2 手伝うお前もお前だ
「無事か? 」
無事とはいえないが。まぁ生きてはいるな。
累々と倒れている『敵』を見ると吐き気がする。
「悪かったな。引退したのにつき合わせて」「……」
別に引退したわけではない。ちょっと辛いことがあっただけだ。
「『忘れ草』ッ! 」「おねえちゃん?! 」
「……俺たち、邪魔かな」「当然だろ」ロー・アースといつの間にか横にいたレッドに言われた。
ロー・アース。相変わらずの無関心な態度。でも少し頼りになる。不思議だ。
気がつくと倒れた敵たちに手当てが施されている。ファルコだな。運がよければ助かるだろう。
俺はニヤリと笑うと運が悪い連中に手当てを施してやった。どうしようもない悪党連中は縛っておいたが。
「甘いですよね。チーアさんは」そういって『生命の危険』『要魔法処置』『医療術の施行急ぐべし』『要手当て』『手当ての必要あとまわし』等のタグを敵だった連中に貼って行く慈愛神殿の同僚・マリアは呟いた。
手伝ってくれるお前だって甘ちゃんの一人だろ。尼だけに。
「それ、つまんない」この火竜の娘は心を読める。うっせぇ。フレア。
大木を引っこ抜く怪力をもつ半裸の精霊使いにして火竜の娘は俺の冗談に受けたわけでもないだろうが、ニコニコ笑いながら怪我人を五人ほど片手で抱えて運搬するが、下敷きになってるヤツは死ぬぞ。
「死にません。竜族を侮ってはいけませんよ」自らも夢幻竜である同僚は微笑むと『動かすと危険』タグをつけた人々を二人ほど片手で持ち上げて歩き出した。




