14 『夢』なら間に合っています
光が少女を包む。
ロングヘアは短く、ドレスはぶかぶかの服とズボン、チェックのチョッキに。
サンダルは小さな皮のブーツに。右手には短剣。左手には黒い盾。
「ファルコ・ミスリルか。良い名だ」「凛々しいわ」二人が微笑む。
「みすみるなの」勿論間違えているのはファルコのほうである。
「ろう。ちいや。悪いのやっつけるの! 」ファルコは叫んだ。
俺は弓を取る。ローは剣を再び抜く。
瓦礫が寄り添い、黒い流れになり、やがて巨大な化け物になっていく。
「夢を叶えてやろう! お前らの夢を語れ!! 夢を! 夢を!!! 永遠の夢を!!! 」
「お爺ちゃんとおばあちゃんに悪いことする悪いヤツ。死刑なの! 」
「子供達は返してもらうぜ! 」俺は叫ぶ。
「てめえの夢は最悪だ!! 」ローも叫ぶ。
「貴様ら! 夢は最高だ! 夢こそ全てだ! 夢こそ万能だ! 我の夢の一部になれ! 」化け物は叫び襲い掛かってく
る。
「あいにくと『夢』なら間に合ってるのさ!! 」俺は叫ぶ。
「「「俺達は!!!!!! 」」」
「「「『夢を追う者たち』だ!!!!!!! 」」」
「関わると疫病神が憑くという噂のっ!!!!!!! 」
「「「 余 計 な こ と 言 う な ! ! ! ! ! 」」」
三人で叫び返した。化け物まで知ってるってどういう事だ!??
俺達は必死で攻撃するが、まったく効いているそぶりがない。
「この世界は我が夢だ!! 故に我は無敵!! 取り込まれろ! 」これは埒があかない。
「さあ。踏み潰してやる。ちびすけどもめ! 」化け物は脚を振り上げた。
残った足に俺達は必死で斬りつけ、弓を放つがまったく効いていない。
「あのねのね」
ファルコが言う。この非常時に!!!
「この世界、君の夢だけど、僕、君に取り込まれた覚えないから。自分から入ったから」……???
「僕の夢でもあるのね。うん」
そういうとファルコはぐんぐんでかくなる。
ヤツのブーツの先の高さが俺の頭を超えた。
……。
さらにぐんぐんでかくなるファルコ。巨大な靴が天に届く。
黒い魔物が巨大な靴を見上げている。ものごっつくおかしな光景だ。
「てぃ♪ 」ぶち。
邪悪な夢魔は滅んだ。
「そんなん。ありか」
俺とロー・アースとイーグルから一様に乾いた声が漏れた。