前奏曲 レディの裸にご用心! プロローグ
今度の仕事は「洗濯」。
「どこが冒険者の仕事だっ!!!」
チーアがキレた。
プロローグ
「まったく。どうかしてるぜ!健康かつ健全な青少年が(一人怪しい奴がいるがな!)
三人そろって塩スープも満足に食えないんだぜ!?」
……俺、チーア。
一応。冒険者ってことになっている。
一応っていうのは見習いだからかな?
相棒はファルコ。あと……まぁどうでもいい奴一人だ。
俺が話している相手はこの店のウェイトレス。
……とはいってもアキ・スカラーが真面目に働いている姿を俺はほとんど見たことがない。
「愚痴ばっかり」アキはそういうと苦笑して外の天気をみた。
「雨男はあなた?」……俺は愚痴なんていってないぞ。
「愚痴じゃなかったらお日様の精霊でも呼んでほしいところね。洗濯物が乾かない」
アキはそういうと俺のココアを啜った。「間接キッス♪」……俺は苦笑した。
連日の大雨でじめじめした酒場には俺と彼女だけ。
普通に考えたらいい雰囲気といえるかも知れないが、俺にそんな気はなかった。
俺は硬派だし。……別に同性愛者じゃない。本当は女性だ。
「この間仕事もらえたじゃないの」アキは苦笑した。内容を知っているゆえの笑みだ。
「エイドさん……が持ってきたあれか」「うんうん♪」
俺は頭痛を覚えながらため息をついた。
「どこの阿呆が冒険者三人に洗濯を依頼するんだ」
受ける奴も受ける奴だし、頼む奴も頼む奴だし、紹介するのも紹介する奴だと思う。
だが、事実だ。そして無駄に俺達の「名声」が増えた一件でもあった。
今回の物語は某サーカス団の洗濯係のアルバイトを受けた俺達の冒険である。