4 莫迦親父。帰ったぞ
「こいつは」久しぶりに顔を見せた娘に莫迦親父は目を見張った。
「お前の子供か」「バカヤロウ。14の子供がこんなデカイ子供を孕むか」なにを言いやがる。
早速親子喧嘩を開始した俺たちを見て『しのぶくさ』と『わすれぐさ』は萎縮して逃げ出し、俺と親父は必死で探す羽目になった。
親子揃って久しぶりにあってまた喧嘩とは。まったく情けないにも程がある。
「綺麗な格好きせてもらって良かったな」親父が何処からか取り出した木綿の服を身に纏った二人は貴族の子弟と見違えるほどの美貌だ。まぁ半妖精だし。
というか、木綿って。絹より高いんだが。
シチューをコトコト煮込む。ミルクが温まる香りに二人の子供は目を輝かせ、ぴょんぴょん飛んでみせる。
「やけどするぞ。火の前に近づくな」あと、薪の調整はありがとうといっておく。
そうやって子供たちとじゃれながらシチューを作った俺に。
「ああ。そうそう。返しておく」
ごと。テーブルが鈍い音を立てた。
親父は俺の目の前に王国大金貨が莫迦みたいに入った袋を差し出してみせた。
手に持って確かめてみる。思わず噛み付いてみるが間違いなくまごうことなき魔導強化された純金。
「盗んだのか」まぁうちの親父だし。
「バカヤロウ。倍返しだ」はぁ。タコ親父。お前にそんな甲斐性あるかよ。
激しく揉める俺たち親子。
「ガウル様。如何なさいましたか」
細身の儚げな少女が入り口から入ってきた。その姿を見て子供たちは目を輝かせた。
「お母さんッ?!!!!!!! 」へ……。
抱き合う親子。泣きながらお互いの無事を喜ぶ三人。
思いがけない感動の親子の再会を眺めながら俺は火箸を握り締めて親父に迫った。
え~っと。莫迦親父。説明を求める。ああ。俺は怒っていないぜ? 全然怒っていないからな?




