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6 所詮俺たちゃヤクザ者

 「チーアちゃんたちともお別れ…かなあ。せっかくお友達になれたのに」

寂しそうに言うシャルロッテ。彼女も年頃の娘なのだ。本来ならもう少し遊んでいたい年頃だろう。


 お客さんが集まってくる。俺たちは武器と革鎧を身に着けた。

遠くに隠れる。みんなにこういうヤクザな格好は見せたくない。

そして走る。


 「ど〜こにいくつもりだい?」ロー・アースのやる気の無い声。

「この先はスタッフ以外立ち入り禁止です」ファルコが珍しく硬い声。

「武器の持ち込みはご遠慮ください……って人のことは言えないな」俺。


「……勿論、この馬鹿騒ぎを止めるためだ」ごろつき風の男が答える。


 いっせいに奴の手下と思しき男たちが剣を抜いた。

「貴様らなど素手で充分だ」ロー・アースが剣を抜かず、拳を構えた。


「いくぞっ!ファルコ!」「おうぅ!」


ロー・アースはファルコの首根っこをつかんだ。


 「もみゅ???」


「必殺!ファルコミサイル!!!!」

「ぴえええぇぇえええええ!!!!!!!!」


泣きながら宙を舞うファルコは、剣を持った首領格の男に頭突きを入れた。


 それ、素手やない!


「ファルコハンマー!!!!!」

ロー・アースが首領と一緒に目をまわしているファルコの足首をつかみ、

すかさずもう一人の男に振り落とす。

「ちょ!!!!!!」敵の抗議の声も聞かず、むしろ沈黙させた。


 ……。


 「ファルコクラッシュ!!!」

そのままファルの腕をつかんで振り回し、敵をなぎ倒す。どうみても児童虐待だ!!!

「まわりぐるぐる〜〜〜〜♪ぴよよ〜ぴよ〜〜!!」

グラスランナーの骨格と筋肉は恐ろしくしなやかで頑丈だが、

当然ながらファルコは目を回していた。

子供なら死んでいるので絶対まねしてはいけない。



 俺は弓を構え、周囲を警戒しつつ、敵の方に矢を向ける。

「誰の差し金だ?」ロー・アースが問う。「言えんな」

「よし。質問を変える。マルガリータ公の目的は?」「…!!!」

トリスタンと同じ名前じゃないか??それ!!??


 「むっ!無駄だ!!!最後のステージを飾るレディは私たちが確保した!」

……シャルロッテ!!!!「彼女は!!!??」俺は叫ぶと同時に矢を放つ。

単純に手が滑っただけだが、幸運にも当てずに済んだ。

とっさとはいえ、狙いをはずせて良かった。


 「……入浴中を襲い、確保した。現在港湾倉庫に向けて移送中だ」くそっ!急がないと!

「こいつらは別働隊だ!俺たちはステージに向かう!

お前はレディを取り戻せ!!!!」「あいよ!!!」

珍しく叫ぶロー・アースに俺は叫び返すと駆け出した。


 どんなひどい目にあってるか……必ず取り戻してやる!!!

「シンバット!!!」俺は愛馬を呼ぶ。白い愛馬は俺を乗せて駆け出した。


「港湾倉庫だ!!!」シンバットは俺の声に答えて嘶く。


 「ごめんよ!」桶を蹴っ飛ばし、バザーを突き抜けて走る。

時々家々をジャンプする。直線が一番速い。


 たちまち、怪しい檻のついた馬車に追いつく。

馬車は横転し、檻は壊されている。……なにがあった???


「おい!てめえ!この中にいたレディは??」「い……いたた……」


 「さっさと答えろ!」御者に平手をうつ。

「にっ!逃げられた!!!」「……裸で???」

「……??そうだ。スラムのほうへ」


 あの顔でなんて無茶しやがるんだっ!

俺は駆け出した。そんなところ、裸の娘が行くところではない!


 「シンバット!スラムだ!急げ!」

その瞬間、シンバットの首にロープが幾重にも絡む。


 「ふはは!罠にかかったな!」

周囲のテントがざわめく。しまった。伏兵かっ!


 シンバットが暴れて、ロープをもった男たちが吹き飛ばされる。

「うちの馬は暴れ馬でね!ちょっとやそっとでは捕まえられないぜ!」

俺は周囲のテントのロープをナイフで切り飛ばす。

テントから抜け出しそびれた男たちの悲鳴の上に、

シンバットが放り出した男たちが重なる。


 「そ、その馬を抑えろっ!!!」

残念ながら、どこぞの騎馬民族の王でさえ捕まえられなかった暴れ馬だ。

そこいらのチンピラでは触ることも出来ないだろう。

シンバットが嘶く。ここは任せて行けということだろう。

「後は任せた!」俺が叫ぶとシンバットは応えるように2名ほどを蹴り飛ばした。


 俺は騒ぎが大きそうなほうに走っていく。

スラムなんかに行ったらただ事ではすまないぞ。

……というか、大騒ぎになってるじゃないか。

裸の娘が走ればそれなりに騒ぎになる。でも「怪物だっ!」ってなんだ?!!


 「レディ!レディ!シャルロッテ!!!」

俺は叫びつつ、騒ぎの中心にどんどん近づく。


 ん?なんか黒い巨大な影が高速で走ってきたぞ?

……ひゃあああ!ぶつかる!!


「ムホ♪ムホホ♪」

ちょっ!!!苦しいいいいい!!!!!

俺を抱きしめて喜ぶ黒い化け物。ゴリラという大猿だ。

一応絞め殺さない程度に手加減はしてくれているんだろうがキツイ。

「ぐるしいっっ!!!はなせっ!!!」「ムホホ♪」


 ゲホッ!ゲホホ!と咳き込んで俺はゴリラに問う。

「シャルロッテは?」「ムホ!」


 ……ファルコがいれば何を言ってるか分かったかも知れんが。

嫌な予感がして俺が問う。


「……レディ?」「ムホッ♪」


 「レディ・シャルロッテ」ではなくて、

「レディ」と「シャルロッテ」だったのか。

俺は脱力した。


 ともあれ、ステージに連れ帰らないと。

「帰るぞ。レディ。ラストステージだ」「ムホッ!」


 俺はシンバットを呼ぶと(予想通り、伏兵はシンバットに皆倒されたらしい)、

サーカスに走った。後ろからレディがついてくる。

エンディングはハッピーにしてやるぜ!!!

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