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5 墓石の名前

「おい。チーア」「ちいや。おきて~」

 寝ぼけていた俺は素早く身を起こした。「てめロー・アース! 仕事もせずに夜這いかっ! ~むぐっ……」

 俺はロー・アースに口元を押さえられた。


「誰が誰を……」

 やる気のなさそうな声。勿論ロー・アースの声。

 そういえば、貞操の危機になったら俺の身体は拘束を離れる奇跡がかかっている。

 彼にその気が無いのは明白だ。なんかムカつくけど。


「……さわぐとだめ。"しー!"だよ? 」

 これはファルコか。お前等餓鬼族の居場所を探りに行ったんじゃねぇのか。

「村の連中は寝ている……一応『眠りの雲』をその上からかけたが」??

「逃げるぞ」「うん」お前等何をいってやがる。ジールたちの仇討ちはどうした。

 彼は軽々と俺を担ぎ上げると俺を俺の馬シンバットに乗せる。

「らいと? 」何処からともなくファルコの驢馬ろばが姿を現す。

「ゆっくりゆっくりゆっくりゆっくり。"しー"だよ? 」驢馬ライトは了解したかのように街道側の反対に歩き出す


 。


「……手前ら仇討ちはどうした??」 やっと猿轡さるぐつわをはずされた。「騒ぐな。静かにしろ」

 噛み付いてやろうとしたが涙目のファルコが抱きついてとめるのでとりあえず黙る。


「連中は街道側にいったと思うだろうからしばらく大丈夫だ」

「らいとが安全なとこにつれてってくれるの! 」謎の自信をみせるファルコ。逃げる先は驢馬任せかい。

 村のはずれを歩く俺たち。墓らしい石が並ぶ。そういえば疫病が流行ったっていってたっけ?


「そういえば疫病が流行って女たちはみんな死んだんだって」「……」「……」

 石って言っても畑を掘り起こす過程で出てきた石ころだ。簡単に名前を彫っていないとわからん。


「女を寄越せとか言われたよな」「だねぇ」俺、女だけどな。

「おい。墓を見ろ。チーア。お前のほうが夜目が利くだろ」「石ころじゃん」

 死者を悼む気はないわけではないが、よくあることだし。

 あと、俺の場合意識して「見よう」とすると『余計なもの(霊体)』が見えるし聴こえる。


「そういえばお前、文字読めなかったな」

 はぁと言うロー・アースとファルコ。

 ちょ、ちょっとくらいなら読めるわいっ???!


「ニック」「じぇいく」「ロッド」「ろっく」「ベジータ」「なっぱ よけろ」

 ……男の名前だな。ヨケロは珍しいが。

「ゲバイ」「だいん」「ドラウ」「ふぁるげん」「ゲルフ」「どらぐ・な ぎがのす」

 ……ちょっとまった。


「……もう少し読むか? 」

 ロー・アースが一気に名前を連ねる。

「レン。ヒュウガにリョウマ、レイガにダンにクウヤ。ガイ」「しゅらと ころす」

 レンだのコロスだの……野郎の名前ばっかりじゃねぇか???!!!

「なぁ。女の名前が無いんだが」二人は視線を交し合う。

「だから逃げるんだ」「……うん」

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