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男装女神は14歳っ!?~夢を追う者達(ドリームチェイサーズ)冒険譚~  作者: 鴉野 兄貴
愛と箒と埃をもって

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4 魔導士の館へ

 「こんなところに館なんかあったか?」

ロー・アースが首をひねっている。

シラネ。俺、この森まだほとんど探索してねぇもん。

「みゅ」そういってファルコはクンカクンカと犬のように鼻を鳴らしている。

「へんなものの匂いがするの」なんじゃそりゃ。


 『五竜亭』から離れてテクテク歩くと、その古ぼけた館はあっさりその姿を現した。

白い漆喰はあちこち禿げ、木で出来た窓はあっちこっち壊れて開けっ放しになって、

中のカーテンが布クズのようになっているのが見える。


 「……そうか。じゃ、武器を手放すな」

ロー・アースはそういうと、防具の紐を再確認する。

「ほら、チーア。しっかり〆ておけ」

ちょ? ちょ? 変なトコ触るなっ?!

「……何を恥ずかしがってるんだ?」恥ずかしがってないっ!


 「この結び方のほうがしっかり絞まるし、外しやすい」

ほう。今度からそうするよ。

エイドからもらった服は防具として機能するらしい。

上から兄貴の黒い服を着ると武装していることがわかりにくくなる。


 「……お前、妙にズボン周りの紐が硬いぞ。用は素早く足せ。

そうしないと用済み中に本当に用済みってな」

お前のギャグつまらん。ロー・アース。


 それに、女には別の『危険』もあるんだが。

見た感じこいつは俺と行動している間に抜いている素振りがなかった。

こいつがどこで発散しているのか極めて疑問だ。


 「ちいやはこの間掘られそうになったからじゃない?」

たまりかねたのか、ファルコがフォローしてくれる。

 「……そうだな。済まない」

そういって手を離すロー・アース。

「……い、いや、気にスンナ」

それより、ドキドキするのが止まらん。


何度か深呼吸し、気持ちを落ち着ける。


 ふと横を見るとはしゃいでコロコロ駆け回るファルコを必死で追うロー・アースの姿が見えた。

彼らなりの気遣いなんだろうな。うん。


 俺が落ち着いたのとほぼ同時にファルコがロー・アースに捕まった。

「ええい。おちつけ」「もきゅ」その様子に思わず微笑んでしまう。


 ファルコは愛らしい見た目や言動に反して中身はかなり黒いと思う。

いや、褒めたんだがな。アーリィの件といい、何も考えてない素振りでかなりの気遣い上手だ。


 「やっぱさ~」

扉に慎重に近づこうとする二人を止めて俺は呟く。

「『孔雀石』さんと俺たちの誰かが結婚して、

借金帳消しにしてたら、こんな仕事しなくて済んだな」勿論、冗談だが。


 「そだねぇ」「だな」

二人は意外にも同意の素振りを見せた。


 「だが、借金とかワイズマンの奴を吊るし上げるのはもう少し先だ」

今は仕事に専念しろとロー・アース。


 急死した魔導士の館の『掃除』。ただ掃除するだけではない。

どんな罠や遺産、侵入者撃退のための魔物がいるかわからない。

掃除した上で遺産を整理、依頼人に届けるのが今回の任務である。


 「窓から入ったらドカン! 扉を開けたら凍結!?」

「……ソレくらいの罠はあるだろうな。ファルコ。どうだ?」

扉に罠や仕掛けがあればグラスランナーの目をごまかすことはまず出来ない。


 しかし、ファルコは俺らの予想の斜め上の行動を取った。

奴は扉をコンコンとノックし、

「ごめんくださ~い!! ぼくらそうじにきたのっ!」

と、大声で叫んだ。


……。


「「アホッォォォォオオオオオオッッッ!!!!!!!」」

思わず俺たち二人は大声で叫んだ。

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