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男装女神は14歳っ!?~夢を追う者達(ドリームチェイサーズ)冒険譚~  作者: 鴉野 兄貴
故郷に錦を 前編

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8 格闘訓練

 はじめ! という声。

アンジェとロー・アース(教官代行らしい)が格闘術の訓練を開始する。

まず握手。そのまま小手返しという技で軽く転ばせるロー・アース。


 相変わらず、魔法にしか見えないが、立派な格闘術らしい。

「ひっど~い! 」アンジェが抗議するが、ロー・アースは聞く耳を持たない。

 「女が身を護るのに酷いはありません」高司祭さまは澄ましたもんだ。

そのまま関節を取られ、地面に押さえ込まれるアンジェ。


 手を緩めてもらって勝負ありと言う前に眼にも止まらぬ速さのアンジェの蹴りが、

ロー・アースの股間に入った。筈だった。


ぽいっ!


 揚げ足を取ったロー・アース。アンジェの身体が空中で一回転した。

大きく開いた股間が俺の目に入ってしまった。きょうはズロースか。


 「もうっ! お嫁にいけない~! 」抗議するアンジェ。

「個々の技は優れているが隙が多い」アンジェを抱き上げるロー・アース。

頭を撃つ前に軽く受け止めたようだ。


 しかし、アンジェは諦めが悪い。

「どっちが?! 」ロー・アースの顔面に頭突きを入れるアンジェ。

自分の服やロー・アースの服を駆使して動きを封じにかかる。

「押し倒したらこっちのもんだもん! 」やめろ! 全力で辞めろ!

止めにかかる俺の背後から恐ろしい声が聞こえた。


 「……アンジェ。辞めなさい」

高司祭さまのどすの効いた声に「ビクン」と震えたアンジェは動きを止めた。

にこやかに微笑んでいらっしゃるが本気で怖い。

「……勝者。たぶんアンジェ」我ながらいい加減な判定だ。


 マリアとロー・アースの戦いは終始立ち技。

怪力のマリアの攻撃は全て凶器のようなものだが、ロー・アースはフラフラとかわす。

業を煮やしたマリアはいったん離れ、近くの岩みたいな石を軽々と片手で引き抜き、投げつける。

ちなみに、格闘術だといっても、周囲の構造物や隠し武器を使用する行為は許可されている。


 自分から後ろに倒れ、かろうじてかわすロー・アースだが、石が俺にすっ飛んでくるのは!?

「マリア! 殺す気か!! 」「ロー様が蹴りで軌道を逸らしてくださいましたよ? 」

やっぱり当てる気じゃないか!!?

そういいながらロー・アースの股間に蹴りを打ち込むマリア。

両脚をばたつかせて防ぐロー・アース。

なぜか倒れるマリア。どうも蹴り脚と軸足を交互に掬われたらしい。器用なもんだ。

 「あ~!あれ私の技~!」アンジェが抗議する。

自分と相手の服と組技で動きを封じられたマリアはしばらくロー・アースに噛み付いたりしていたが、

程よいところで判定を入れてやる。「勝者。ロー・アース」ざまぁ見ろ。


 後ろでは致命傷を受けてもいいように癒し手たちが控えているが、

程よく手を抜いたローのおかげでマリアもアンジェも怪我ひとつしていない。

一応、二人ともうちの神殿では一二を争う格闘術の使い手なんだけどなぁ。


 「では、久しぶりに私が稽古をつけてあげますね」

皆が止めるのを聞かず、高司祭さまがショートソードを手にロー・アースの前に立つ。

ロー・アースの短剣やショートソードの技は高司祭さま直伝らしい。

「お手柔らかに」ロー・アースも真剣を持つ。

「すっご~! 」「きれい! 」「高司祭さま強い! 」「ロー・アースさん頑張って! 」

剣のみならず、服の端や足技、隠し武器に地面の砂や石。

剣を落とせば華麗な投げや寝技の応酬。鋭い素手の蹴りやパンチや肘膝。

模範演舞を兼ねてありとあらゆる技を駆使して戦う男女。

最後は高司祭さまがロー・アースを押さえ込む。

「降参しないとキスしちゃいます♪ 」おどけて言う高司祭さま。

小声でおっしゃっていますが、半妖精の耳にはまる聞こえですよ?

「……降参です」あ。禁句を言いやがった。


 にこやかにわらっていらっしゃる高司祭さまのこめかみが少し動いた。

「やっぱりなし! 」強烈な頭突きがロー・アースの額に入った。


 あ~あ。

教官代行として招いた冒険者がいきなり戦闘不能になってしまったじゃないか。


「では治療を」俺は駆け寄り、ロー・アースの怪我を見る。後頭部と額を強く打っている。

「魔法は不要。適切な治療と休養で充分ですね」適当に休ませてやるか。

「私の自室で直々に行います」「職権乱用です。高司祭さま」「けち」


「ほれ。さっさと起きろ」俺は癒しの力をロー・アースに注ぐ。

不満そうにふくれる高司祭さま。そんな顔しちゃいけません。


「はい。次」復活したロー・アースを交えて格闘訓練は続く。

俺は隙を見て逃げようとしたが、いつの間にか教官に加わっていたファルコに投げ飛ばされた。最悪だ。

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