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第十六夢。くちづけより簡単 プロローグ

 少し遡る。

竜大公の町の冒険を何とか終えた俺たちは治安回復の任務をエイドさんから受けた『五竜亭』の先輩達と引き換えにいち早く『車輪の王都』に戻っていた。


 「無事、生きて帰った事を記念して。乾杯」

乾杯なのにシケたツラをしているジジイみたいなヤツ。

コイツは俺たちのリーダーってことになってるロー・アース。

「乾杯なのの」「乾杯ッ 」俺たち二人は酒を呑む歳じゃないので自粛。

俺の向かいのテーブルにぶら下がり、おいしそうに蜂蜜入りの暖めた山羊の乳を呑んでいる幼児は実は幼児ではない。

エルフの亜種で、幼児の姿のまま魔力を身体能力に転換したという種族だ。

名前は「おいしーッ のッ! 」……ファルコ・ミスリル。


 「まぁ何とか生きて帰ってきたけど、援軍遅すぎるよ」

悪態をつく俺。チーア。一応、冒険者。


 「ほれ、チーア。もっと食っていいぞ」

どどん。グロテスクな深海魚の煮物が俺たちのテーブルの上に乗る。

振り返ると2mを越す熊みたいな大男がニコニコ笑っていた。瞳に嬉し涙のあとが見える。

この人はこの店の主人で、エイドという。


 見た目は最悪だが、歯ざわりはプリプリ、塩加減は絶妙。

この料理を担当したのはアーリィさん。金髪碧眼の美女で。何処を間違えたかエイドの妻である。


 「む~。おいしーッ のっ! 」

ニコニコ笑いながら深海魚を食べるファルコに苦笑いしつつ、俺もよばれることにした。


 「すまない」

エイドのデカイ身体が大きく傾く。

傾いたんじゃなくて頭を下げているのにやっと気がついた。デカすぎる。

「あ、頭を上げてくださいエイドさん」「えーど。だいじょぶだいじょぶ」

俺とファルコは彼に頭を下げさせるのは可哀相だと却って気を使ってしまう。


 『竜退治の援軍に行け』

確かに、そんなこと言えるわけがない。

事情を察した俺はそういって彼の大きな背中をバシバシ叩いて慰める。

しかし、レッドたちはほとんど縁も無い俺たちをよく助けに来てくれたな。感謝してもしきれない。

「そういえばシルバーウィンドもいたな」半身を火傷に包まれた美貌のエルフは、レッドたちと共にいまだ竜大公の町の治安維持を担当している。



 ところで。

俺はマジマジとテーブルの下に隠れている男に告げた。


「何してるんだ? お前」


さっきからエイドさんに頭を下げさせて返事も無しとは。ロー・アース。

必死に口元に指を当て、『喋るな』とジェスチャ。


????


 小首をかしげる俺はファルコと目があった。

俺の小首をかしげる仕草がツボに嵌ったらしく笑い出すファルコ。釣られて笑う俺。



 「あの」

俺たちはその綺麗な声に振り返った。

酒場の喧騒が掻き消える。それほどに可愛らしい幼い少女の声。


 「お兄ちゃん。帰ってきてませんか」

黒い髪。黒い瞳。尖った耳。白い肌。薔薇色の唇と頬。

その少女との出逢いが俺たちの新たな冒険の始まりであった。


 って美女ばっかり出てくるんじゃねぇッ!!!!!!!!

というか、今回幼女かよっッ??!!!!!!!! 誰得ッ?!

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