6 『夢を追う者達』だ
「お前たちは何者だ」あ。
「『夢を追う者』だっ!! 」
ファルコとロー・アースですね。早いですね。
「関わると焼死するという噂の」ぎく。
「「人の仲間に余計な事言うなッ?! 」」いつもお世話になっています。二人とも。
それにしても、客観的に聞くとちょっと恥ずかしいですね。くす。
あと。あの発火事件は私の仕業ではありませんっ?! あれこそ幽霊さんの仕業ですッ。
私はタライを空から落として依頼人の当主様を気絶させただけですっ!
剣を持って乗り込んできた二人に手を振る私と脅える老夫婦。
そしてアスラを見たお二人は一斉にこう仰りました。「チーア。お前何しているんだ」
あら。この姿でも私とわかるんですね。くす。
「つまり、イルジオンの奴の転送術の失敗でその姿になったと」「ええ」わざとでしょうけど。
ロー・アースがそう呟きました。ファルコはアスラと一緒にコロコロ転がっています。落ち着きなさい。
「この夫婦は」「アスラを買った人たちです」「そうか。諦めてもらう」ロー・アースは彼らに二本の剣を突きつけます。「金は返すからとっとと村にでも帰れ」
こればかりは。同意します。お金で売り買いする子供なら、それで充分です。
「嫌です」夫婦は口をそろえて言います。
なら。死になさい。私は炎の精霊を呼び出しました。
「ちいや」
いたっ。痛いです。脛にかみつかないで下さい。ファルコ。
「らめ」涙目で見上げても、許しませんよ。こんな人たち。
小麦粉二袋でアンジェを売り飛ばした人たち。アンジェの手を汚すくらいなら私が。
「お前が人を殺そうとするのははじめてみた」
ロー・アースの声が耳朶に突き刺さりました。
「本当に、転送術に失敗しているんだな」
多分。そうだと。思いたいですが。わざと失敗したものですから。
御免なさい。私は醜いんです。顔立ちは。綺麗になっていますけど。
燃え上がる炎が私の身体を覆い、渦を巻き始めます。
「消え去りなさい」仲間達の瞳は。なるべく見ないように。憎い男女の瞳を睨みつけて。
「まぁ。おちつけ。チーア」「今はユースティティアです」
炎の渦を練り上げ、白熱する大槍に変換して構える私にロー・アースが語りかけます。
「らめ。てぃあ」手を噛まないで。ファルコ。
必死で躓いて命乞いする二人に槍を投げようとする私の頬に衝撃が走りました。
「やめろ」「だめだよ。ちゃんと話を聞いてあげて」




