エピローグ 「赤」と言う名の盗賊
「くさい! くさい! くさい! くさい!!! 近寄らないでっ??! 」
お盆を盾代わりにして逃げるアキ。最近異臭を放っている俺達だが、今日は格別である。
さっき下水道から出てきたのだ。臭いなんてもんじゃない。体中排泄物だらけである。
「『夢を追う者達』じゃなくて『糞を追う者達』に改名だね」
余計なことを言うミリオンはファルコの親父である。それを聞いてファルコは涙目。
「「「『風呂』を貸してくれるとありがたいんだけど」」」
「いやぁ??! 近づかないでよっ??! 私にまで匂いが移るじゃないっ?!! 」
アキが逃げ惑う。ムカつく。
「好きでこんな目にあったわけじゃない。アキ」
ロー・アースも苦笑いしている。
「もう! いやっ??! なんで三人ともこんなんなのよっ?! 」
聞いてないアキ。
「『浄水』」
あれ? 一気に俺達三人と周囲がキレイになる。
ツカツカと歩いてくるほぼ全裸の少女。
「アキ。ごはん~♪ 」フレア。
「はいっ! ただいまっ!? 」
ダッシュで俺達から逃げるアキ。マジむかつく。
「きれいになったの~♪ 」「助かった。フレア」
ファルコとロー・アースが感謝するのに対してはにかむフレア。
「ふふ♪ 気にしないで。あと……レッド。出てきなさい♪ 」
ん???
「あ~。その。あの」
真っ赤な顔の盗賊に気がつく。いたんだ。
「あのさ、ロー・アース。あとファルコ。出来たら席を外して欲しいんだけど」
???
耳まで赤いけど、どうしたんだろ。レッド。
二人は黙って席を立つ。別にいてもいいんだが。
「……えっと。チーア。悪かったよ。
言い訳みたいだけど、たまたまで、悪気はなかったんだ」
……??
何のことだ?
俺、なんかコイツにされたっけ。
……ああ。お節介が過ぎるってフレアに叱られたのかな。
「……受け取って。欲しいんだ」
耳まで赤くして、風邪か? 気になるんだが。
彼は俺に小さくて可愛らしい白い花(貴重な種だ)を差し出す。
「おい。レッド。風邪なら寝てろ。いい薬があるから」
「い、いや、風邪じゃなくて……」
俺はニッコリ笑ってレッドに告げる。
レッドの顔が更に赤くなる。これは深刻だ。
「知ってるか? レッド?
この白くて可愛い花はな、風邪の特効薬なんだ! 」
そういって、俺は花をすりつぶして、風邪の薬を作ってやることにした。
「バカ」
薬作りをはじめた俺をフレアが何故か半眼で睨んでいた。
―――もし、君が叶わぬ願いを胸に秘めているなら。
もし、郊外の森の中、奇妙な形の宿を見つけたのなら。
迷わず、俺たちを指名して欲しい。きっと願いは叶うから。
ただし、『余計なトラブル』は自己責任で!
(Fin)
次回予告。
「息子を探してっ!」「いいよっ! 」
其の言葉とともにファルコは走り去った。
「勝手に依頼うけてっ! 知らないからなっ! 」
チーアがまた切れた。
次回。「あの子の影を追わないで」(改稿版)
全話を一日で更新します。お見逃しなく。




