6 海の男はお化けが苦手
夜が明けて、仮眠を取った俺達は聞き込みを再会した。盗賊ギルドはほぼ間違いなくシロ。
モグリの犯罪者の可能性を見てギルドは必死で調べを入れたらしいが痕跡は無かったらしい。
今回も含めて犯人はおろか、消えた子供達の行方も判らない。
子供達に共通点はというと幼くて好奇心旺盛な以外これといって共通点はない。
やっぱりというか、その子供達の中にはエイドさんたちの子供の名前もあった。
二人はファルコを息子そっくりだといって可愛がっていた。心中は余りある。
子供が消えたという家々も回ってみた。上流階級から下層階級までさまざま。
跡取り息子がいなくなって嘆く老貴族もいれば、無駄飯ぐらいが少なくなったので楽になったという貧民までさまざまだっ
た。
「何を探しているんだい? ロー・アース」俺は丁寧な調べ物をする彼に問うた。
「『お土産』だよ。手紙の主が持ち帰るって言ってたろ」
そういえばそんなことも書いてあったな。しかし10年も前の手紙で言及されている見知らぬ幼女のお土産って何だ?
俺達は船を出している商人の家に聞き込みに行った。
運送船は積荷がなくても出なくてはいけないことがあり、そういう時は乗客を乗せる。
13年前の乗客リストには。果たして手紙の主の少女と両親の名前があった。
「縁起でもないものを掘り出して……。
沈んだ船の記録なんて洒落になってないからちゃんとしまっておいてくださいよ」
商館の職員の言葉に俺達は頭を下げ、丁寧に読み解く。
日付や日程、沈んだ場所、積んでいた荷物などなど。
「沈んだ荷物は? 」ロー・アースが問う。
「おっと、旦那。それをネコババする気ですか? 」商館の職員が不機嫌な表情をする。
「いや、子供のお土産ってなんだろうなと思ったんです」俺が補足する。
「子供のお土産???! 」「いやね……話は長くなるんだが」
俺達は船乗りが迷信や幽霊の類を極端に恐れるのをすっかり失念していた。
当然、俺達は顔を真っ青にした職員達にたたき出されたのである。