伸び方は同盟を組んだ強い国々が資源を求めて弱い国々に攻め込み、力を付けた方が同盟を裏切って吸収していく形だ。

それゆえに強い国々は戦力が拮抗して戦争が長引いている。

そして、資源が無い小さな村々の民は虐殺されるか死ぬまで奴隷として扱われる

戦争を終わらせる一番の方法は最大戦力を持つ【アドペル】の【ケートニア】に全世界を占領させる事だが【ケートニア】は差別の強い国だ。

だから、ここが戦争に勝ったからと言って本当の平和が手に入る訳が無い

次点は【カリック】の【デールセン】だが、この国は資源や占領などに興味が無く『ただ戦えればいい』と言う戦闘狂が集まってできた国だ。

すでに【カリック】の8割はこの国の支配下にあるが場所によっては支配前よりも豊かになった国もある。

なぜなら、先程も言ったように【デールセン】は『ただ戦えればいい』のみが戦争行動の理由だ。

つまり占領後の土地になど興味が無く、逆に強い者がいれば仲間に引き込んでさらに戦場を突き進んでいく

良く言って豪快だが、悪く言うと脳筋だ

全世界を治めていくような力を持ち合わせていないのが悔やまれる

今はこの2強国の全面戦争の真っ最中だ。他の国はどちらかの国と同盟を結んだり、占領されたりを繰り返して戦争は続いている」


私が元生きていた世界では、この戦争状況は終戦間近のような気がしないでもない

しかし、両国の戦力が拮抗状態にあるのなら未だ終わりが見えなくても仕方ないだろう


「私は神として戦争を終わらせようとしたが、誰一人として私を信じてはくれなかった。

その結果、今の私には世界に影響を与える力も世界を平和にする力も無に等しい

お主に力を分け与えれば私は、私の世界に完全に干渉できなくなる」


淡々とした声の中に僅かだが悲しみが混じっている

当たり前だ、自らが創った世界の誰にも信じて貰えない。

それ程の悲しみは到底ただ人間である私には理解できるはずも無い

だが、感じる事はできる。この全身を無数の針で刺されるような苦痛を


「・・・許してくれとは言わない、ただ私の世界を助けて欲しい。」

「任せてください!私が!私こそがあなたの存在を証明してみせる!他の神を信じない無数の者達にあなたの存在を焼き付けてみせる!」

叫んでいる途中に、そういえばこちらの声は聞こえていないのだと思い出したが、構わなかった

私の新しい人生に1つの生きる目的と目標が増えた。それを言葉にしただけだ


「・・・っ!・・・・・・・・・次に一般的な常識を伝える。この世界に住む殆んどの者は【魔力】を持ち、様々な技術に転用している。だが、生まれつき魔力を持たない者も存在する」

気にせいだと思うが、一瞬驚いたような声が聞こえたように思えた

もしかして、声は届かなくとも気持ちは通じるのだろうか?


「お主がいる【ジングル】も魔力を持たない者達が生活している村だ。お主なら分かってくれると思うが、魔力の有る無しでは人の優劣は決まらないはずだ。しかし、現実では差別されてしまっているのが現状だ。お主にはこの状況もどうにか打開して欲しい」

これは合理的な考えだと思った

確かに魔力を持たない人々なら直接恩恵の無い神よりも我が神様を信仰してくれやすいだろう

そして魔力を持たない者が魔力を持つ者を制すれば自ずと周りの認識も変わるだろう


「神託は以上だ!その他の事は後々分かっていくだろう!私はお主の成長を楽しみにしているぞ!」

その言葉を最後に神様の声はプッツリと聞こえなくなってしまった


神の声が聞こえなくなってしまったのを残念に思いながら、私は神様に渡された封筒の封を開けて中から手紙を取り出す

手紙には以下のように書かれていた


---to ネローネ・ビフォアザストーム・ベルベット


気に入ってくれたかな?そこは私が特別に所有しているもう1つの世界だ

これからの人生を頑張るお主に心からのプレゼントとして贈らせて貰う

ちなみにその位置からだと見えないがお城もあるので後で探して見るといい

その世界から出るには【お主の真名】を唱え、入るには【私の真名】を唱える必要がある

お主の今生の真名は【ネローネ・ビフォアザストーム・ベルベット】だ。私が考えた

私の真名は【ヒナソウ・バイカウツ・トレプトカー・カルミア】だが【ヒナ】と呼んでも良いぞ?

異世界で丸腰は危険なので剣を一本サービスしておいた。私としても死なれては困るのでな

服装は動きやすいように軽装で怪我をしないように長袖にしてある

お主の剣と魔法の才能は5分5分だったので成長したら上限が上がるようにした

それと3つだけ願いを叶える魔法を施しておく。左腕を見ながら願いを呟くと絶対に叶う

ただし、私に会うなどの願いは叶わない。無駄遣いしないように

では、頑張って世界を救う英雄を目指してくれ


by ヒナソウ・バイカウツ・トレプトカー・カルミア---


「神よ、素晴らしき贈り物に感謝します」

私は聞こえないと分かっていても神に感謝の言葉を紡がずにはいられなかった

そして全く関係無いが、転生する前に説明をしてくれれば声だけで無くもっと長く神様と一緒にいられたのでは?

そして、私の名前は封筒には普通に名前が書いてあるのに手紙の名前は違いますね!などと私は思わずにいられなかった


幾許かの時を経て、私は願いの内容を考え始めた

まず、当たり前だが「世界を救う」や「争いを無くす」と言う願いはダメだろう

なぜなら、その願いでは私が成長できないし英雄にもなる事はできない

それに神様・・・いや、ヒナ様もそのような願いを望んではいないだろう


そもそも、その願いが叶ったとしても私はヒナ様に相応しい夫になれる訳が無い

あくまでこの世界を平定するのも成長するのも私自身の力で遂げなければいけない

ならばどうする?ヒナ様と世界に関係が無く、それでいて私が成長できる願い


成長すると言う事は経験を積む事、様々な出来事を体験して行く事、新しい知識や技術を身に付ける事

これら全てを通して私は人間的にも魂的にも成長していく必要もある

もしかしたら肉体と精神も鍛え上げていかないと満足されないかもしれない

当然だが、私は成長するまで死ぬ訳にはいかないが成長し終わったら死ぬ必要がある

ならば願い事は随分と狭い範囲となる


様々な考えが頭の中を巡っていく。どうしても同じ考えがチラつき思考が進まない

そうこうしているとテーブルの上に良い香りのする紅茶が現れた。ヒナ様の配慮だと考えて有難く頂くことにする

可愛らしいマグカップを持ち上げてスッと一口飲むと口の中にむせ返るほどの甘さが広がって行った

紅茶の風味など感じさせないほどの甘さであったが、私は甘党なので気にせず飲みこむ

一息ついてテーブルにマグカップを置くと現れた時と同じ様に消えていった


この間に私は1つ目の願い事を決めていた。左腕の裾を捲って、呪紋に向かい宣言する

「私は幸運が欲しい、世界を平定して英雄と呼ばれる以上の幸運を圧倒的な幸運を願う」

願いを告げると呪紋は光り出した。柔らかな光が身体を包み込み数秒経つと消えていった


何が変わったのかは分からないが、これで突然死ぬ事は無いだろうと私は判断する

そして、私は自らの真名を唱えて【幻想的な世界】を後にした

~天界~

天使「神様~!お疲れ様で~す!紅茶が入りましたよ!」

ヒナ「あ、ありがとう。・・・ちょっと量が少ないね?」

天使「あ~、ちょっとお湯が少なかったんですよ~!」

ヒナ「そうなの。じゃあ頂きます」コクコク

天使「ちなみに少ない分はネロさんが飲んだ分です」ケロッ

ヒナ「・・・え///」


途中キンクリしちゃった部分を修正しました

作品についての意見や感想、色々と待ってます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ