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男装女神は14歳っ!?~夢を追う者達(ドリームチェイサーズ)冒険譚~  作者: 鴉野 兄貴
糞のような理想の為に

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8 下水道から来た奴ら

 ……まさか、下水道に侵入することになるとは。

俺達は鼻をしかめた。一応、側面には歩くための歩道があるが、

国家の宝である上下水道に勝手に入り込むことは大罪である。

加えて、古代の魔導帝国の遺跡である下水道や上水道には、

いったいどんな魔物や罠が待っているかワカラン。


 道中、よくわからないアメーバーもどき、不思議な虫みたいな生き物に襲われたが、

トート先生曰く(ついてきた!)「水を綺麗にしてくれる生物」らしい。


 「しかし、なんでこんな遺跡に」俺らは愚痴る。

厳重に封印されているはずなのに下水道に住み着いた浮浪者達に遭遇するが、

トート先生が食料をホイホイ与えるので逆に待ち伏せされて襲われ、

眠りの魔法を使う羽目になったり意外と大変だ。


 「あの人たちって太陽みたことないのかなぁ」ファルコが呟く。

……どうなんだろうな。


 ところでなんで下水道にワニがいるのか、そっちのほうに専念して欲しい。

ちなみに、ワニっていうのは熱帯に住まう凶悪な獣だ。

下水の中から待ち伏せ、いきなり人間をさらって食ってしまうのだが、

待ち伏せに気がついたので撃退は比較的容易だった。


 「年間通して暖かいので熱帯の生き物も生き残りやすいのでしょうね」

トート先生はたのしそうに解説している。道楽者が取り寄せて捨てたのが育ったのだろうとの事。

その道楽者は刑罰を受けるべきだ。うん。


 「うんちを盗むなら別段奥を目指す必要はないのでは?」俺はぼやく。

一張羅が台無しである。帰ったら浄水の魔法が必要だ。


 ロー・アースはいやそうに肩を落として歩いている。いや、彼でなくても俺だって嫌だ。

「探検♪ 探検~♪ ぼくのまち~♪ 」場違いな明るい声が反響する。ファルコである。

彼の嗅覚は犬並みの筈だが「気にしないようにしたらだいじょぶ! 」だそうだ。

どういう神経だと問い詰めたいが、「ネズミさんだって臭いって思ってない~♪ 」と返ってきた。


 トート先生は解説する。

「うんちを処理する魔法の機械か何かがあるはずなんです」

原理を解明すれば、他国でも上下水道がつかえます。と楽しそうに言う。

……原理を解明するどころか、うっかり壊して縛り首になりそうな予感がする。


 「霧雨キリサメ? 」「かもしれませんね!!! 」

魔剣、キリサメは刀身に霧のような結露を常に宿し、常に水を生成するのみならず、

刀身に触れた毒素や邪気や汚物を完全に綺麗な水にしてしまう力を持つ伝説の剣である。

あまりにも素晴らしい力を持つため、魔導帝国時代に同じような力を持つコピー品が大量に作られたとある。

オリジナルは俺たちの目の前で持っていかれてしまった。悔しいがアレは完敗だった。


「いや、今の魔法でキリサメの再現はコピーでも無理だろう」ロー・アースは言う。

それじゃ、コピーの剣すら作れない現状、下水道の実現は不可能じゃないか。


 トート先生曰く、

「海や川の精霊さんもある程度は浄化してくれますが、大都市の汚物は無理です」らしい。

俺達慈愛の女神の使途が回復魔法を使いすぎると倒れるのと同じらしい。


 「ねね。かなりおくまできたよ! 」ファルコが言う。

正直迷路と変わらない。戻ってこれるか極めて疑問だが、

「アリアドネの糸玉」という魔法の糸玉をトート先生が持っていた。

これを使うと即座に入り口に帰還できるらしい。貴重な品だが使い捨てである。


 うん……?

「どうした? 」ロー・アースが不思議そうに問う。

「今、物陰にグラスランナーがいたような」浮浪者の子供にも見えなかったし。

「……!!! ファルコ! チーア!! 先生!! 逃げろ!! 」

突如走り出したロー・アースを追って俺達も走る。が。


 「な、なんだこれは!! 」俺の身体にまとわりつく粘つく糸。

「ぐるぐるぐる~ ぐるぐるまきまき~♪ 」

「クソッ! 遅かった! 」

「巨大蜘蛛でしょうか? 楽しいですね」楽しくない!! 先生!!? 食われるんだぞ?!

完全に動きを捉えられ、水溜りならぬ糞溜まりの中でもがく俺らを小さな黒い影が取り囲んでいた。

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