1 竜退治と書いて死亡フラグと読む
竜。言うまでもなくこの世界最強の生物だ。
よく竜退治の勇者がどうこういうが、アレ。嘘だから。
多くは竜族の眷族の雛。
よくてワイバーンを倒して竜殺しを名乗っている。
それだって蛮勇にも程があるのだが。
ちなみにどれくらい強いかというと。国が滅ぶ。
ナニ言ってるんだ? と思う人もいるだろうが余裕で滅ぶ。
ピュ! と飛んだだけで国が吹っ飛ぶ。
雄たけびをあげりゃみんな心臓麻痺を起こして死ぬ。
火を噴けば岩が吹っ飛ぶ。というか山が砕ける。
シェイハ! とポージングしただけで英雄が死ぬ。
猫みたいに爪とぎをしただけで城が吹っ飛ぶ。
あ! 鳥だっ! と叫んでいる間に国から国に移動する。
その耳と目は異世界にすら通じていると言われ、古今東西ありとあらゆる知識と情報を持つ。
魔法を使わせればどんな魔導士も適わず、竜語魔法なる独自の魔法体系をも持つ。
多くは四大精霊。稀に光や闇。とにかくなんらかの精霊の力を吸収していて、特定の精霊の力は無効である。
竜は固体を持って国と同等の機能を持つ。
自由と破壊。破滅と絶望の象徴。最も神に近いとされる一族。それが竜族だ。
ちなみに、竜族の支配権に所属する村や町には領主の支配権は及ばない。
竜族は岩でも何でも食べて食事にしてしまうので本来は生贄などを要求しないが、悪竜と呼ばれるそれは要求する。らしい。
で。それの退治と。
「死ぬわ。アホ」
俺はアキにそう告げた。