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男装女神は14歳っ!?~夢を追う者達(ドリームチェイサーズ)冒険譚~  作者: 鴉野 兄貴
故郷に錦を 後編

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8 正義ってなんですか

「いいですね。あのアンジェラさんに稽古つけてもらえるなんて」マリアが羨ましそうに言う。

「えっへん! 」アンジェは楽しそうに無い胸を張った。俺より無い。


再び『五竜亭』。俺たちは婆さんと一緒にメシを食っている。

あ、このご飯美味い。久しぶりに残飯の作り直しじゃない食い物を食った。

香りつけの香草は古い乾燥させたものだが、それでも無いよりあったほうがいい。

「あの婆さんがアンジェラか」「本当か? 」「でもロー・アースたちが手も足も出なかったぞ? 」


 他の冒険者達が遠巻きに見ている中、アンジェラ婆さんはくそばかでかいジョッキを空にして。

「おら、エイドの餓鬼。さっさとおかわり持って来い」と呟いた。

子供のように萎縮したエイドさんがおかわりを注ぐ。ちょっと可愛いかも知れない。


「流石に体中が痛いよ。やっぱ歳だね」と婆さんが笑っている。

 彼女のジョッキには老人が飲むとは思えないドワーフ火酒がなみなみと入っている。

俺も投げられまくって全身が痛いんだが。婆さんハッスルしすぎだろう。


「この方が伝説のアンジェラさんだなんて……ねぇ? 」アキが楽しそうに笑っている。

「なんかうちの馬鹿息子がセクハラしたそうで」とアンジェラ婆さんが頭を下げる。

「いえいえ。おかげでファルちゃんやチーアちゃんと出会えたし」とアキは懐かしそうに返事する。

そのファルコだが、俺の頭に抱きついて噛み付いている。何をしている。やめろ。


 「うちの主人がご迷惑かけたそうで」と、女将のアーリィさんが追加のご馳走を持ってきた。

「まったく、こんな美人の娘に手をだすとはねぇ。……全部、このエロガキのおごりだから」


 楽しそうなアンジェラ婆さんに「勘弁してください」とエイドさんが泣きそうな顔で言った。

しっかしよく飲み食いする婆だ。おかげさまで腹いっぱい食えるが。


 かしゃん。かしゃん。プレートメイルの音。

俺達のテーブルに甲冑姿の騎士が近づくと、婆さんに一礼した。


「以前は大変失礼しました。アンジェラさん」

バドだ。


「あんときの騎士様か。きにしないきにしない。

あたしだってウンコかけようとしたし! 」おい。食事中。


「あのまま斬りかかっていたらあんたの命は無かったと思うけどね」……怖い。

「本来は一般人に教えてはいけないのですが」バドは逡巡した様子を見せる。


「なんだい? 」「その前に。正義とはなんでしょう? 」いきなりなんだ。バドの奴。

「みんな正義だよ? どこの阿呆が自分から悪っていうかね? そういうのは自分に酔っているだけさ。

一番厄介な正義は自分に酔っている正義と、保身しか考えない正義だけどね」


そうなると正義のために情け容赦なく人を殺すようになる。と婆さん。


 バドはためらった様子をみせると小さく呟いた。

「区画整理が行われています。私も参加する予定です」「そうか。がんばれ」

失礼します。とバドは頭を下げて退出した。


「いかなきゃ」アンジェが呟く。マリアも頷いた。

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