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12 時から忘れられた屋敷

 「へ〜。親父らは俺を一応探してくれているんだな」イーグルは笑った。

「まぁな…」イーグルに似ているファルコが可愛がられていた話は伏せておく。

「この屋敷はオカシイからなぁ……。いままで俺達みたいな奴らが何人もいたけど」

皆使用人などになって、取り込まれてしまい、話しかけても返事もしなくなったとの事。


 「喋り方なんだが、俺の聞いたイーグルって子はもっと可愛らしい子だと」

見た目、言葉遣いともファルコにそっくりだったという話だし。

 言葉遣いの点を指摘されたイーグルは苦笑いした。


 「一日だか一時間だか十年だかわからない間、こんなことしてりゃこうなる」

ついでに言うと発狂したり自殺したりも出来ないそうだ。


 「! ごめん」俺は謝る。

「おっと、レディを泣かせちゃ駄目って親父に言われているんだな。コレが」

イーグルは何処からかハンカチを取り出し、俺の目元を拭った。


 「俺、泣いてネェ」「よく言うよ姉ちゃん。ああ、このハンカチ鼻水だらけだった」おい。ガキ。

あと、パンツ見えてるぞ。といわれて俺は太ももを手で隠す。顔が熱い。


 「このスカート布地が足りない! 」俺が叫ぶとイーグルは呆れていた。

「……ネェちゃん。無防備すぎ。さっきから胸元だの腕だの脚だのパンツだの見せまくってるし。

もうちょっと見えないように気を配らないと色気も無いぜ?俺が大人だったら襲っちまうぞ」

「うっせーマセガキ。あと俺はチーアだ」


 なんで女どもは程度の差はあるがこんな見えまくる服を着るんだろうか。

俺は心の中で悪態をついた。


 「ところで、追ってこないようだが」俺が疑問を口にすると、

取り込まれた奴らは生垣までは追ってこないとイーグルは返した。

どうやってこの生垣が維持されているのか謎である。



 「で。マリアさんって人に頼まれて手紙を? 」

俺はやることも無くイーグルと話し込んでいる。

「そうだ。あんたらの友達は『マリア』役になってるみたいだが」

素敵な黒髪のお姉さんだそうだが、それだとファルコとは年齢的に似ても似つかない。

「俺の聞いた話じゃ、マリアって子供と若い両親が住んでいた館らしいけどなぁ。ここ」


ついでに三人とも亡くなっているはずだ。


 彼の主張だと、マリアは少女から成人くらいの年の女性らしい。

「『戻りたいのに戻れない。私の代わりに両親に手紙を届けて欲しい』

そういわれて館に入ったのが運の尽き。致命的致命傷。いくえ不明」とイーグル。

冗談のつもりなのか知らんが、正直理解しがたいセンスだ。


 「「手紙」」

俺はエプロンを漁った。無い!!!

「俺も落としたらしいんだ」イーグルは悪態をつく。

俺は手紙が五竜亭に戻っている可能性を説明した。


 イーグルは舌を打つ。

「そりゃ、親父も手紙を隠すわな……戻れないってさ」彼は言う。

「今にしておもえば、自分の家なんだから戻りたければ戻ればいいじゃんか」

親父と大喧嘩しているならさておきと繋げる。


 心当たりがあるらしいが、

見た目5歳くらいの息子が出て行くとかどんな教育をしていたのか気になる。


 うちの親父みたいに娘の稼ぎを娼館と賭博に突っ込んだ挙句、

「もう親でも子でもねぇ! 出て行く! 」

「まて。チーア! もどってきてくれええ! 父ちゃんが悪かった! 」

とかなんとかアホな会話をしているのなら知らんが。


 「『子供は、未来の自分や両親に手紙を贈ることがある』か」俺は呟いた。

「ははは。懐かしいな。『お母さんお父さん大好きです』って書いてもらって外の木の下に埋めたなぁ」


 俺は閃いたことを言った。

「届かなかった未来への手紙ってどうなるんだ? 」

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