最終話。 ともせ。希望の灯を。 (後編) プロローグ
地震がぐーらぐら、俺たちの脳みそもぐーらぐら。
河はさかのぼるしネズミは逃げるし、俺たちの自信もぐーらぐら。
「大丈夫です。なんとかなります」根拠を示せ。高司祭さま改め『死と破壊の女神』の最高司祭さん。
石でできた俺の胴より大きな手が出現し、空間や周囲の精霊たちを歪めていく。
「あれって」「以前皆さんがみた神像の本来の姿ですね」……マジ。逃げたい。
石の『手』は蠢き、のたうち、人の形を成していく。長身に細身の身体、神秘的な微笑をたたえた女性の姿に。
『死と破壊の女神』の姿に。
深々と頭を下げる高司祭さまをよそに
破壊の女神の像は神秘的な笑みを浮かべてみせる。
『死』が周囲を覆い尽くす中、高司祭さまから『生』が放たれ、二つの世界を分ける。
ロー・アースがうめく。「トーイの技か」兄貴の?
「死を破壊するのも、私の力」あでやかに微笑む高司祭さま。
「希望をつむぐのは。『最初の剣士』の意思を継ぐものたち」
迫りくる死。
恐怖とか、絶望とか、それすら飲み込む虚無。
闇へと孵りたい。母の胎内に戻りたい。生あるものにとって決してかなわぬ願い。
『死にたい。死のう。死んで』女神の声なき声に精霊たちも同調していく。
『生きよう。死こそ生を見つめなおし、勇気と慈愛を見出す力だから』俺たちは叫び返す。
「彼方達は何者ですか。私の声が聞こえていますか」
聞こえています。女神様。あなたの半身ですから。あなたの声、いつも私たちを見守ってくれていました。
「俺たちは」俺はつぶやく。
「どこにでもいる」ロー・アースは一気に抜刀し、俺の前に躍り出る。
「ただの、『にんげん』の」ファルコは鼻をこすって俺のすねをかじった。この事態になにをしている。
「『夢を追う者達』だっ!!!!!!!! 」




