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男装女神は14歳っ!?~夢を追う者達(ドリームチェイサーズ)冒険譚~  作者: 鴉野 兄貴
ダンビュライトは夢の輝き 後編

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11 希望よ。闇を砕け

 「……ふ。クズどもが粋がるな。すぐに止めを刺してやる」

ちぬれのたんけんブラッディダガー』は『孔雀石』を手放し、逆手で短剣を握る。


 「「「余計なことを言うなっ?!」」」

俺達は一斉に襲いかかろうとして……俺は脚を止めた。俺は後衛。切り札だ。


 ロー・アースが二本の剣を手に迫る。

片手をかばいつつ、『ちぬれのたんけんブラッディダガー』は空間に短剣を構える。あれは。

轟音と共に放たれる稲妻。だが、其の勢いは。


 「抗魔の力よっ!我はそれを呼び覚まさんっっ!!」

「ぼくに魔法はっ!!!効かないっ!!」

一瞬でロー・アースの前に立ちふさがったファルコが両手を広げて立ちふさがる。


轟音と共に放たれた稲妻はロー・アースの魔法で強化されたファルコの抗魔力によって打ち消された。


 「なっ?いつの間に打ち合わせたっ?!」

其の戸惑いをローもファルコも。俺も見逃さない。


 ファルコを飛び越えてロー・アースが斬りかかる。

それもブラフ。彼の背をファルコが飛び越え、鉱山の天井を蹴って回り込むファルコ。

前後から同時に斬りかかる二人。


 「悪戯者の精神の精霊!!」

アイツの抗魔力を打ち破ることはほぼ不可能。だが。

女神よ。希望よ。俺達に。加護を。


 ローとファルコが作ってくれたチャンス。


―――一瞬だけで。いい―――


 『困惑!!』

正常な判断力を『一瞬』だけ奪う力。

……ローとファルコの剣が奴を捕らえた。


 ……。

……「そこまでね。『ちぬれのたんけんブラッディダガー』」


 パチパチと拍手の音。???

「いい余興だったわ。『にがよもぎ』の娘」

闇の奥から、いや、影から伸びるように。影が女の姿を取る。

影はそのまま黒い肌に尖った耳の女になっていく。


 「くっ。ローズ?」

「『ちぬれのたんけんブラッディダガー』。『あの方』が呼んでいるわ」

「ふん。あんな奴にいまだ忠誠か」「めったなことを言うものでは無いわ」


新手に剣を、弓を構える俺達にローズと呼ばれた女は肩をすくめる。

「『ちぬれのたんけんブラッディダガー』と『血塗れの薔薇ブラッディローズ』。知っているでしょ?」

艶然と微笑む女。


 「いんや。ぜんぜん知らん」「あら。大陸西部では有名なんだけど」

俺の安い挑発には乗らないらしい。女は愉しそうに微笑んだ。

「そのキリサメ。譲ってもらえないかしら?」


 「断る」

俺達は一斉に言ってのける。首をすくめて哂う女。


 「不肖の弟の失礼は詫びるわ。私は『にがよもぎ』と違って其の剣をどうこうしない。

それどころか、世界一罠の満ちた小さな小さな枯れた迷宮の奥に封じるために来たの」

あと。と彼女は笑う。「私は弟より強いわ」


 「里の残った毒も消してあげる。嘘じゃないわ。

さっき毒に犯された子達を助けてきた。後で確認して良いわよ」だから遅れたの♪と笑う彼女。


 ……。

「あと。にがよもぎと其の娘の件、不問にしていいわ。『誓って』良いわよ♪」

 ……。

「さらに。サービスしちゃうわ。……この村よ」「……卑怯だぞ」

俺の苦言に彼女は愉しそうに微笑んだ。「お嬢チャンたちと違うのよ」


 彼女はゆっくりと手を俺に差し伸べた。???

「人間は握手して別れるって言うけど?」

愉しそうに言う『ちぬれのばらブラッディローズ


 『孔雀石』の完全なる治癒ヒーリングを受けた村長が立ち上がる。

「解った。信じよう。ローズ殿」「あらあら♪話がわかる素敵なドワーフさん。……閨に誘いたいかも?」

ローズとやら。お前も趣味悪い。マジで。悔しいが実力不足。交渉成立である。


 「まぁ、縁があったら逢いましょう」

ローズは愉しそうに笑う。


 「いいわ。連れて行って」「!!!」

巨大な食人鬼オーガが傷ついた『ちぬれのたんけんブラッディダガー』を背負う。

いつのまに伏兵を隠してやがった。青ざめる俺達。

最初から交渉する必要すら彼女にはなかったのだ。

その気になればあの食人鬼と共に俺達を皆殺しにできた。

完全に敗北である。


 急に振り返る彼女。村長に問う。

「『にがよもぎ』は幸せだったのね」

「ああ。幸せそうな笑顔で逝った」「……私、彼女の微笑みを見たことが無いの」

ローズはにこりと笑った。


 「あなた達は握手してくれないの?」

悪戯げに微笑む『ちぬれのばらブラディローズ』に。

「すまん。『霧雨キリサメ』を頼んだ」「おねえちゃん信じるの」「わかったよ。頼むよ」

次々と握手を交わすおれたちに微笑むローズ。


 「いい心がけ。忘れないことね。素敵な『希望石ダンビュライト』達」

思わす叫んでしまったが、めっちゃ恥ずかしいこと言っちまった。羞恥で顔が赤い。

「……いえ。『夢を追う者達ドリームチェイサーズ』だったわね。

未来のダイヤモンドを護る者。いい名前だわ」


 「『孔雀石』だったわね」急に話を振るローズ。脅える『孔雀石』。

「貴女のお母さん。……とっても素敵だったわ♪何度か襲いたくなったくらい♪」

おい。俺達未成年。呆れる俺達。『孔雀石』。


 『孔雀石』に投げキスを放つと、「お幸せに♪貴女の困難に呪いあれ」

彼女なりの祝福なのだろう。ひねくれているが。

そして、彼女たちは暗闇に解けて消えていった。

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