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男装女神は14歳っ!?~夢を追う者達(ドリームチェイサーズ)冒険譚~  作者: 鴉野 兄貴
故郷に錦を 後編

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10 お母さん 助けて

 ばちばち。ごうごう。

崩れる梁を避ける。喉に熱い炎と煙が入るが、守護印の刻まれた俺は無事だ。

時々崩れる構造物を避けつつ、女の子のいる家を目指し、二階を目指す俺。

「何処だ!! 」

「母さん……。母さん……」女の子はまだ息があった。


「よく頑張ったね」


 俺は意識もほとんど無い娘を抱き上げた。酷い火傷だ。可愛そうに。

「女神よ。この子を助けてください」淡い光が彼女を包む。これでこの子は大丈夫。

持ち上げようとして気がつく。力が入らない。


血が足りない。


 や、やっべ。

急速に頭の中がぼやけてくる。ぽたぽたと落ちる俺の血が蒸発する香りにやっと気がついた。

血が、なくなれば守護印の効果はなくなる。炎が治まるまで俺が生きていれるかと問われれば。否。


「ごめん。お袋。兄貴。親父。……高司祭さま」

声が出たのかどうか。少し自信がない。


 あとアンジェ。ファルコとロー。マリア。

「俺にしっかり抱きついておいてくれ」そうすれば炎は防げるから。

くそったれ。こんなマヌケな死に方とはね。本当にザマァネェ。



「大丈夫っすか? チーアさん」ん……?

「こんなところで死ぬつもりか? 慈愛の女神の使途よ」


 あれ? なんでこいつらの声が?

俺はおそるおそる目を開けると。アンジェとファルコが抱きついてきた。


「ほんと。無茶するお嬢ちゃんだねぇ」

 アンジェラ婆さんがため息をついた。

アーリィさんやアキやエイドさんたちもいる。


 焼け跡に俺はコロリと転がり、皆に抱きしめられていた。

黒く燃えた梁や漆喰が壊れて砕けた石壁。いまだ喉を焼く燃え残りの煙。


「老骨だし、追いつくのに苦労したよ」あれれ?

「本当に、本当に心配かけて。殴ってやろうかしら? 」怖い。怖いよマリア!

ファルコとアンジェと婆さん。マリアたちがいるってことは。

「お~焼き豚になりそこねたか」ロー・アースの声。


「俺、生きてる???!! 」


なんで??? 気がついたら炎も完全に治まっている。


「だよ! 」「そう! 」「其のとおり! 」「ははは!! 」

エイドさんやグローガンの部下や役人どもや店の冒険者達までいる。


「慈愛の女神の使途が二人もいるのに、死ぬわけないじゃん! 」アンジェが涙を流して笑う。

いや、それは生きていてだろ。流石に二人とも出血多量で死んだ奴の灰まで蘇生できない。


 「……」

アンジェが悲しそうな顔をする。どうした???

そういえばグローガンは??? というか。なんでグローガンの手下は泣いているの?


 「グローガンは???!!!!!!! 」俺の叫びに。

「息子は……」「グローガンさん!!! 」手下達は泣き崩れた。

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