3 慈愛神殿のお化け
「……!」「……! 」なんか神殿が騒がしいんだが。
「ファル! そっちを見ろッ! 」「みゅ! 」どたばたどたばた。
今、知ってる声が聴こえたような。
「あっ?! チーア!! 」
後ろから子供の声が聴こえた。嫌々振り返るとチンチクリンの女の子が。
胸は驚くほどまったいら。顔立ちは天使のような美少女。
というか、名前からして『アンジェ』っだったり。
「大変なのッ! 図書室にまたオバケが出たんだって! 」はぁ?
「いや、あのさ」今、昼間だし。
そういって慈愛神殿の神官、ただし不良神官のアンジェをからかう俺。
「昼でも何でも出るときは出るのよッ?! 」はいはいはい。
大体、図書室にはマリアしかいないしなぁ。そのマリアも先日夢の世界に……ん?????
「あ、アレ、オバケだったのかっ?!!!!!!!!!!! 」「?」
「俺、アイツに塩味の茶をもらったぞっ?! 」「……チーア。夏はもう終わったんだけど」
「ところで」アンジェは半眼で俺をにらむ。
「チーアって男の子が好きだったりする? 」「意味わからん」
「だって、私がコレだけチーアのこと愛しているのに、キスひとつしてくれないじゃん」「はぁ」
「やっぱり、ホモ」「ちゃうわっ?! 」そもそも俺は女だ。言いそびれているだけで。
「じゃ、その子はだれ? 」
アンジェの冷たい視線の先には自称・竜の痛い子がいた。
「竜ですが」「……竜? 」「ええ。竜族の者です」
アンジェの眉がピクピクと動いている。まぁ、無理もないが。
「図書室のお化けに御茶を貰っただの、竜だの」ウソばっかり言って。
俺と、自称・竜はものごっつい勢いでアンジェに説教を喰らった。