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・セレブな妻たちの洗礼

 この状況って、一体何なの?


 見渡す限りの美女・美女・美女!!

 そして牽制、嘲り・嫉妬の視線の数々。

 これはもう間違いなくアレよね?

 私が仕方なく婚約した聖に対する執着と言うか、想い。


 記念すべき第一回の料理教室の後、私は半ば強制的に、如何にもなフェロモン美女さん達にオシャレなカフェに拉致・連行された。

 

 そして注文した品が揃ったところで始まる(勿論、私の分は無視されたまま)攻撃・口撃。


「貴女、一体どうやって聖さんを誑かしたのよ」


「そうよ。あなたの様な人と聖さんは不釣り合いなのよ」


 離れなさい、不釣り合いだ、と言う美女さん達。

 それを聞いてまず最初に思った事は、と言えば。


 へぇ~?

 なるほどねぇ~?と言う思い。


 幾ら目の前に憎たらしくて邪魔な存在がいるからって、そんな顔で睨んでたら千年の恋も冷めちゃうんじゃない?少なくとも私が彼女達を選べる立場だったら、こんなおっかない人達は選ばないわ。


 だったら、多少ぽっちゃりはしていても、健康そうで愛らしい微笑みを浮かべる子を選ぶけどね。そりゃあ多少の我儘とプライド、傲慢さは許容出来るけれど、異常なそれらは傍にいても神経が休まらない。


 愛する人とは常に安らかで、穏やかでいたい。

 私はそう思うし、考えている。

 けれど。


「あなたのお父様が勤める会社、私の父が取引する会社の一つなの。私が一言父に頼めば、どうなるか判るでしょう?」


 計算高い彼女達は、あからさまな権力を私にちらつかせる。

 でも、それは大きな間違い。

 権力は時と場合を選んでこその威力を発揮する。

 

 私にこの事を教えてくれたのは、外でもない婚約者たる聖。

 そして、家族の長たる父。


 その二人からの教えを違えるほど私はひ弱ではいられない。


 5対1の異様な睨み合いの様子に、私が注文したアイスティーを運んできた店員はウロウロと困った表情でこちらの様子を窺っていた。


 私はそれを視界の端で認めるなり、唇に弧を描き立ちあがった。

 

「逃げるの?」


 それを見て嘲笑する聖に執着する美女たち。

 でも残念。それは違うの。


 逃げる?

 この私が?

 ふん、尻尾を巻いて逃げるのはあなた達の方よッ!!


 アイスコーヒーを持っている店員に近付き、それを振り向きざまに浴びせかける。


 ポチャリ、ポチャリと滴る黒い液体。

 それに呆然とする美女たち。


 私はにっこりと微笑んで嘲り返してあげた。


「お生憎様、私はそんな事じゃ引かないわ。その空っぽな頭抱えてさっさと帰りなさい。」


 私は屈辱に震える美女たちの視線をサラっと受け流し、彼女達が真っ赤な顔をして逃げ帰った後、汚してしまったカフェの床をピカピカに掃除してからマンションに帰り、散々に終わった料理教室の事を聖に話し、笑われ、終わった。



 まさか、この日の事が後に大騒ぎに繋がる事になるとも知らずに。

  

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