3 燃える石
薪は集まった。だが日常的にあの馬鹿みたいな量のお湯を維持するためには『燃える石』ってヤツが必要らしい。
その事を『孔雀石』と『藍銅鉱』に話すと二人は眉を顰めてみせた。
「アレは……」「……」
やっぱ無理か。
へなへなと崩れ落ちた俺をファルコがつついている。
「喜んで、差し上げます」この涙は、痛いわけではない。
暗い森の中に光がさしたかのように『孔雀石』の微笑みは美しかった。
『燃える石』と『燃える黒き水』はドワーフ達が秘匿する宝だ。
他に『悪魔の金属』。所謂鋼鉄という鉄の仲間がある。
俺たちの知っている鉄は青銅と比べて脆いし、扱いにくい。
しかし彼らが見つけ次第封印している鋼鉄の品々は硬く、しなやかで強い。
「アレか。『悪魔の金属』を作るうえで必要なのかい」「……」「……」
迂闊なことを聞いてしまった。
ドワーフたちはウソがつけない。その代わりに黙るか別の話をする。
「聞け。人の子。大地の恵みを掘り出し、奪い取り続けた人の子たちがいた。
彼らは石を掘り、埋もれた木々を掘り、燃える水を掘り、悪魔の金属を作り、奪い合った。
やがて燃える水を血とし、悪魔の金属で出来た馬なき馬車で世界を駆け、空をも焦がす炎を手に、
鋼の翼で空を舞った。石の中から触れてはいかぬ力を見出し武器にし道具にした。
そして大地の石に隠された見えざる光に焼かれて滅び去った」??????
「我は友たる君たちに『燃える石』を再び託す」……。
「勇気と知恵を持って、『燃える石』を使って欲しい」……はい。




