7 フォー! 追放するって本当ですか
「彼を恨んでいないかって? 恨んでいるに決まっているでしょ」
いつもロー・アースに対して仲良く振舞うので、俺はシルバーウインドを誤解していた。
「でも、私は同じくらいあの子が大好きなの。解る? 」解りません。元女王さま。
この広場は冬場でも日差しがあって、さわさわと頬をなでる風は心地よい。
「彼が自分を赦せる日を私は待っている。この火傷は彼の心の傷」
半分、持ってあげていたのですね。感謝します。
フレアの広場にて、俺とシルバーウインドは会話している。
作業の合間に彼女を連れ出し、ここで仲間に代わって謝罪する俺に彼女は優しかった。
「エフィーって子、やっぱりその時にアイツが浚ったんですか? 」
思ったことを口に出してしまい、思わず口に手を当たる。
目を見張る俺に『首を振って』『悲しそうに微笑む』元女王さま。
「私は後の彼の呪われた足跡を知らないわ。彼が話してくれる時を待ちなさい」
エルフの時間間隔だと人間の一年を一日のように感じているからな。一体何年後なんだろう。
「私がわかることは、あの二人には下手な恋人や兄妹以上に強い絆があるくらいかしら」
ニコリと笑う『ぎんのかぜ』に俺は何も言い返せない。あの二人の絆は強い。
「じゃ、条件って」「私は神性を大きく失い、もうエルフの森には戻れない。戻る森も。ない」
エルフにとっての『追放』は死より恐ろしい罰とされる。「それを決めたのは私自身。人を愛することを決めたのも私の決断」
『追放』を決める『女王』が自らを『追放』した。その意味は大きい。
今の彼女にとって同族に口を利くのは命がけになるはずだ。
「人を愛するのは、とても難しくて大変だから。覚えておきなさい。『零の女神』」
立ち去る俺に彼女の声が重く響いた。




