5 フレア
「……レッドはそういうところあるからねぇ」
次の日、精霊術の指導をしてくれるという少女、
フレアにドライフルーツを渡すと、彼女はそういって微笑んだ。
悪気はまったくないから許してやれとのことらしい。
「……人の性格を彼是言うよりだな」
その格好、なんとかしろ。変態。
「……誰がへんたいなのよ」おまえだ。おまえ!
この娘は何故か人の心を読むことができる。変なヤツだ。
「誰が変……」「もう黙れっ!! 」
話がどんどんずれていくじゃないか。
フレアの格好は名前だけ春先とはいえこの寒さでも
相変わらず全裸とまったくかわりのない薄絹一枚とサークレットと靴代わりの布だけだ。
マジで寒くないのか? こいつの感性はどうなっているんだ?
「誰の感性が」うるさい。
俺はため息をついた。
ドスンドスンといじけて暴れるフレア。
こいつはどういうわけか、巨木を片手で引き抜く。
「それより、火の精霊は見える? 」
見えるんだが。
「話せるよね。だったら制御は簡単なはずなんだけど……」
火の矢として撃つとか、簡単な願いを聞いてもらうくらいなら出来るが。
「勝手に周囲が発火したり、足元の川が沸騰したりするのよね」
昔からな。
「おいおい、改善が必要な案件ね」
ありがとう。
フレアはニッコリ笑うと、
「実は、『五竜亭』の熱き水を引いている泉が近くにあるんだよ? 」
と、俺に告げた。
「マジか? 」「まじ♪ 」
それは、いいかも。
「所定の道を通らないと、絶対たどり着けないから注意ね」は?
「いうよ。そこの小さな木の股をくぐって、次にそこの小道を三回足踏みして、それから……」
ちょ? 覚えきれないっ??!
案内してあげるから、覚えてねとフレアは告げた。
俺は一も二もなく頷いた。この近くにあるなら一々親父の覗きに警戒しながら風呂に入らなくていい。
と、いうか、娘の裸を見るなっ?! 親父っ!!
「ガウルは子煩悩だから、性欲じゃなくて普通に成長を見届けたいだけじゃない? 」
心読まなくていいからっ??!! フレアっ??!!!




