4 ドカ! 焚き木ッ! 死んだ スリープ(笑
ぱちぱち。場違いな手を叩く音。
「ふぁ……お前の理解力は素晴らしいな」欠伸しながら手を叩くのはロー・アース。なんか。むかつくし。
風が吹けば桶屋が儲かる並の言いがかりだが、
実際、普段薪に困ってない神殿だったし、そういわれている。らしい。
「今や薪を買い占めているのは慈愛神殿だという噂が立つ始末」
モニカを宥めながらジェシカが眉をしかめつつ呟く。
ちなみに、薪を買い占める行為は重罪である。先ほども述べたが薪はエルフの恵みだからな。
森の中で不遜な態度をとった馬鹿者は即座にキノコの輪に足を踏み入れる羽目になる。
泣き崩れる幹部連中。しっかりしろよ。司祭にいたっては子供に戻って親代わりの侍祭に泣きついている始末。
ロー・アースが高司祭さまに肩を貸そうとしているのだが、彼女は『浅ましい私には資格が無い』とかなんとか言いながら逃げ回っている。
はぁ。とんだ修羅場だこと。放浪癖の酷い兄貴がいればなぁ。
「だから、神官の我らが金儲けなどを」天を仰ぐ神官長。
しかしそのカネが無ければ孤児院の増設は出来なかったしなぁ。
ミリアの親父は本来慈愛神殿の信者じゃないし。
「おかねを稼ぐこと自体は悪いことではないのの。おかげでスラムの子供はお風呂入れて喜んでたのの」
実は施しの一環として裏口から入れる。ただしお節介な神官共に文字を習えとか言われる。
文字なんか読めなくていいとはスラムのガキどもの意見だが、俺もそう思っていた。事実そんなに困らなかったし。
しかし、それでも凍死者が出るのは事実だ。今年の冬は厳しい。
「チーア。あなたの友人の冬の精霊に願い、もう少し暖かく出来ませんか」俺は首を振る。
火事の火勢を弱めたりはまだしも、精霊にとっての自己否定は自殺に等しい。
俺の周囲の冷気を少し緩和する程度ならまだしも、暖かくするのは別問題だ。
「と、なると。エルフに薪を貰ってこないといけないわけですね」それも沢山。膨大なほど。
「難しいと思います。俺たち、エルフの眷属や魔導士だけど相性の良くないドワーフの加護のほうが大きいんです」
ドワーフは大地や炎、闇の眷属だからな。水や風、光のエルフとは相性が良くない。
さて、どうするかねぇ。どうせアイツ等、トンでもない試練だのなんだのを寄越してくるんだろうが。




