8 女神様はノーパン
「やっぱり」「チーアだね」
何を言ってるのでしょうか。本気で叱られたいようですね。
恥ずかしさのあまり涙目になって睨む私を見て二人はあわふたしております。
「ふぎゃああああ」よしよし。私の胸に吸いつこうとしないで。アスラ。
この服、ちょっと透けるんです。恥ずかしい。
「お乳、ありますか」「うん」
ファルコが哺乳瓶をもってきてくれます。木でできていて口当たりが良い良い品です。
「よしよし」
あまり揺らさないのがコツです。笑っているようにみえて赤ちゃんは脅えていたりと大変なのです。
「では、この辺で」「ああ」「とりあえず帰ろ」
私たちはアスラをつれてボロボロの小屋を出ました。小屋の外は。
「さらわれたといって何故あなたたちがいるんですか」「めんぼくねぇ」
とりあえずビンタをグローガンさんに。この方はこの界隈のヤクザな人の頭です。
「いや、最近割りのいい護衛を引き受けたと思ったら」「まさか子供の売買商人なんて」
「下手をしたら消されるし」「マジやばかった」「いやはや助かりました」
へぇ?
「まさか。貴方達、わかってアスラをさらったりしてませんよね? 」うふふ。
「い、いえっ?! アスラ君なら大丈夫とか、もしアスラ君に手を出したらチーアさんたちが乗り込んできて助かるとか欠片も思っていませんよっ?! 」「俺たち、しっかり護衛の仕事して、返り討ちに遭っただけだからッ! 」へぇ。そうなんですか。
私の周囲から『ポッ 』『ポッ 』と音を立てて狐火が生成されます。
どうもいけませんね。私は怒ると火が出てしまう体質ですから。うふふ。
「いやいや、チーアさん。マジギレしてませんっ?! 」
グローガンさん。怒ってませんよ。私は怒ってませんから。
……。
……。
ふう。
老夫婦のみならず何故かロー・アースとファルコまで脅えているのですが。何故でしょう。
「傷は治しておいてあげますから」感謝しなさい。四回目ですけど。
「一回のみならず四回もローストとか」「ありえねぇ」「チーアさん鬼だ」うるさいです。
「アスラ、行きましょうか」ニッコリアスラに微笑む私ですが。
「びえーん」
何故です。何故そんなに泣くんですか。泣きますよ。




