表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男装女神は14歳っ!?~夢を追う者達(ドリームチェイサーズ)冒険譚~  作者: 鴉野 兄貴
故郷に錦を 前編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

239/323

3 悪い人などいない

 お上とグローガンの暴挙だが、一応筋が通っているので干渉するわけにはいかず、

遠巻きに眺めている俺達だったが、いつの間にやらファルコがいない。



 「あのね! なのね! トイレつけて、お風呂はいって、

道路に糞壷の中身を撒かないようにするとだいじょぶなのなの! 」

ぴょんぴょん右に左に跳ねつつ、両手をぶんぶんやってお上にアピールするファルコ。

……!! あああああ。やっちゃった……。


 「ふぁ、ファルコ……さん? 」なぜか敬語のグローガン一味と衛視たち。

まぁ昔の俺達ならさておき、彼らが総出でもファルコは捉えられないだろうけど。

「トイレと風呂が伝染病となんか関係あるんでせうか? 」

ファルコに対して律儀に腰を落とし、ヤクザ者の棟梁は質問をした。


「風呂なんてこの1年はいってねぇなぁ」「俺も」

「ウンコなんて街中にノグソだしな」「俺も」

掃除手伝え。馬鹿。


 グローガンたちゴロツキどもが腰を落としてファルコに聞く姿はめっさ滑稽だ。

「あ~。その、知り合いの変態、もといスラムの医者が言うには、関係あるらしいぜ」

俺はファルコを抱き上げると、「さっさと行くぞ」と言って退去しようとする。

慈愛の神殿の人間らしからぬ行動だが、致し方ない。

 「みゅ~! もきゅ~! 」と謎の声をあげて手をばたつかせるファルコを抱きかかえる。

明らかにほっとした様子のグローガン一味と状況が理解できていない衛視達。

グローガン一味が束になっても昔のロー・アース一人に勝てなかったし、

今のロー・アースに喧嘩を売るのは物凄く愚策なのは彼らが身を持って知っている。


 地主らしい男達やグローガン達、

役人どもや正義神殿の神官や騎士達が泣き叫ぶ住民を追い出しにかかる。


「ちいや」「しかたないよ。空いてたとはいえ地主さんの家だったんだろうし」

そりゃ、しばらく家を空けていたとはいえ、

庭や家の中に家やらなんやら建ってて家財一切合財盗られていて、

さらに知らない人達が住んでいたら、キレてごろつきの一人二人雇うだろう。

とはいえ、泣き叫ぶ人々をあえて遠巻きにみているのはなんとも罪深く感じるのも事実だ。


 「みんな、自分が悪いなんて思ってないし、

悪いことしているって思っていたら生きていけないんだよ」

俺はファルコを抱きかかえながら、そう呟くしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ