9 世界は滅ぶ! 関わりたくないっ?!
「認めんっ! 認めんぞっ! 」
さっきのカネもちのあんちゃんが文句いってら。
俺の胴上げを一時中断して仁王立ちで迎える女ども。
さっきまで事実上娼婦の身売り状態で震えていたとは思えないほどの大迫力。
アンジェにいたっては中指たてているし。気持ちはわかるが。……まぁ待たせてすまんかった。
「しかし、ロー・アース卿の持ってきた大金貨は本物だぞ」
伯爵家のボンボンのワイズマンが競売に文句を言うなと助け舟。
アンジェの手かせをみると、血のにおいが鼻につく。
「もうちょっと早くきてやればよかったな」そういって彼女を軽く抱きしめると逆に慰められた。
「ううん。ちょっとムカついたけどみんな無事。いい前評判と予想額がついたのが逆に『ツマミ食い』予防になったもん」
それにしたって皆の予想額の算出、高司祭様も加わったとはいえ値上げ交渉、
イベントとして盛り上げる行為は身を切るほど辛かっただろうに。
「人員含めた『慈愛神殿』は王国大金貨三万枚にて無事落札されました」
怒号と混乱のなか、未曾有の競売は幕を閉じたかに見えた。のだが。
ごごご。ずずず。
「な~んかさ」俺は激しくいやな予感を感じていた。
臭いなき危険の香り、精霊の泣き叫ぶ声が肌を突き刺し、鼻腔を貫くあのいやな感じ。
「きけんがあぶないのの」ファルコは俺の袖を強くひっぱる。
「……ソフィアナ。説明できるよな。今何が起きているのか説明してくれるととてもとても助かる」
ロー・アースは引きつった笑みを高司祭様に向け、両手で彼女の頬を固定して問いかけた。
「えとですね」「うん」「うん」「うん」
不敬にもほどがあるが、事情が事情である。
危険が危ない。言葉のハチャメチャさはさておき、グラスランナーの危険感知能力は本物である。
「簡単に説明します」高司祭さまはいう。
「これは『真なる創造の女神』、つまり慈愛神殿では『破壊と死の女神』とされている」ちょ? 高司祭さまそれ以上はなしなしっ?! 関わりたくないっ?!
おもわず耳をふさいで逃げに入る俺たちの耳に情け容赦なく彼女の説明が入った。
「真の神の身体の一部を慈愛神殿地下にある『真の神殿』にて保管しておりまして。
慈愛神殿の力と他の四大神殿、自由と混沌の神の隠し神殿の力で封印しているのがこの『車輪の王都』なのですが、どうも私たちがこのような競売遊びにかまけている間に守護が緩んだようですねぇ」
おい……責任取れ。マジで。
「大丈夫です。完全な復活ではなく、欠伸のようなものですので」は、はぁ。
「ちょっと大陸が吹っ飛ぶ程度で済むかもです」こらああああああああああああっぁぁつ?!!!!!!!!
「困りましたね」先ほどまで鎖に拘束されていた美女は、舌を出しておどけてみせた。




