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男装女神は14歳っ!?~夢を追う者達(ドリームチェイサーズ)冒険譚~  作者: 鴉野 兄貴
愛と箒と埃をもって

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10 グローガンさまの大逆襲

 「これが、見つかった宝ですか」小悪魔は愉しそうに笑っている。

「ファルコ、ポッケに入れてないだろうな?」ロー・アースがファルコを睨む。実績があるらしい。


 「ううん。入れてない」

ぷるぷると左右に首を振るファルコ。

ロー・アースは黙ってファルコの足首を持って逆さ吊りし、上下に振った。


 「コイツも『宝』に入れたほうがいい?」

俺は魔導士が氷を保管するために使う冷凍容器を取り出した。

小悪魔インプはにこやかに「捨ててきてください」と笑った。

冷凍容器がもてなくなるほど一瞬冷たくなったが、たぶん泣いているんだろう。


 「では、お世話になりました」

そういってインプは笑うと、俺たちに報酬を渡してくれる。

……最初からちょっとオカシイ仕事だと思ったが、色々オカシイ気がする。


 「おいっ?! あけろっ! あけてくれっ?!」

あれ? どこかで聞いた声だな。


 「すみません! 二週間ロクに何も食べてないんです! どなたかいらっしゃいませんか?!」

……この声もどこかで。


 「あけますか?」

『館の主』に声をかけてみる。


 「お任せします」

そういって小悪魔は宝とともに消えた。


 「……ふええっ! 助かったぜっ! 人間が多いから食い物の分配もままならねぇ!」

……このはげ頭は。


 「へへへっ! 感謝するぜっ!」「ふえええっ!! 外は大変だったぜっ!」

……。


 「……手前らは」

あのときのハゲどもじゃねぇか??!!!


 「……手前らの家か」

違う。絶対違う。


 「さっさと食い物寄越せぇ!!!!!!!」

一斉に短剣を抜くチンピラ20名ほど。ヤバイ。厄介だ。


 「♪」

……一瞬でチンピラどもは氷像に変貌した。


 「わたし、役に立ちましたか?」

「うん」「めっちゃ」「すごく助かった」


 俺たちはニッコリ笑って握手しあう。

氷の精霊の手は案外暖かかった。

「えっと、御名前をうかがっていません」

そういって微笑む氷の精霊の少女に。


「「「『夢を追う者達ドリームチェイサーズ』」」」

そういってうそぶいてみる俺達。

「てへへ」「あはは」「ふん♪」やっぱ照れくさいな。照れ隠しする俺達に。

「判りました。お山に帰ったら、あなた達のこと、忘れませんから」

そういって彼女は笑い、俺に近づく。


 「(えっと、ユースティティアさん)」耳元で囁かれる。????

「精霊は心が読めるんです」そういって微笑む娘。


 「あと、ローさんとファルコさんですね」

「何故知っている」「なのっ!」


「知っていますよ。皆さんが赤ちゃんの頃から知っています」

コイツ、まさか。氷の精霊じゃなくて。……冬の精霊か?


 「……来年、逢いましょう」

そういって彼女は微笑み、冷凍容器に戻っていく。


 「コレ、どうする?」

彫像を見ながら俺は呟く。


 「ほっといていいんじゃない?」

ファルコは意外と薄情なことをいう。


 「おい! 『イルジオン』!ほおっておいていいよな?!」

ロー・アースは苦笑いしながら叫ぶ。


 『使い魔』は主人が死ねば滅ぶ。

財産管理する妖魔がいるのに『財産の整理を手伝え』。

宝に手をつけたかどうかをさりげなくチェックしていた件。

掃除云々はさておき、色々なしかけ。

そして、今なお開かぬ一つの扉。


 「『まぼろしのもり』」

ファルコはそういって笑った。

エルフなら、500年以上生きていてもおかしくはないだろう。


 「まぁ、色々オカシイ依頼だったよな」

あとで、エイドをとっちめないと。


 「『五竜亭』の主の事なら責めないでやってくれ。

色々鍛えてやってほしいとの事だったからな」

何処からか若い男の声が聞こえてきた。


 「もし私に用があるなら、あの広場で『館』を呼びたまえ。

掃除と引き換えにある程度の広さのある森まで移動してやろう。

……もっとも、帰りは君達の徒歩だが」

……??!


 「今、この者達の心を読んだが、どうも家の修理はお手の物らしい。

たっぷりと館の修理をさせて、かえしてやることにした」

……あはは。ハゲどもご愁傷様。断ればとんでもない遠隔地に飛ばすつもりらしい。


 「すみません。お世話になりました」俺は虚空に頭を下げる。

「いろいろとありがとうなの」「これからも宜しくお願いします」

俺達三人は一様に頭を下げ、氷の山近くの森に館に飛んでもらい、

雪女と別れ、『五竜亭』に戻ることにした。


 「さようなら! なのっ!」

ファルコが手を振る。……『館』は幻のように消え、あとは広場が残った。


 「『帰ろう』か」そう、ロー・アースは言った。

「うん!」「おう!」

俺達は駆けていく。あの宿へ。


 煙突から流れる煙が見える。走る俺達の瞳に映る変な形の塔。

その入り口周りに立つ、三人の男女。


 「ただいまっ! なの!」

「帰ったぞ。クソのエイドども」「……今、帰った」


 「「「おかえりなさい」」」

アーリィ、エイド、アキの三人はそういって俺達を抱きしめた。

なんで俺だけエイドなんだ……不公平だろ。てか、骨折れるっ??!

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