4 『想い』のこもった手紙
「そこは呪われた館だっ!!! 何故行かせた!!!!!!! 」
エイドさんが叫ぶ。百戦錬磨の冒険者達も震え上がる怒気。
俺の心臓もまた破裂しそうになったが、なんとか腰を抜かさずにすんだ。
俺が答えられずにいるとローが割り込んできた。
「呪われた館だって? 」無関心そうな喋り方だが、興味を引いたらしい。
エイドは何故か躊躇った様子を見せてから語りだす。
「子供達や酔狂者の冒険者が何人も行方不明になっている。何人もだ。
名のある冒険者達や神殿の神官が幽霊退治に乗り出したが、幽霊はいないと言って帰ってきた」
「ふーん」
ロー・アースは指先に挟んだ古ぼけた封筒を振った。
「確かに、なんかあるな」そういって封筒を握るとニヤリと笑った。
「「「「その封筒!!!!!!! 」」」
俺達は叫んだ。その封筒は、ファルコが持ち出したはずの封筒じゃないか!!!
「呪いじゃない」とロー・アースが説明する。
「『想い』みたいなもんかな? 説明は難しいが」
ローは黙って手紙を開封した。
ちなみに、子供の手紙の蝋を解く不届き物は冒険者の恥とされる。
「読むぜ。『おじいちゃん おばあちゃんへ……』」
それはなんでもない子供の手紙だった。
もうすぐ街に帰ってくる。大好きなおばあちゃん達に会えるのが楽しみです。
お船にのって、もどってきます。お土産もあります。楽しみにしていてください。
子供なりに気を使ってか、祖父、祖母順になるはずの呼び順がところどころ変えられているのがほほえましい。
俺は突如エプロンドレスに違和感を覚えた。
「おい。ロー・アース。お前が持っていた手紙は?? 」
ローはニヤリと笑った「俺は嫌われたみたいだなぁ」無責任な喋り方をする。
俺は拳を振り上げようとするとエプロンのポケットに何かが入っているのに気がついた。
震える手で俺はポケットに手を入れる。
!!!!!!!!
「て、てめぇ!どんな魔法を使った!!!!!!!! 」
俺は叫んだ。さっき開封されたはずの手紙が封されたまま俺のポケットに入ってる!!!!!
「だから、隠しておいたんだ」エイドさんは苦悩の表情を浮かべた。
「頼む。ファルコを探してくれ」
アーリィさんは泣いていた。「もうこんなこと二度と無いようにしてほしいの」