表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/323

10 その剣士の名はモヨモト

 キン!!!!

間一髪、俺との間に割り込んだロー・アースのショートソードが老人の剣を止める。

横殴りにロー・アースは長剣を振るうが、老人はやすやすとかわした。


 「盗賊にしては良い剣技だな」「盗賊じゃない。傭兵だ」

ロー・アースの表情にはいつものやる気のない様子が無い。

老人は凄まじい剣士なのだろう。


 「正規の剣術と実戦的な邪剣の融合か。貴様の師匠は有能のようだ」老人は微笑む。

ロー・アースは鋭く踏み込み、左手の長剣で攻め、右手のショートソードの間合いに誘い込もうとするが老人は軽々とその


攻撃をかわしてみせる。


 「其の程度で誘っているつもりかね? 」

老人は右手の剣でローの二本の剣をあしらいつつ、彼の懐に飛び込み、腰の短剣を抜く。


「!! 」「……急所は外したつもりだ」

崩れ落ちるロー・アースを見て俺は愕然とする。


 長剣で攻め、ショートソードで防御していたかとおもうと、

懐に飛び込ませてショートソードで止めを刺すのがローの戦い方だが、

老人はそれを見抜いた上で接近戦で彼を倒したのだ。

「いい素質だ。殺すには惜しい。もっと腕を磨くべきだな……次は君かね? 」

老人は血のついた短剣を俺に向ける。


 「ロー! ロー・アース!! 」俺は彼に駆け寄る。確かに急所は外してある。

だが、彼が一撃とはなんと言う使い手だ。


 「慈愛の女神よ」俺が祈りを捧げると淡い光が彼を包む。

死にはしないが、当面動くことは出来ないだろう。

「ほう、慈愛の女神の使徒が泥棒とは」老人の声。


 「泥棒はテメェらだ」

俺は剣を向ける老人を睨み付けた。

「ファルコを返せ」後ろで怯えた表情を見せ、老婆に寄り添う幼女に眼を向ける。


 「……マリアは渡さん」老人は目を細める。

「二人とも、後ろを向いておきなさい」


 「ごめん。ロー・アース」

殴ったりして。天国があるならそこで謝るから!

あれ? ロー・アースが地獄に行ったら会えないんじゃね?


バカバカしいことを考えつつ俺は目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ