表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男装女神は14歳っ!?~夢を追う者達(ドリームチェイサーズ)冒険譚~  作者: 鴉野 兄貴
ダンビュライトは夢の輝き 後編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/323

1 調査開始

 「はぁ。お嬢。俺ら、呪われることなんかしてませんぜ」「まぁ脚はノロイっすがねぇ」

ドワーフが冗談を言ったっ?!ドワーフが冗談を言ったぞっ?!今ッ!!


夜が明け、俺たちは調査を開始した。本当に呪いかどうか、気になるところだし。


 「村長も迷信深いっすからねぇ」

「さもありなん。魔法の祈祷も効かないんだからな」

この二人は若者らしい。軽口の多い連中だ。


 「なんか、痛いところとか痒いところとか気になることはありませんか?」

「細かいことは気にしないからなぁ。俺達」気にしろッ!調査なんだからッ!


 若手は良いが、年寄りどもとなると「沈黙は金やミスリルに勝る」らしくマジしゃべらねぇ!喋れないんじゃねぇか?コイツラっ!!


 「……」「……」「(村長宅のほうを見る)」

「(川の方を見る)」「(掘り出した塵を集める山を見る)」

「(『藍銅鉱』の窯のほうを見る)」

ええいっ??!なんか喋れっ!!


 「解りました。

長老様方曰く、お父様に聞けと言うことです。

あと、川とズリ山、『藍銅鉱』の窯を調べろと」

……なんで解る。『孔雀石』さん。


 「川はファルコ。お前が行け」

「うん!」遊びに行かせるな。ロー・アース。

「俺はズリ山……掘り出した塵を積んでいる所を見てくるから、お前は『孔雀石』さんと窯に行け」


 「なに仕切ってるんだよ。ムカつくんだよ」

俺は奴の胸を払った。肩をすくめる奴。


 「フン!」

仕切りやがって。先輩だかなんだかシラネェがウゼェ。


「ちょっと助けた程度で恩着せやがって、オマケにこんなところまでついてきやがって。

……注文取りくらい出来るし、逃げやしねぇってのっ!」

そういいながら窯を目指す俺。ついてくる『孔雀石』。


 「助けられたんですか?」

……嫌な事を聞いてくるなぁ。


 「……」

首を縦に振ってみせる。不本意だが事実だ。


 ニコリと微笑む『孔雀石』。???

「ふふ。運命の出逢いですか。素敵ですね」「がぶっ??!」


 ゲホゲホと咳き込む俺にトドメを刺す『孔雀石』。

「物心ついたときから『藍銅鉱』とは遊んでいましたから、そういうのは憧れますね」


 「……あの」

なんでそうなる。


 「え。チーアさんって女性じゃないんですか?」

……一言もそんなこと言ってないぞ?!!


 「解りますよ。エルフというのは五感が鋭いんです。覚えておくと良いですよ」

……そういえば、俺も人より五感が鋭いって言われているな。

半分だけエルフよりはエルフの方が優れているだろうな。多分。


 「厄介だなぁ。黙っておいてくださいよ?」

マジで、このひとにはおどろかされっぱなし。


 「くす。……はいはい」

「タダでさえ、黒髪黒目の半妖精は珍しいだの。

……必ず眉目秀麗だの言われて人攫いに狙われたり、

迷信深い奴らに石投げられたり、魔力を得られるとかいって食われかけたり、

犯すと幸運がつくだの言われてエライ目にあってるんですから」


沈黙する『孔雀石』口をへの形にする俺。


 「……それはちょっと人間不信になりますね」

いや。ホント。

「オマケに親父は常識が通じないしな。素直に育てってのが無理なのさ」

そううそぶいて彼女の前に駆け出す。別に表情を読まれたくないわけではないが。


 「反抗期ですね」

「ぶっ?!」

す、鋭いっ???!!


 「『藍銅鉱』~!」

『孔雀石』さんが手をふると遠くの『藍銅鉱』が手を振り返す。

「お嬢、もう弁当はいいよ。ガキの頃ならさておきさ。恥ずかしいし、お嬢は結婚前だろ」


 『孔雀石』さんの長く尖った耳がピンと立った。


「……な ん で す っ て ?」

「……頂きます」うむ。確実に尻に敷かれる。いいことだ。


 というか、機嫌治したのかよ。と『藍銅鉱』は髭の奥。小声で呟く。

「で、この人と結婚することにしたんすかい?」「……御飯抜きで良いかしら?」

余計なこと言わずに、飯を食うといいぞ。あと味わって食うべきだ。


作業場に転がる泥?団子に目をやる俺。……これって。


 「このダンゴ、気になってたんだが、コレなんだ?」

……凄く。気になる。

「あん?秘密に決まってるだろ。秘密秘密」「……」


 「お嬢?」「……」

『孔雀石』さんはニコニコ笑っている。


 「お嬢??」「……」

まだニコニコ笑っている。


 「お 嬢 ? ?」

「……話してくれますよね?チーアさんはお医者さんだそうです」

怖い。怖いよ。『孔雀石』さん。


 「わぁったよ。……ネズミを殺す薬になるんだ。

あと、一部の病気の治療薬や美容液の原料になる」……。


 まさか。兄貴が言ってた。絶対顔に塗るなとか言ってた。

「……それ、寄越せ」

俺は駆け出すとダンゴの一つを手に取った。



 「おい?よそ者には渡せないぜ?!」

とっさに弁当を投げ出す『藍銅鉱』。あっ? おまえ??! 知らんぞっ??!


 「……渡しなさい。『藍銅鉱』」

『孔雀石』さんは笑っているが同時に睨みつけている。

ダンゴを手に、奪い合いの姿勢のままで固まる俺たち。

マジ。こええ。


 「お嬢。顔と態度が一致して無いぜ……」

「私は穏やかにことを運びたいだけですが?」

うん。怖い。マジ怖い。味方でよかった。


 手で捏ねてあるダンゴはかなり重い。鉱山から出た物質らしいが。

「コレを捏ねて窯で焼くんだ。すると薬が出来る」……『薬』ねぇ。


 「"出でよ。水の乙女。その手のひらで穢れをけしされ"」

自然と精霊の言葉を口にしていた。


 「"浄水"」

……予想通り、ダンゴは崩れ去った。


「コイツは毒だ。『藍銅鉱』。今すぐ窯を閉じろ」俺は冷たく彼に言い放った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ