16 『夢を追う者』たち
「何も出来ぬ無力な餓鬼が。笑わせてくれる」男たちは剣を抜き、弓を構える。
俺は親父の弓を手に取る。変な弓だ。銀(?)で出来ていて筒状の器具がついている。
二つの弓をくっつけた形状。奇怪なカラクリで引く補助。あらかじめ何本かの矢をセットできるようになっている。
そして大人三人がかりでも引けないほどの強弓。らしい。
『まだ見ぬ夢を追うことを知りたい 自由とはなにかをしりたい』か。
矢が飛び交い、血に染まる敵味方。
ファルコが駆け抜ける。ロー・アースの剣と魔法が煌き、子供たちが火を消そうと抗い、子供たちを浚おうとする愚かな敵はラシェーバとピートに倒されていく。
『束縛の鎖を自ら外すことで糸の切れた凧のように迷い苦しむかもしれない』
ロー・アースとファルコの剣が見事に敵の腹を貫き、心臓を凪いだと思われたが。
「『風を織った』服と『星の光を集めた』革鎧。そして『悪魔の金属』を用いた武器に勝てるかな」勝ち誇る男たちに二人は舌打ち。
「星をも砕く因果律の象徴。惑星神たちの加護も、我らの手の内よ。『星の御子』ども」
そういって剣を抜くのは先ほど逃がしてやったあの男だ。
「なんか、どろぼうがいけないって人間がいうの、わかったきがするね」
「はらたつよね」「だねぇ」ファルコ達は謎の言葉を放ち。
「へんしんッ 」「すごく変身ッ 」「ちょと変身ッ」
謎のポーズをとって武器を手に踊りかかるファルコ達。それにロー・アースも続く。
それでも。
『鞭をうたれる事をおそれず。縛られず。
自らのあり方を自らで考え、困難に自ら立ち向かい、
『よき明日とは何かを考え続けるのが人であるから』
子供に、教えてもらっちゃダメよね。私。
俺は弓を引き絞る。
半妖精の力じゃ人間の大人が束になっても引けない弓を引けるわけがない。そう思う。
事実、俺を無視して連中は戦っているし、実際意味の無い行動なのだと思うが。
『奇跡を起こす人。夢を叶える人。邪を打ち砕くは妖精の騎士』
そうさ。俺たちは屑石。ダイヤモンドとして輝く人々を守る者。
ロー・アースもファルコも奮戦はするが、数の暴力には叶わない。
子供たちを守るピートとラシェーバ。子供たちの投げた小石で一命を取り留める。
「二人ともこっちにこい。俺を守ってくれよ」
ニコリと笑って『しのぶくさ』と『わすれぐさ』を呼ぶ。
呆けた敵を無視して俺に駆け寄る子供たちをピートとラシェーバが守る。
その様子に肩をすくめて見せる男。
「女神殿。屑石どもに負ける我らではないぞ」一歩、また一歩と歩み寄る男に俺は弓を引き続ける。
「くるな。死ぬぞ。これは竜殺しの弓だからな」本当とは欠片も信じていないがな。
「俺は。俺たちは」
俺の弓を引く手に、子供たちの手が加わる。後ろから誰かが抱きしめてくれた。
「おせえよ。レッド。シルバーウインド」俺は笑う。
突如現れたエイドさんやチンピラども、女共が連中に襲いかかり、形勢は逆転する。
俺たちは。子供たちは。いや。倒れた仲間や『かぜをおるむすめ』だって。
「『夢を追う者達』だっ!!!!!!! 」
俺たちの手の中の『竜殺しの弓』が大きく引き絞られ、大きな光を放った。




