7 御掃除は命がけっ?!
「なんで掃除に武器が要るんだ?」
俺は不審に思いつつもモップを手に取る。
このバケツ、中の水がどれほど汚れても綺麗になる魔法の品だという。
もらっていいだろうか。かなり欲しい。
……この部屋から行くか。
大きいところからが鉄則だが、慣れも重要だ。
まずは三人のチームワークを高めてから、大きい部屋に挑もう。
「ちいや。ノブさわちゃだめっ!?」
へ?ノブがしゅるりと伸びて俺の手を掴む。
ひょ? ひょええぇ? なんじゃこりゃ??
「!!」
腹に激しい衝撃。回避不能のパンチが次々と扉から飛び出して俺の腹を襲う。
何とか扉から離れようとするが、ノブは男の手の形になっていてガッチリ俺の手首を掴んでいる。
わき腹に更に一発。やべぇ。意識が……。
「光の矢よっ!」
しゅるしゅると伸びた『扉』が俺を包む前にロー・アースの魔法が炸裂する。
ひるんだ『扉』に歩み寄ったロー・アースは『扉』を蹴り飛ばし、無理やり俺と『扉』を引き剥がす。
「『扉』よ。我は命ずる。『閉まれ』」
彼が叫ぶと『扉』はおとなしくなった。
「変なコマンドワードを設定されてなくて助かった。危うく食われていたぞ」
……。
「ロ。ロー」
「あ?」「……離して。お願い」
声が震える。まだ震えがとまらない。
な、なんなの。この扉。
「これは、ねんどみたいな魔法のいきもので、
散々人をぶん殴って、意識がなくなったら包み込んでたべちゃうの!」
ファルコは真剣に『扉』を眺めている。
イミテーターとかミミックとか言う魔法生物らしい。
「おい。殺す気か?」
俺はインプを睨んだ。奴は黒い微笑みを浮かべ、
「管理は任されていますが、館の全容は把握しておりません。危険ですから」とホザいた。
「せいぜい、気をつけて『御掃除』してください」
俺たちは顔をしかめ、『掃除』を開始した。




