6 幸せになる義務 幸せにする義務(ファルコ視点)
怖くないって言ったらうそになると思う。
薪をとりにいったはずなのに邪神が降臨して世界がほろびます。じょうだんじゃない。
僕だっていつも怖くてしかたない。それでも僕は笑う。怖さにみんなが屈するのが怖いから。
にこりと笑って僕が微笑んだり、すねをかじって駄々をこねてみたりする。
でも蹴らなくていいよね。気を散らしてあげているのに気づいているのにさ。いつものやりとりだけど。
怖いって何だろう。
勇気ってなんだろう。僕は怖いことを知ることだと思う。
一番怖いことを知っていたら、他は二番目以降でそんなに怖くない。
だから、笑ってみせてあげる。怖さもそうだけど勇気って辛かったり苦しかったときに笑うことだよね。
ローが言うに。『それは男の子だから』だそうだ。
命を生みださない男は、命より大事なものを見出したがるものだって。難しいこというよね。
じゃ、女の子は? ティアみたいに男の子みたいな女の子は?
そう聞くと、エフィーちゃんの頭を撫でながらローはこたえた。
「女の子は命を生み出す。そして同時に苦痛と苦難の連続さ」
つきに一回づつでも男の子には死ぬほど痛い。
だから、男と違って死ぬより大事なものを見出すより女の子は大事な事があるんだそうだ。
「女の子には『幸せになる義務』がある」
それは一瞬かも知れない。何年かも知れない。
世界で一番幸せになる瞬間が女の子にはあるし、あるべきで、それに気づくかどうかなんだって。
そんな時間を。僕は護ってあげたい。
僕は手足の震えを、乱れる息を無理やり深呼吸で整え、
引いていく血の気を怒りと勇気で押さえ込む。
血の香りの奥にいつか来る春の訪れを信じ。身を切る冬の風と剣風に今は身を晒す。
恐怖で裏返り、胃液の味のする喉を無理やり飲み干し、明るい笑い声が聞こえる日を信じて正面を向く。
もう手足は震えない。手を大きく伸ばし、因果律と星星の明かりを全身に受け止め、振るう。
「ファルコ・ミスリル。勇者よ。行くぞ」「みすみるなのの」「ミスリルだろう」「そうともいう」
剣を持った少年。竜大公様とぼくは一斉に腕を伸ばし、大きく振って。叫ぶ。
もう恐怖は感じない。あふれる世界中の祈りと恐怖に抗う怒りと幸せになりたいという祈りがぼくの。ぼくたちの身体に集まってくるから。
ぼくは。人に勇気を与える。因果律に愛されし妖精。
竜大公様は世界を見守る竜の神様。ぼくらはぼくらのために戦う。人に勇気を与えるのが僕等の戦い。
『へんしんッ 』『変身ッ 』




