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男装女神は14歳っ!?~夢を追う者達(ドリームチェイサーズ)冒険譚~  作者: 鴉野 兄貴
故郷に錦を 後編

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エピローグ。微笑みの我が家へ

「どうするつもりだい? 」俺達はグローガン達に問いかける。

「まぁ、ど~しようもないし、父ちゃんの仕事継ぐよ」


 本人に技術はなくても、人と仕事は集まってくるし、なんとかなるだろう。

「俺達もグローガンさんについていきます!! 」手下達は笑う。

「まぁ、いい機会だし、王都で仕事してもいいだろ」アンジェラ婆さんも微笑む。

「これだけ若いのが増えると教えるのに苦労しそうだねぇ」と楽しそうに続けた。


「ど~しようかなぁ」


アンジェがもじもじして笑っている。……ん??

「どうした? アンジェ? 」


「未来の棟梁の奥さんも悪くは無いかな? 」おいおい。

「昔からおっさんで、下手糞だし、乱暴でナニもアレだけど。最近ちょっとカッコよくなったかな? 」マジか??!!


「勘弁してくれ。アンジェ」グローガンは嫌そうにしている。


 その様子にアンジェは驚愕の事実を告げた。

「なによ? 安宿にいた昔ならさておき、引退前は一晩銀貨一万枚よ??!! 」マジでっ?!

「いやいやいや。やっぱり昔の知り合いは」

「むっか~~!! 糞チンピラの頃も知った上で言ってあげているのに!! 」

うーん。意外な組み合わせだ。冒険者を始めて一番驚いたかもしれない。


「いいじゃないか? ちょっと幼いけど、お前ロリコンだろ? 」「かぁちゃん……違うよ」

グローガンは泣きそうな顔をしている。違ったっけ。

「じゃチーアに乗り換える。もう女の子でいい」「いやまて。チーアさんもなんか言ってください」おい。俺に振るな。


「今すぐ! 今すぐじゃなきゃ駄目!! 」「すいません今すぐは勘弁してください」「だっさ!! 」


 膨れるアンジェに「優しくはするから、乱暴にはしない」とだけグローガンは笑った。

「たださ」とグローガンは続ける。

「助けた小さな女の子いたよな? 結婚してくれって言われてるんだが」おい。


 やっぱ若くて、男知らないほうがいいよな? 男からすると。とグローガン。

「……」「……グローガンさん」「なんぼなんでも」「それはドン引き」


 アンジェは怒気を孕む声を放つ。目元に涙が浮かぶ。

「やっぱ辞めた。逆玉捜す」そのほうがいい。ちょっとねぇ。

「まてっ! まてっ!!! まてって!!! 悪かった!! 」「知らない!!! 」

去っていく二人。肩をすくめる俺とアンジェラ婆さん。


 「失礼します」とマリア。

「おまえいたのか」「失礼ですね」マリアは膨れた。


「どこで育て間違えたかねぇ」「ホント、一言以上多いんだよな。グローガンさんも」

「つか、絶対言っちゃいけないだろ。好きで選んだ人生じゃないし」俺もむかついた。


 いんや。と婆さん。

「好きで選んだ人生でも息子みたいになることもあるさ」確かに。

そして微笑む。「でも、幸せを掴むのは別問題さ」そっか。


「夢を叶えるより、幸せになったほうがいいって、最後は気づくものだしねぇ」……。


 旦那さんってそんなにカッコよかったんですか? 俺が問うと、

「そりゃ、逆玉をいくらでも狙えた私が本気で惚れたからね!

喧嘩は見掛け倒しで弱かったけど、一本気で男気あったよ! 」婆さんは笑った。


 グローガンもそうなるのかなぁ? ちょっと無理そうだけど。

「あの子は、あの子なりにやっていくさ」婆さんが言う。

「こんな素敵な友達と仲間がいるじゃないか。駄目な子だけど、友達だけは大事にする子だしね」

でも、女心は駄目駄目ですよ???!!!


「仕方ないよ。人間苦手ってもんがあるさね」と婆さんがため息をついた。

「ホント、女の子には優しくしろって言ったのに聞かなかったし」まったくだ。


 婆さんが俺の手を握る。恐縮する俺の背中をポンポンと婆さんが叩いた。

「本当に、いろいろありがとうね」「いえ。なにもしてませんし」

伝説の冒険者に感謝されるようなことはなにもしていない。はずだ。


「いえいえ! マジで遠慮しなくていいですよ! 」「やっぱチーアさんたちのおかげですし! 」

「よく殴ったり殴られたりしましたけど、おかげで就職できました! 」「俺も彼女ができました! 」


まじか。それは奇跡と言っていいぞ。


「俺も背が伸びました! 」「うそつけ! 」大して変ってない。

「俺も金ためたら故郷の農園継ぎます! 」もうなにもいうまい。


「ところで」婆さんが言う。ウインクまでして。なんだろ?

「アレですよアレ」グローガンの手下どもが笑う。

「そうそう」気がつくと顔中引っかき傷だらけのグローガンとふて腐れたアンジェ、

連れ戻しにいったらしいマリアが戻ってきている。


……あのたんこぶはマリアの所為か……痛そう。


「なんだよ? 」


 ワケわかんねぇ。隣にローとファルコがいつの間にかいた。

「おかげで息子が更生したよ。ほんと有難う」二人と握手する婆さん。


「最後にアレ、たのんます」

グローガンが頭を下げる。????


「お前ら!! 何者だ!! 」

グローガンがおどけたように叫ぶ。


「俺達はっ! 夢を追う者たちドリームチェイサーズだ!! 」俺達三人は叫び返す。


「「死神が憑くって噂の!!!!!!!?? 」」」


 グローガン一味のみならず、婆さんやアンジェたちまでわざと驚いたように言う。

「「「じゃかましいわっ!!! 」」」俺達三人は笑いながら叫び返した。


「たぶん、これが最後だと思いますから締めに一発欲しかったんですよね! 」大笑いするグローガン一味。

「グローガン一家は永遠ですよ?! 」「どこまでもついていきますって! グローガンさん! 」

手下達が駆け寄ってくる。「お前ら……嬉しいこといってくれるじゃねぇかあああっっ!! 」

号泣するむさ苦しい男共を見ながらアンジェがぼやく。


「やっぱ辞めた」むさ苦しいと続ける。


 そんなこと言ってやるなよ。アンジェ。

「ふふ。最後は丸く収まりましたね」マリアは楽しそうだが。そうかなぁ?


「つきあってらんね」「だねね」


 ローとファルコも呆れている。

帰ろうか。俺が言うとローとファルコも続いた。


「ありがとおおおおおお!!!! 」

大声が遠くから聞こえてくる。俺達は歩きながら黙って手を大きく振る。

振り返りはしなかった。


 もし、郊外の森の中の小さな冒険者の店を訪れる事があったら、

迷うことなく俺達を指名して欲しい。きっと、願いは叶うから。

ただし、『余計なオマケ』については自己責任で!


(Fin)

(おまけ)

「ところで」ロー・アースは不満そうに呟いた。

「どうした? 」相変わらず金が無い俺達は新しく出来た側溝ドブさらいの手伝いだ。

まったく、意外と重労働で困る。

「あのね!なのね!おばあちゃんたちからお金もらってないの!! 」

「あっ……!!!! 」

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